新体制下では右ウイングバックで起用されている宮市。「攻守に貢献したい」と意気込む。写真:元川悦子

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 チェルシー時代にはジョゼ・モウリーニョ監督、イングランド代表時代にはガレス・サウスゲイト監督のもとでコーチを務めるなど、ハイレベルな経験を積み上げてきたスティーブ・ホーランド監督を招聘し、新たな一歩を踏み出した横浜F・マリノス。新指揮官は3−4−2−1の新布陣を採用。1月22日の大分トリニータ戦(30分×3本)が初実戦の場となった。

 1本目は1トップにアンデルソン・ロペス、2シャドーにヤン・マテウスと新加入の遠野大弥を配置。中盤を渡辺皓太と山根陸がコントロールし、山村和也や松原健、渡邊泰基らが最終ラインを形成する形で戦った。

 右ウイングバックに入ったのは宮市亮。昨季までは後半途中からギアを上げる「ゲームチェンジャー」の役割を託され、主に左MFで推進力を発揮。数多くのフィニッシュに絡んでいたが、今季はより長い距離をアップダウンするポジションでチャレンジすることになったのだ。

「やりづらさはないですね。逆にやりやすいくらいだと思います。ドイツのザンクトパウリでも何回かやったことがありますし、プレミアリーグのウィガン時代もやりました。僕のスピードを活かしやすいと思うので、攻守において貢献していきたい」と本人はポジティブに捉えている様子だった。

 しかしながら、1本目はビルドアップが想像以上に停滞。なかなかボールが前線に入らない。シュートらしいシュートも渡辺が放ったミドル1本のみ。かなり苦しい30分間を強いられたのは間違いないだろう。
 
 横浜が戦術理解の途上にあるうえ、同じく3−4−2−1の大分がマンツーマンで対応してきたこともあって、宮市自身もボールを受けて、出しどころを探すシーンが目立った。手応えを掴めたとは言い難い内容だったが、「すぐにアダプトできるわけでもないし、時間がかかるとは思う。実戦を積んでいくことが大事」と本人はしっかりと先を見据えていた。

「右サイドだったら、シャドーと右センターバックの選手、ボランチ、フォワードを含めてもっとグループになって崩すことをやっていかないといけない」と、2・3本目で右ウイングバックに陣取った井上健太も強調していたが、今の宮市は周囲とベストな関係性を築くべく、自らアクションを起こしていく必要がありそうだ。

 中京大中京高に在学中だった2011年にフェイエノールトで鮮烈デビューを飾ったアタッカーも、今や32歳。今季のチームでフィールドプレーヤーでは上から4番目の年齢になった。

「(水沼)宏太君もチームを離れましたし、やっぱり自分がベテランになってきたなと感じてます。そのなかで自分の価値を出していかないといけない。使う、使わないは監督が決めることですけど、まだまだ高みを目ざせると思うので、前向きな姿勢で頑張りたい。リーダーになっていけるような活躍をしたいです」と彼は今一度、目を輝かせていた。

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 右ウイングバックとなれば、スプリントや走行距離が増えるし、フィジカル的な負荷は大きくなる。ホーランド監督は英語でダイレクトにコミュニケーションできる宮市をスタートから使おうとしている様子で、プレー時間も確実に長くなるはずだ。

 そういう状況下でシーズンを通しフル稼働していくことは、怪我の多い宮市にとって大きな挑戦以外の何物でもない。30代でも高強度のパフォーマンスを維持できることを、今季の彼は証明しなければならないのだ。

「自分が理想とする右ウイングバック像は、やっぱり内田篤人さん。長い距離を走れて、守備も攻撃もできる選手だと思うので。そのためにも、とにかく離脱しないことが第一。トレーニングに参加し続ければコンディションも上がっていくとは思いますけど、シーズンは長いので、ホントに長期的な目線で見ないといけない。集中してやっていきます」

 こう語る宮市が新たなポジションで新境地を開拓してくれれば、横浜にとって紛れもなく朗報と言っていい。
 
 2月からはアジア・チャンピオンズリーグ・エリートが再開。J1開幕後もハードな日程を余儀なくされる。右ウイングバックも宮市と井上がうまくカバーし合いながらこなしていく形になりそうだ。

 井上にはドリブル突破という武器があるし、宮市には爆発的な速さと縦の推進力、裏抜けの迫力といったストロングがある。それを対戦相手や状況に応じて有効活用できるようになれば、ホーランド監督が思い描く完成形にも近づいていくはずだ。

 今季の初実戦となった大分戦は0−1で苦杯を喫したが、「これから課題をどんどんクリアしながらやっていける」と指揮官は前向きだ。左右のウイングバックが数多くのチャンスに絡めるように、ここから一気に成長速度を引き上げていくことが肝要だろう。

取材・文●元川悦子(フリーライター)