訴訟大国アメリカの宿命か…建設中の大谷翔平《ハワイ30億円別荘》「訴訟トラブルの深層」ライフライン整備ができない可能性も

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ドジャースの大谷翔平(31歳)が「購入者第1号」となったハワイ島での別荘開発事業。同計画では2025年夏ごろ、訴訟トラブルが発生したことがすでに報じられている。法廷闘争は長引くものと見られていたが、急転直下、今年3月6日に和解が成立した。

訴訟を取り下げた理由について詳細は明らかになっていないが、当時訴訟を提起したひとり、ハワイを拠点にするデベロッパーのケビン・J・ヘイズ氏は「誤解があったことを認識した」と声明を発表している。これにて一件落着……誰もがそう思ったはずだ。

ところが今、その別荘建設計画が新たなトラブルに見舞われていることが、本誌の取材で明らかになった。

【前編記事】大谷翔平「二刀流」復活の裏で…《30億円ハワイ別荘計画》でまたもトラブル発生【リゾート会社と投資家が大揉め】』よりつづく。

別荘は無事「デコピン社」で登記されたが…

実際、今年3月の和解をもって物件の譲渡も進んだと見られる。現地の不動産情報を確認したところ、和解成立と同じ3月6日に、大谷が購入した区画は「デコピン社」の名義で登記されていた。同社は資産管理などのために大谷が設立した会社で、役員には大谷の代理人であるネズ・バレロ氏も名を連ねている。ちなみに、譲渡契約書にもバレロ氏の署名が記されていた。

ハワイの日系不動産業者が明かす。

「大谷氏の別荘はすでに着工段階に入っているようです。不動産サイトで『ザ・ビスタ』の航空写真を見ると、一つだけモザイクがかけられている区画がある。よく見ると、建造物のような物影が見て取れる。これが建設中の大谷氏の別荘の一部と見られます」

ところが──。その後明らかになったのが、今回のトラブルである。

実はヘイズ氏らは、大谷らとの裁判と並行して、「キングスバーン社によって不当に経営から外された」として同社に対して訴えを起こしていた。昨年中に米国の「仲裁協会」に申し立てを行っていたのだ。

日本では聞きなれない「仲裁協会」について、ニューヨーク州とカリフォルニア州の弁護士資格を持つ、国際弁護士の清原博氏が解説する。

「仲裁協会とは紛争を解決するための中立的な組織で、米国における労働争議において一般的に利用されています。仲裁人による1回の審理で結論が出るため、民事訴訟よりもスピーディーであることが利点。裁判所の判決と同等の法的効力があるため、多くの当事者はこれに従います」

新たな申し立ての「内容」とは

ヘイズ氏らの申し立ては、今年2月26日に仲裁協会によって認定された。その内容は、「(KHM社における)すべての役員会審議および決定に参画させること」と、「協定および仲裁人の承認がない限り、会社の資産の売却、譲渡(中略)を禁止する」というもの。つまり、ヘイズ氏と松本氏が別荘開発事業から除外されたことを無効とする内容と言える。

その後、さらに法的効力を強めるため、ヘイズ氏らはハワイ州裁判所に対しても「仲裁判断の承認を求める申し立て」を行っている。そして、この申し立ても4月1日に承認された。仲裁協会に続き、裁判所もヘイズ氏らを別荘開発事業に復帰させるよう命じたわけだ。

「会社の資産の売却、譲渡を禁止する」という決定により、ヘイズ氏ら抜きに別荘開発事業は進められなくなった。これによって、何が起きるのか。

本誌はヘイズ氏および松本氏に質問状を送り、電話でも問い合わせを行ったが、期日までに回答はなかった。

大谷の代理人であるバレロ氏に質問状を送ったところ、別荘開発事業に詳しい関係者が次のように明かした。

「(ヘイズ氏らとキングスバーン社の)紛争については承知していますが、デコピン社にはなんの関係もない話です。大谷氏の別荘は問題なく建設が進んでいます」

確かに、登記が済んでいることからも明らかなとおり、デコピン社が購入した区画はすでに同社が所有者である。そのため、当該区画での建設は裁判所の認定外のことだ。

このままでは「ポツンと一軒家」状態に?

しかし一方で、危惧すべき事態もある。前出の清原氏が言う。

「ヘイズ氏と松本氏がプロジェクトに復帰したとしても、決定的に拗れてしまったキングスバーン社との関係が元に戻るわけではない。今後も、トラブルが起きる可能性は高いでしょう。

特に、ハワイ島での別荘開発事業の用地のうち、『共有部分』の開発についてはヘイズ氏も含めた役員会の決定によって進められていくことになりますが、審議が紛糾することも考えられる。そうなれば、リゾート内の道路や電気、上下水道などの整備は前に進まなくなります」

つまり、大谷の区画に豪華な別荘が完成したとしても、売れ残っている区画や周囲の共有施設、ライフラインの整備ができず、さながら「ポツンと一軒家」状態になる可能性があるのだ。

清原氏はさらに、「そうなれば、今度は大谷サイドや他の所有者が、KHM社やキングスバーン社を相手に訴訟に踏み切る可能性もあるでしょう」との懸念も示した。

のどかな南の島が泥沼の係争地と化してしまうのは、訴訟大国アメリカの宿命というべきか……。スポーツ界の至宝が静かにオフを過ごすことができる「パラダイス」が完成するのは、いつになるのだろうか。

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「週刊現代」2026年5月25日号より

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