「次の反乱」への準備金か? 司法省が創設した17億7600万ドル基金の正体【トランプ2.0 現地リポート】
【トランプ2.0 現地リポート】
米国・イラン合意でもナフサ由来製品の品薄は続く…医療物資不足加速で診療現場に迫る深刻危機
司法省が19日、17億7600万ドル(約2800億円)の「司法の武器化からの救済基金」を創設すると発表した。だが今、この金が将来の政治暴力、さらには「次の議会襲撃」への準備金になりかねないという危機感が広がっている。
司法省の説明はこうだ。トランプ氏の税務情報が、IRS(内国歳入庁)の委託業者によって流出したため、トランプ氏はIRSを訴えた。その取り下げと引き換えに、司法省が、「バイデン前政権による司法の武器化」によって被害を受けた人々を、救済する基金をつくるというのである。
しかし報道は疑問を投げかける。自分の政府を訴え、その政権内で基金をつくる構図は前例がないばかりか、違法性も指摘される。訴訟は却下される可能性が高まる中で取り下げられ、金銭的な和解の記録もない。
しかも基金を管理するのは、トランプ氏の元個人弁護士らで構成される司法省幹部だ。税金による基金を自由に運用でき、公開の義務も負わない。そのため「裏金基金」との批判が強まっている。
同時に、合意にはトランプ氏本人や家族の税務に対する今後の追及を封じる条項も含まれる。つまり補償の名目で、自分自身が裁かれにくい構造をつくったことになる。
これに対しいち早く提訴したのは、2021年の議会襲撃の犠牲となった警官らだ。彼らはこの基金が、議会襲撃で逮捕され、トランプ氏によって恩赦された1600人への支払いに使われる可能性があると主張している。司法による犯罪認定が、愛国者への迫害にすり替えられ、今後の暴力行為も正当化されかねない。
■数字に政治的メッセージ
さらに不気味なのは、17億7600万ドルという数字だ。1776年はアメリカ独立の年。議会襲撃では暴徒たちが「今日は1776年だ」と叫んでいたことから、この金額は政治的メッセージとして読まれている。民主党のラスキン下院議員は「トランプは民兵たちに払い戻しをする方法を考えた。おそらく、次の戦闘に備えさせるためだ」と批判した。
そしてこのタイミングでトランプ氏は、建造中のホワイトハウス宴会場に関し、「どんな武器にも負けない防御を備える」と、まるで要塞であるかのような説明を行った。
大統領の任期が切れる2029年、民兵と立てこもるつもりなのか? そんな不穏な想像すら呼び起こしている。
(シェリー めぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)
