海外を含め、各地でプレーすると同時に“生活”をしていた李氏。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

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【不屈のストライカー特別インタビュー(2回/全10回)】

 不屈の闘志で成り上がり、その左足で光と影を目定めた李忠成。ユニホームを脱いだ2023年9月からは新たなステージで挑戦を続けている。特別インタビューで胸の内に迫った。

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 李氏はイングランドのサウサンプトンでの挑戦に区切りをつけて以降、浦和レッズ、横浜F・マリノスと渡り歩き、2020年に京都サンガF.C.に加入した。その直前の2019年は横浜でJ1制覇を味わったものの、個人的には結果を残せておらず、柏レイソル時代以来、14年ぶりのJ2で再起が期待されたが...。

 京都には2年在籍し、1年目はリーグ戦5試合でノーゴール、2年目は17試合でノーゴールに終わった。

「京都は苦しかったですね。京都での1年目が今までで1番苦しかったんじゃないですかね。ピーター・ウタカという素晴らしい選手がいたので、彼と一緒にできるかなと思ったんですけど...上手くいかなかったですね」
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 ピッチ内で苦しんだ元日本代表FWだが、私生活の話はまた別だ。なにせ、暮らした街は世界に誇る古都である。

「素晴らしい経験ですよ。世界的にも価値のある街なので。京都で暮らせた2年間で自分の世界観を広げられました。やっぱり京都って独特じゃないですか。外見もそうだし、中身もそう。京都の人と今でも仲良くさせてもらっています。当時はちょうどコロナだったんでね、観光客がいなくて、すごく回りやすかったですよ」

 屈指の観光地であり、人で溢れる京都。しかしサッカー面ではどうか。李氏は「ポテンシャルから逆算したら、なんで京都サンガがあんなに盛り上がらないんだろう」と首をかしげる。

「もっと盛り上がっていいのにって思った時に、京都の人たちってエンターテインメントを求めに行かないんです。ホスト国なので。ホストするのにいっぱいいっぱいで、多分土日に試合を見に行けないんです、と僕は分析しました。京都人じゃない僕だからこそ」
 そうしたなか、2020年に新たなサッカー専用スタジアム「サンガスタジアム by KYOCERA」が誕生。機運は高まっている。

「サッカー専用スタジアムを建てるのは、色んな人たちの尽力がなければできない。広島もそうです。建つまでに色んな人たちが苦労したのを知っているので、感動でしかないし、建ったから終わりじゃなくて、建った後、京都サンガがJ1で優勝争いをする強いチームになってほしいです。日本サッカーがもっともっと盛り上がってほしいなというなかでは、世界でも有名な京都にサッカー専用スタジアムがあるのは、すごく意義のあることですよね」

 そういえば、同じく李氏の古巣で、サッカー専用の新本拠地ができたサンフレッチェ広島のドイツ人指揮官、ミヒャエル・スキッベは先日、「広島に来れて本当に良かった。3年住んでいるけど、本当に生活しやすくて綺麗なところだ。素晴らしい街だと思う。京都も良いけどね(笑)」と口にしていた。

 その発言を伝えたうえで、李氏に「最も住みやすかった良かった街」を尋ねると、食い気味に「広島じゃないですか」という答えが返ってきた。ただ、その上を行くのがフットボールの本場、イングランドである。「イミグレーションでサインするぐらい」の格別なステータスがあったという。

「広島はある程度発展しているし、海、山、川があって、自然が豊かなのが最高に良いですね。サウサンプトンはもう別格。特別賞みたいな感じで、1位、2位、3位じゃないです。

 サウサンプトンは田舎町なので、試合が上手くいったら街中で『ウェーイ!リ・タダナリ・リ!』みたいな感じです。フットボーラーにリスペクトがありますよね。それと、僕が行った時はアジア人がいなかったので、子どもたちが僕の顔を見てびっくりしていましたね。『なにこの人間』みたいな感じ(笑)。それぐらいいなかったです」

 イングランドでの暮らしは、食事面でも充実していたようだ。

「美味しいですよ。というのも、イギリス料理は食べないですもん。イタリア、スペイン料理、中華があるので、全然合いますね。イギリス料理で食べるものと言ったら、フィッシュ&チップスぐらいじゃないですか」

 まさに、住めば都。さすらいのストライカーにとっては、行く先々が故郷となった。

取材・構成●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)