第3のビール「格上げ」相次ぐ…10月酒税改正でビールとの価格差縮小、主力ブランド刷新も
10月の酒税改正を控え、ビール大手各社が第3のビールをビールへと相次いで「格上げ」している。
減税対象となるビールと第3のビールの価格差が縮まり、需要の拡大が見込まれるためだ。各社は主力ブランドの商品力強化も進め、幅広い世代の消費者を取り込みたい考えだ。(水野友晴)
割安感薄れ
キリンビールは27日、第3のビール「本麒麟」の麦芽比率を高めてビール化し、11月に発売すると発表した。「麦100%」への刷新でビールファンが好む麦本来のうまみを感じられる味わいに仕上げたという。
今村恵三マーケティング部長は27日の発表会で、「主戦場は中価格帯だが、低価格帯に関しても節約志向を背景にニーズは一定程度ある。その中でおいしいビールを飲みたいというニーズに応えるため、本麒麟をビール化する」と意気込みを語った。
他社も割安感が薄れる第3のビールの「ビール化」に乗り出している。
サントリーは第3のビール「金麦」の麦芽比率を高め、10月にビールとして売り出す。すっきりとした後味を保ち、飲み応えを強化するという。サッポロビールは10月以降、第3のビール「GOLD STAR(ゴールドスター)」と「麦とホップ」をビールとして発売する。アサヒビールも「クリアアサヒ」のビール化を検討している。
回帰進む
酒税改正は、類似する酒類同士の税率差が商品開発や販売数量を左右する状況を改め、税負担の公平性を確保しようと2020年から段階的に実施されてきた。
今年10月の改正では、350ミリ・リットル換算でビールと発泡酒、第3のビールの酒税が54・25円に一本化される。前回23年の改正時からビールが9・1円の減税、発泡酒や第3のビールが7・26円の増税となる。
第3のビールはこれまで、税率の低さに伴う低価格を武器にシェア(占有率)を伸ばし、20年にはビール類市場の販売数量で46%とビールを上回っていた。その後の改正で価格差が縮まり、23年にはビールが52%、第3のビールが33%となるなど、「ビール回帰」が進んだ。
各社は、10月の改正でこの傾向がさらに加速するとみて、商品力の強化にも取り組む。キリンは主力の中価格帯ビール「一番搾り」を8月製造分から刷新。ホップの配合比率を変え、麦特有のクセを抑えた。
サントリーは昨年12月に「ザ・プレミアム・モルツ」の製法を見直し、コクを強化。アサヒは主力のスーパードライとは異なる味わいの新商品「アサヒゴールド」を4月に発売し、今後はスーパードライの刷新も予定している。
