ロレアル が化学メーカー「美容業界の秘密兵器」に投資する理由

記事のポイント
ロレアルがアップサイクル原料企業のP2に投資し協業を進めている。
木材廃棄物などを活用し高機能な美容原料を開発している。
循環型経済を実装する原料改革が業界変革を後押ししている。
ロレアルがアップサイクル原料企業のP2に投資し協業を進めている。
木材廃棄物などを活用し高機能な美容原料を開発している。
循環型経済を実装する原料改革が業界変革を後押ししている。
米コネチカット州に本拠を置く化学製造企業、P2サイエンス(P2 Science)は、ひそかに美容業界の「秘密兵器」になりつつある。
同社は、アップサイクルされた原料と「グリーンケミストリー(有害物質を含まない配合に重点を置くことを意味する業界用語)」を活用した、クリーンかつカスタム設計の原料を専門としている。
アップサイクル原料で急成長するP2サイエンスと大手ブランドとの協業実績
これまでに、レア・ビューティー(Rare Beauty)、モロッカンオイル(Moroccan Oil)、ヘレン・オブ・トロイ(Helen of Troy)傘下のカールスミス(Curlsmith)、P&G傘下のミエル(Mielle)、LVMH傘下のオーレ・ヘンリクセン(Ole Henriksen)などと協業している。
たとえば、初期の代表的な原料のひとつである「シトロポールF(Citropol F)」は、香りの持続時間を延ばす機能を持つ。
これは松の木の廃材をアップサイクルして製造されており、レア・ビューティーのファインドコンフォート ヘア&ボディミスト、モロッカンオイルのハンドクリームおよびボディクリーム、インナーセンス(Innersence)のクリーンヘアケア製品、ハービヴォア(Herbivore)のリップバーム、そしてオーレ・ヘンリクセンのスキンケア製品に採用されている。
もうひとつの「シトロポール1A(Citropol 1A)」は、スキンケアおよびヘアケア製品における保湿力を高める。
2023年には、ユニリーバ(Unilever)傘下のリビング・プルーフ(Living Proof)向けに、現在、同社のベストセラーである「ノー・フリズ・スムース・スタイラー(No Frizz Smooth Stylers)」の主力となる、独自のカスタム成分配合を発表した。
「独自のスムージング技術」と称されるリビング・プルーフのキャッチコピーには「うねりを75%低減し、96時間持続する6倍なめらかな髪を実現する」とある。
バイオ発酵とは異なる、天然副産物を活用した独自の原料開発モデル
現在、P2の原料は200を超える消費者向け製品に使用されている。しかし、ロレアルが出資するデビュー(Debut)などに代表される、発酵によって人工分子をスケールアップするバイオテクノロジー由来原料の流入とは異なり、P2はアップサイクルされた天然素材を有効な原料へと転換している点が特徴である。
「現在我々が原料を構築する方法は、パルプ・製紙産業の副産物、たとえばテルペンのようなものを原料にしている」と、P2サイエンスのCEOであるオイアナ・エリザルデ氏はGlossyに語った。
「木材廃棄物のようなものを使うと考えてほしい。それらは、もし我々が使わなければ焼却されていただろう。そして自然由来のこうした構成要素を活用して別の原料を開発し、それらを非常にユニークな方法で組み合わせている」。
ロレアルグループがアクセラレーターを通じて投資する戦略的意図
1月に発表されたとおり、ロレアルグループは新たなアクセラレータープログラム「L’AcceleratOR」を通じてP2に投資している。
Glossyが以前報じたように、ロレアルグループは5年間で13社のグローバル企業の成長を加速させるために1億1700万ドル(約175億5000万円)を投じる計画であり、P2はそのうち米国から選出されたわずか2社のうちの1社である。
「101カ国から1000件近くの応募があった」と、ロレアルグループの最高企業責任者であるエズギ・バルセナス氏はGlossyに語った。
「我々が求めているのは、最初の6〜9カ月でソリューションとしてテストやパイロット運用ができるほど成熟した解決策。そこから我々が学び、彼らの事業拡大を支援する方法を見つけたい」。
ロレアルグループは、ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のサステナビリティ・リーダーシップ研究所および最高イノベーション責任者のジェームズ・コール氏と提携し、13社を選定、審査した。
コール氏はGlossyに対し、新たな原料メーカーや循環型ソリューションにもっとも期待していると語った。P2はその両方を体現している。
「スタートアップが大手企業と提携することは、我々のビジネスのあり方を再発明する可能性がある」とコール氏は述べた。
「現時点では、サプライチェーン全体に沿って物を購入しているが、循環型経済においては、素材は異なる方向へと流れる必要がある。そして、その取引を異なる方法で実現する、新しく興味深いビジネスモデルやプラットフォームがいくつか登場しているのを目にしている」。
循環型経済を見据えた新原料のスケール拡大と透明性の確保
これは近い将来、ロレアル製品に新しく革新的な原料が登場することを意味するかもしれない。
「もちろん、できる限り早く、最も拡張性の高いソリューションを実現したい」とロレアルのバルセナス氏は語った。
「しかしその過程において、得られた知見については非常に透明性を保ちたいと考えている。なぜなら、応募プロセスそのものでさえ、世の中にどのようなソリューションがあるのか、どのようなイノベーション・コミュニティとつながっているのか、そして我々が今何を活用できるのかについて、多くのことを教えてくれるからだ」。
[原文:Why L’Oréal Groupe is investing in P2 Science, the ingredient company quietly working with Rare Beauty and Living Proof]
Lexy Lebsack(翻訳、編集:藏西隆介)
