【インタビュー】NHK党関連で20件訴えられ…選挙ウォッチャーちだい氏語る「スラップ裁判の恐怖」

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裁判所は『スラップ裁判』だと認定

NHKから国民を守る党』(以下NHK党)党首・立花孝志被告(58)や同政党に関する複数の訴訟の代理人を務め、『NHK党』から国政選挙に出馬した福永活也弁護士(45)が、選挙ウォッチャー・ちだい氏(47)に対し、SNS等で名誉を毀損され、名誉感情を侵害されたとして損害賠償を請求していた裁判の判決が出た。ちだい氏は『「NHKから国民を守る党」とは何だったのか?』の著者でもある。

ちだい氏は福永弁護士から4件目の訴状が届いたことに対して、‛25年4月25日に自身のSNSに、

〈なんだこのスラップ裁判。(中略)こいつら全員まとめてブタ箱に入るべき!反社会的カルト集団!クソカルトども!〉

と配信したことについて、「クソスラップ裁判」、「こいつら全員まとめてブタ箱に入るべき」「反社会的カルト集団!クソカルトども!」という表現が、名誉を毀損、または名誉感情を侵害されたと福永氏から訴えられたのだが、2月6日に出た判決は

1 原告の請求を棄却する

2 訴訟費用は原告の負担とする

と、ちだい氏が勝訴した。

また、’25年4月28日、ちだい氏がnoteに投稿した内容の中に福永弁護士の名前が複数回出てきて、

〈自分たちが犯罪行為や不法行為を平然かつ盲目的に次々と行った結果の蓄積であり〉

と表現したことに対し、福永弁護士は、犯罪行為や不法行為を次々と行ったのは『NHK党』であって、自分は無関係で迷惑行為や不法行為はしていないと反論。ちだい氏を名誉毀損、名誉感情の侵害を訴えていたのだが、こちらも2月9日に出た判決で、ちだい氏の完全勝訴となった。

「最も重要なポイントは〈福永活也がスラップ裁判を仕掛けている〉という表現に『真実性』が認められたことです。つまり彼が僕に仕掛けた裁判は『スラップ裁判』だと認定されたと同じことです」

と話すのは、裁判に勝利したちだい氏だ。

『スラップ裁判』、または『スラップ訴訟』とは何か。法曹関係者は、

「勝訴の見込みがないにもかかわらず、相手方への嫌がらせや言論抑圧を目的とし、また“この人を批判すると面倒くさいことになるから止めよう”となるように、第三者への萎縮効果などを狙って起こす訴訟のことです」

と説明する。

そんなスラップ裁判NHK党やNHK党関係者から仕掛けられ、戦い続けているちだい氏。そこで筆者は今回の判決のみならず、NHK党との戦いやスラップ裁判の恐怖などについてインタビューを行った。

批判したってかまわない。どんどん書いて

ちだい氏が初めて『NHK党』党首・立花被告に出会ったのは今から約9年前の’17年11月のこと。東京・葛飾区議会議員選挙の選挙中のことだった。

「選挙ウォッチャー」活動を始めて、2つ目の取材。 JR亀戸駅・南口で、候補者だった立花被告を見つけ、声をかけたという。

「フレンドリーで気さくな感じはしたんですが、ちょっと変なおじさんだと思いましたね」(ちだい氏、以下同)

その後、新小岩の駅前で再び、立花被告を目撃。立花被告が共産党候補者と揉めている光景を見て、こう感じたという。

「こんな些細なことも話し合いで解決できず、わざわざ警察を呼んで騒ぎを起こすような人物は、政治家の資質に欠けるんじゃないか」

そして、葛飾区議選のレポート記事で

「面倒くさいオジサンだ」

と、批判とまではいかない記事を書いたのだが、当時はまだ立花被告も

「批判したってかまわない。どんどん書いてくれ」

と鷹揚な態度だったという。

ふたりの関係が急激に悪化したのは、’18年4月以降。ちだい氏は『練馬区議補選2018・NHKから国民を守る党のスタンスについて。』と題した、立花被告と『NHK党』を初めて批判した記事をnoteで公開した。

ほどなくして、『NHK党』と立花被告、党関係者からの“攻撃”が開始され、まずはSNS等で「対ちだい・ネガティブキャンペーン」が始まった。そして次々と『スラップ裁判』が仕掛けられるようになった。

「『NHK党』関連の最初の裁判は、出版社が運営するニュースメディアの記事に対して、名誉毀損だと出版社を訴えてきた裁判です。結果は立花被告の請求は棄却され、出版社が勝ちました。これもスラップといえばスラップなんですが、そのあと僕自身を訴えてきて、立花被告は負けています。その次に、立川市議選に立候補した『NHK党』所属の久保田学氏が、また名誉毀損だと訴えてきたのです。このときは反訴してこちらが勝訴し、裁判所が正式にスラップ裁判だと認めました」

被告=悪人というイメージ

’19年5月12日に久保田氏が配信したニコ生動画の中で、立花被告は次のように語っていた。

〈この裁判はそもそも、ちだい君からおカネをもらうためにやったんではなく、いわゆるスラップ訴訟。スラップっていうのは、裁判をして相手に経済的ダメージを与えるための裁判のこと。弁護士費用は勝っても負けても当事者が払えということになっている〉

立花被告が言う通り、ちだい氏には経済的な負担が重くのしかかった。

「弁護士を雇うか雇わないかは自由で、雇わなければ弁護士費用はかからないのですが、雇わない人はあまりいませんよね。『負けてもいい』という人はなるべくおカネをかけないように本人訴訟をするでしょうが、僕の場合は一応言論の世界にいるわけですし、万が一、手続き上の瑕疵があって、負けると困るので弁護士を雇いました。ですから弁護士費用をどうにか捻出しなければならず、当時は苦しかったですね。支えてくれる人はいましたが、持ち出しがけっこうありました」

現在は多くの人が支援してくれて、弁護士費用に困ることはないという。だが、ちだい氏を苦しめたのは、金銭面だけではなかった。

「『NHK党』が誰かを訴えたといっても、被告がよほど有名な人でもない限り、一般の人はわからないでしょうし、興味もないと思います。ところが『NHK党』は特有で、“あいつは被告で、悪者だ”と大宣伝を行うのです。“被告”すなわち『訴えられた人=悪人』と、一般の人は捉えやすいので、イメージが下がってしまうんですね。動画をチェックするたび、嫌な気分になりました」

数多くのスラップ裁判NHK党関連から仕掛けられてきた、ちだい氏。いったいどれほど戦ってきたのだろうか。

「立花被告、『NHK党』、党関係者は、僕だけじゃなく、noteや僕が書いたものをリツイートした人など、片っ端から訴えてくるんです。関係した周りの人たちに対するものを含めると、全部で20件です。僕自身に関しては福永弁護士が訴えてきたのが4件で、それ以外のNHK党関係者が訴えてきたのが6件。1件だけ負けましたが、それ以外は勝訴しています。ただ控訴されているものや結審はしているものの、まだ判決が出ていないのもあり、全部終わったとは言えません。とはいえ、地裁では結果が出ていて、裁判的に争っているものは今はありません」

そして、今後については、

「これで止まると思いますが、福永弁護士は200件まで訴えると言っており、まだまだ(ちだい氏を提訴する人を)募集中としています。ただ、これだけ負けていると、応募してくる人はいないでしょうね。でも一応本人はまだやると言ってます。もちろん受けて立ちます」

と、強い決意を語ってくれた。ちだい氏とNHK党との戦いはまだまだ続くーー。

取材・文:佐々木 博之(芸能ジャーナリスト)