観光を自粛をせず、サクランボ狩りに来てください──。インターネット交流サイト(SNS)のツイッターで7万件を超す「いいね」が付き共感を呼んでいるのは、サクランボ農家の悲痛な叫びだ。最大震度6強を観測した新潟・山形地震から25日で1週間。日常生活を取り戻しつつある被災地では、観光サクランボ園や農家民宿のキャンセルが相次ぐ。にぎわいを取り戻そうと、農家らは懸命に発信を続けている。(高内杏奈)

サクランボ狩り、農泊 遠のく客足


 山形県鶴岡市のサクランボ農家・宮城良太さん(41)は、五つの団体からサクランボ狩りのキャンセルの電話を受けた。例年なら平日1日で100人の客が押し寄せ、入園制限をかけるほどだったが、地震発生後は半分の50人にまで落ち込んだ。毎年6月までの営業だが、7月上旬まで営業を延長する見通しだという。宮城さんは「被害はないのに客が来ない。一番の稼ぎ時なのに……」と肩を落とす。

 ほぼ被害がなかった内陸部でも、サクランボ狩りのキャンセルが相次ぐ。サクランボ産地の同県寒河江市の周年観光農業推進協議会によると、地震翌日の19日以降、観光自粛などで6団体からキャンセルが出た。「サクランボの最盛期は2週間と短い。農家にとっては大打撃だ」と担当者は表情を曇らせる。

 農家民宿にも予約のキャンセルが相次ぐ。鶴岡市にある「母屋」の小野寺紀允店長は「震災直後から通常通り営業できている。風評被害が著しく、今後が心配だ」と話す。

 農家は、SNSを活用して呼び掛ける。「山形県のサクランボは今最盛期を迎えています。観光の自粛をせずにどんどん狩りに来て下さい!」「地震の被害はほとんどなく、普通に生活しています。ぜひサクランボ狩りに!」と発信する。寒河江市はホームページ上で、「サクランボ園の被害はございません」などと掲載しており、今後も情報提供に注力する。