「逮捕されても未成年だから」…闇バイト指示役の「噓だらけの勧誘」を少年たちが信じてしまうワケ

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今月14日の午前9時半頃、栃木県上三川町で発生した強盗殺人事件で、実行役の少年4人(いずれも16歳の高校生)が逮捕された。指示役の夫婦も逮捕されている。闇バイトに応募した少年の一人は、この夫婦の依頼により強盗を実行したと証言をしている。

【前編を読む】栃木強盗殺人「素人犯行グループ」がやった「犯罪のプロ」なら絶対にやらない禁忌

バカほど助かる闇バイト

なるほど、受け子も強盗もトレーニングを積まずに、リクルートしてから、即日実戦投入できるし、逮捕されてもトクリュウグループとしては痛痒を感じない。

「まともな社会人に来られちゃうと、どっかのタイミングで警察に行かれるだけですから、そんなリスクはこっちも負いたくないですから、なるべく“バカ”が来てくれたほうがいいんですよ」(デイリー新潮 2026年5月16日)。

過去に数多くの闇バイト実行犯を見てきた筆者は、このリクルーターの発言を、素直に肯定する。

少年の闇バイトは、友人知人による勧誘が圧倒的に多い

栃木の事件で少年が知人を実行犯に勧誘したことは、珍しくない。警察庁の調査では、特殊詐欺の受け子となった10代の多くが、知人の紹介をきっかけによるという。少年は狭い人間関係の中で生きているため、こうした勧誘を断りづらく、拒否すれば仲間集団という居場所を無くし、イジメられる恐れもある。

以下のデータから、匿名・流動型犯罪に少年が巻き込まれ、犯罪グループから利用されている現状がうかがえる。

警察庁「特殊詐欺の被害状況と通信技術の悪用実態」(2025年)によると、「特殊詐欺の受け子になった経緯」に関する調査では、少年は、「知人等紹介」が55.7%であり、「SNSからの応募」29.0%より圧倒的に多いことが見て取れる。

指示役が少年に吹き込むウソ

犯罪の指示役は、少年たちの勧誘に際して、万一逮捕されても未成年だから少年院で済むと告げ、大人よりリスクが低く手っ取り早く儲かることを強調する(特定少年ではない16歳については、原則、未成年者として保護処分に付される)。是非弁別能力が涵養されていない「無知な」少年は、そうした情報を鵜呑みにして犯行に至る。

さらに悪いことは、誤った情報は少年たちの非行サブカルチャー内で共有される。彼らの仲間内では、犯行によって「社会からの信用を失うリスク」は、その情報には入らない。それはたとえば、事件が地域社会に知られ信用を失うため、本人も家族も転居を余儀なくされる。本人も就職等の活動に加えて、結婚も困難になることは想像に難くない。

更なる犯罪を防ぐために

特殊詐欺の認知件数・被害額は、27,758件・1,414.2億円で、いずれも過去最高を更新している(投資・ロマンス詐欺は含まない)。為政者は反省すべきである。

もはや、旧態依然とした考え方では闇バイトは防げない。筆者が考えるに、複数の改善点がある。

まず、警察頼みではなく、文科省(倫理道徳及び情報リテラシー教育)、総務省(SNSプラットフォーム整備)、厚労省(キャリア教育)と、省庁の垣根を越えた協働を念頭に置くべきである。

つぎに、行政目線ではなく、若者に刺さる警告を発し続ける必要がある。政治家や官僚が、「ダメ絶対闇バイト」などと拳を握っても、若者はスルーする。若者への周知は、若者目線に立って、彼らが耳を傾ける人物を起用し、短く、刺さるフレーズで注意喚起すべきである。

最後に、周知レベルが全く足りない。コロナ禍における三密を避ける等の広報と比べれば、周知不足は一目瞭然であろう。

特殊詐欺関連犯罪で逮捕される者は年間6000人以上

昨年、特殊詐欺に関連する犯罪で、なんと6,489人が逮捕されている。特殊詐欺関連で逮捕される者の多くは青少年である。そして、特殊詐欺に限定してみると、平成27年(2015年)の2,506人以降、令和7年(2025年)の2,307人まで、検挙人員は毎年2000人を超えている。

トクリュウ犯罪に加担して逮捕されたら、その後の生活はかなり制約される。残りの人生は、険しい隘路を歩むことを余儀なくされる。敢えて厳しい言葉を使えば、逮捕された実行犯らは「社会的廃人」になる可能性が大きい。彼らは一体、どこに行くのだろうか。

筆者が恐れていることがある。それは、ワンチャンゲットの夢破れた前科者は、「無敵の人」と化し、再犯に至ることで、さらに被害者を増やす可能性があるのだ。

今回の強盗殺人事件は、社会からの警告である。政府の本気度に期待したい。

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