恋とは、どうしてこうも難しいのだろうか。

せっかく素敵な出会いをしても、相手に「また会いたい」と思わせない限り、デートにも交際にも発展しない。

仮に、順調に駒を進められても、ある日突然別れを突き付けられることもある。

しかし一見複雑に絡み合った恋愛でも、そこには法則があり、理由がある。

どうしたら、恋のチャンスを次のステップへ持っていけるのか、一緒に学んでいこう。

今回は、高嶺の花を落とす作戦に失敗したのはナゼという宿題を出していた。

あなたはこの宿題が解けただろうか?




直人に出会ったのは、知人が招待してくれた、軽井沢の別荘で開催されたパーティーだった。

主催者はリョウジさんという、有名な経営者。別荘はとても素敵で、私も友人の加奈もテンションが上がっていた。

そんな中、リョウジさんから直人を紹介されたのだ。

「直人さん...はじめまして、ですよね?」

「は、はじめまして!直人です、宜しく」

そう言いながら直人は、私の顔をまじまじと見つめてくる。

初対面の人からこうして見つめられることは多い。しかし直人の場合、感情をそのままむき出しにしたような視線で、それがちょっと新鮮だった。

ーこの人、素直でいいなぁ。

私はそんな風に思っていた。

しかしここから、直人の間違いだらけのアプローチに、私の気持ちはみるみるうちに冷めてしまったのだ。


直人が犯してしまった、アプローチのミスとは?


解説1:ガツガツした男性は苦手だが、回りくどい人はもっと苦手


しかしリョウジさんから紹介された後も、直人はなかなか話しかけて来なかった。

かといって、全くこちらに興味がないような様子でもない。さっきからチラチラと、遠くから視線は感じている。

-私と、話したいのかな…?

そう思い、私は直人に自ら近づき、笑顔で話しかけてみた。

「直人さんは、何をされている方なんですか?」

ありきたりな質問だけれども、話が広がればいいなと思っていた。

「僕は今、人材系の会社を経営しているよ。香里奈ちゃんは、リョウジさんの友達なの?」

「リョウジさんとはもともと知り合いだったんですが、今日呼んでくれたのは私の女友達なんです。加奈って分かりますか?」

そう言いながら、私が直人に加奈を紹介した時だった。

「加奈ちゃん、よろしくね!今日は可愛い女の子に会えて、本当にツイてるなあ!」

直人の一言に、私は思わず首を傾げた。決して、加奈のことを否定している訳ではない。

私に対する直人の態度に、違和感しか感じなかったからだ。




「え〜いつも男性陣はみんな香里奈ばかり褒めるのに!直人さんっていい人ですね」

加奈と直人が楽しそうに話している一方で、私は手持ち無沙汰になっていた。

直人がドリンクを取りに行く間、つい彼の背中を見つめる。

明らかに私のことをガン見していたのに、友達のことをベタ褒めし、私には話しかけてもこない。

-なんか、面倒な人だな…。

そんなことを考えていると、いつのまにか加奈の提案によって4人で食事をすることになっていた。

「もし彼女がいないなら、今度みんなで食事でもしませんか?」

そんな流れで開催が決定した食事会。直人が予約してくれたお店は、西麻布にある大衆的な雰囲気の焼肉店だった。

-あら...??意外なお店を提案してきたなぁ。

いつも直人のような経営者の男性との食事会は、かしこまった所が多い。今回も、そんな感じの綺麗なお店かと思っていた予想は見事に裏切られた。

決して、高いお店に行きたいとかではない。

ただ、意外だったのだ。


食事会中に直人が試みた、“俺だけだよね?”作戦とは


解説2:良いサプライズだとOKだが、“俺しか出来ないよね?”的な態度はNG


「こんな所にこんなお店があったんですね!初めて来ました♡」

安くても美味しいお店はたくさんあるし、“高級店じゃないと受け付けない”なんて高飛車なことは決して言わない。

実は、こういう大衆的な雰囲気でも美味しいお店は意外と好きだったりする。

しかし次の直人の一言で、この食事会を早めに退散したくなったのだ。

「他の人だと、こういうお店連れて来ないでしょ?でも意外に香里奈ちゃんって素朴な所があるから、好きかなと思って」

分かったような顔で、しかも何故か嬉しそうに上から目線でそんな台詞を言ってきた直人に対し、引いた自分がいた。

-うわ、出たよこのパターン…

直人のようなタイプの男性は、少なくない。

ある一定数の男は、派手に見える女に向かってわざと「意外と素朴だよね」「意外と庶民的だよね」と言ってみたり、とにかく他の人がしないようなことをやるのが正解だと思い込んでいる人がいる。

きっと、それがモテると思っているのだろう。
自分だけが特別だと言いたいのだろう。

でもそれは、大きな間違いである。

「直人さんって、人を見る目があるんですね♡」

口ではそう言いながら、心の中では“見る目なさすぎでしょ”と叫んでいた。

食事会や付き合う前のデートではこういった類の店に来ないだけで、好きな人や友達とだったらいつでも来るから。




「私、普段お肉焼いてもらうことが多くて。焼き方下手かもしれませんが大丈夫ですか…?」

もうここは気を取り直して食事を楽しむしかない。そう思い、気をつかってお肉を焼こうとしたその時だった。

「香里奈ちゃんってさ、焼肉焼いたことなさそうだよね!かわいいから、男がみんなやってくれそう!」

そう言って、トングには手をつけようともせず私が肉を焼くのをじっと見つめている直人。

喜んで焼くが、明らかに“他の人は助けるかもしれないけれど、俺はやらないよ”的な態度が見え隠れする。

-何のプライド合戦なのかしら…

私と直人の間で、肉がジュウジュウと音を立てながら焼けていく。

ふと直人を見ると、“俺は特別扱いしないし、持てはやさないからね”と顔に書いてあるような気がした。

今まで多くの男性を見てきたから、彼はこうやってわざと他人とは違う態度を取って関心を引こうとしているのだと、すぐに見抜けてしまう。

「香里奈ちゃんって、好きな人ができたら追いかけることとかあるの?」

「ん〜どうでしょう。人によるかなぁ。追いたくなるような男性がいたら、私だって自らいきますよ♡直人さんは、追いかけてきてくれる女子が好きなんですか?自分からは、追いかけない派なんですか?」

そんな直人に教えてあげたいことがある。落とす相手が誰であれ、恋愛の基本は変わらない、ということを。

一見モテモテで落とすのが困難そうに見える女性こそ、意外にストレートパンチに弱い。

無駄足を踏んでいると誰かに取られるし、どんな難攻不落の要塞にも果敢に挑んできてくれるような男性に弱いのだ。

-女は押しに弱く、素直に口説かれると、誰でも嬉しいのになぁ…

そんなことを思いながら、完全に空回りしている直人の作戦を冷静に眺めていた。

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