【アニメ大先生】夢と絆が熱を帯びる終盤戦へ『プリンセッション・オーケストラ』
本コラム『アニメ大先生』は、「人生で大切なことはすべてアニメが教えてくれる」をテーマに、アニメを通じて得られる学びや気づきを綴る連載である。
連載第18回を迎えた「アニメ大先生」。今回もこの人、八木美佐子アナウンサー(14回目)とともに、新春のアニメ談義に花を咲かせる。今回紹介するのは、少女たちの歌声がシンフォニーを奏でる話題作『プリンセッション・オーケストラ』。 華やかな変身シーンと心躍る楽曲、そして彼女たちが紡ぐ物語。八木アナがその魅力をタクトを振るうようにナビゲートする、濃密なコラムをお楽しみいただきたい。
新年最初の驚きは、父の話でした。50代の父は歯槽膿漏が進行し、下の歯がわずか3本になってしまったというのです。衝撃のあまり、「一刻も早く治療してほしい」と願わずにはいられない新年の幕開けでした。
「風呂キャン」という言葉がある昨今、私は「歯磨きキャン」だけは絶対にしないと心に誓いました。2026年、こんなにも切実でピュアな目標を立てることになったのは、「初心に帰れ」というお告げなのかもしれません。
……さて、急に歯の話から入ってしまいましたが、ここからは私のもうひとつの生活習慣――ニチアサの話をさせてください。
日曜朝9時。子ども番組の時間帯に大人も胸が高鳴る――今回ご紹介するのは『プリンセッション・オーケストラ』です。少女たちがプリンセスに変身し、歌の力で迫り来る脅威に立ち向かう物語となっています。
舞台は不思議の国「アリスピア」。女の子だけが入れる秘密の世界で、動画配信サイト「アリスピアch」から訪れられます。歌やダンス、料理など、自分の「好き」を自由に楽しみながら、”なりたい自分”を叶えられる場所。動画サイト経由で異世界にアクセスする発想が、すごく令和っぽいです。
この設定に触れたとき、私は中学生の頃を思い出しました。当時の私は、動画サイトにアップされる「歌ってみた」「踊ってみた」に首ったけで、画面の向こうに広がる世界に心を奪われていました。けれど私は憧れるだけで、周りの目を気にして一歩も踏み出せないまま大人になってしまいました。――まるで才能があるような語り口ですが、歌はジャイアン級、踊りはマツケンサンバのステップすら怪しいです。ただの承認欲求お化けで、すみません。
だからこそ、知り合いの十代の方が最近ボカロPを始めたと聞いたとき、思わず嬉しくなりました。好きなことに対して真っ直ぐでいられる姿は尊いに決まっています。
その誰かの「好き」を未知の怪物から守るために、少女たちはプリンセスへと変身します。作品のギアがさらに上がるのは、ここからです。ニチアサらしい変身ヒロインの王道に、音楽を芯として据えた瞬間、物語は一気に熱を帯びます。企画原案の金子彰史さんといえば『戦姫絶唱シンフォギア』。”歌とバトル”が生むあの熱いカタルシスが、日曜の朝に受け継がれていますッ!!(熱量は文字表記から感じてくださいッ!)何より痺れるのは、戦闘中の歌がその場の息遣いごと、毎回アフレコで収録されていることです。踏ん張りや声の揺れまでが臨場感として刻まれ、歌に残っています。言うなればミュージカルのように、歌が感情とアクションをつなぐ回路になっているのです。
主人公のみなもたちは普通の中学生で、最初から完璧なハーモニーを奏でられるわけではありません。弱さを見せ、ぶつかり、言葉にできなかった日――その揺れごと重なったアンサンブルと、旋律に勇気を乗せていく姿に思わず息を飲みます。
