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リマック・ネヴェーラが8月18日、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)における市販EVのラップレコードを更新し、7分05秒298という驚異的なタイムを記録した。

【画像】ニュル最速の市販車トップ3【メルセデスAMGワン、ポルシェ911 GT2 RS、メルセデスAMG GTを写真でじっくり見る】 全88枚

「緑の地獄」と呼ばれる全長約20kmのニュルブルクリンクで7分に迫るタイムを記録したことは、どのメーカーにとっても快挙である。市販EVの世界最速ラップを叩き出したネヴェーラは、リマックの技術力を世界に示したと言えるだろう。


複数回に分けて、各カテゴリーの最速マシンを紹介していく。

記録挑戦走行でステアリングを握ったのはクロアチア人のレーシングドライバー、マルティン・コドリク氏で、これまでの市販EVの記録(テスラ・モデルSトラックパックの7分25秒231)を20秒更新した。

ニュルブルクリンクというサーキットは、マシンのどの部分が、どのように機能しているか、そしてどこを改善する必要があるかについて、比類ない洞察を与えてくれる。そのため、ニュルブルクリンクのラップレコードは自動車メーカーにとってある種の栄誉であり、「最速」の栄冠を目指して何年もかけてマシンを磨いてきたメーカーもある。

ラップタイムは車両のタイプごとに分類されている。この特集では、主要カテゴリーにおける最速ラップタイムを紹介していきたい。まずは市販車部門(本記事)から取り上げ、前輪駆動車、四輪駆動車、後輪駆動車、EV、そしてカテゴリー不問の順に触れていく。

1点、2019年から「公式」のコース全長が長くなったという点には注意したい。それ以前はコース最後の短いストレート区間「T13」が事実上省かれており、全長20.6kmでタイムが記録されてきた。しかし、現在は232m長い全長20.832kmとして記録されている。その違いの一例として、ポルシェ911 GT2 RSの記録(後述)は旧基準では6分38秒835となる。

市販車部門:1 - メルセデスAMGワン - 6:35:18

まずは、市販車として最速記録を達成したマシンを紹介しよう。

メルセデスAMGワンは、ニュルブルクリンクの公道走行可能な市販車最速ラップを更新し、それまでの記録を10秒近く縮めた。


1 - メルセデスAMGワン

10月28日にDTMドライバーのマロ・エンゲル氏がドライブし、156コーナーからなる北コースで6分35秒183を記録した。このラップタイムは、スーパースポーツカー部門の最速記録でもある。

「公道を走るF1マシン」と称されるワンは、メルセデスAMG史上最もパワフルな市販車であり、F1用の1.6L V6ターボエンジンの改良型と4基の電気モーターが組み合わされたハイブリッドシステムにより最高出力1063psを発生させる。価格も220万ポンド(約4億円)からと豪快だ。

2 - ポルシェ911 GT2 RS(マンタイ・パフォーマンスキット装着車) - 6:43:30

ポルシェのワークスドライバーであるラース・カーン氏に導かれたGT2 RSは、平均速度185km/h、従来の記録を4.747秒更新する6分43秒30でニュルブルクリンクを完走した。

記録挑戦車にはマンタイ・パフォーマンスキットが装着され、シャシー、ブレーキ、エアロダイナミクスが変更されている。中でもエアロは重要で、フロントスポイラーのフラップ、カーボンファイバー製アンダーボディ、フロントホイール周りのエアガイドエレメントなどが追加された。車両後部には、新しいスポイラー、改良型ディフューザー、エアロディスクが装備されている。全体として、200km/h走行時のフロントのダウンフォースは49kgから70kgに、リアのダウンフォースは93kgから200kgに増加している。


2 - ポルシェ911 GT2 RS(マンタイ・パフォーマンスキット装着車)

カーン氏はさらに速さを極め、2018年10月にはGT2 RS MRで6分40秒30という驚異的なタイムを記録している。実質的には同じマシンだが、サスペンションとエアロをニュルブルクリンク専用でセットアップした。とはいえ、公道走行が可能で、資金さえあれば誰でも購入できるアップグレードパーツが装備されていた。

3 - メルセデスAMG GTブラックシリーズ - 6:43:62

メルセデスAMGのフラッグシップ・グランドツアラーの究極バージョンが、ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJからわずか1.3秒差で市販車ラップレコードの栄冠を勝ち取った。レーシングドライバーのマロ・エンゲル氏がドライブする最高出力730psのGTブラックシリーズは、オプションのトラックパッケージを追加した以外はノーマルのまま。調整可能なエアロ、キャンバー、サスペンションはすべてサーキット走行に最適化されていたが、メルセデスは記録挑戦時の気温が低く、路面状況も良くなかったため、コンディションは「理想的ではなかった」と主張している。


3 - メルセデスAMG GTブラックシリーズ

4 - ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ - 6:44:97

ランボルギーニは、アクティブ・エアロダイナミクスのアップグレードを使用して、アヴェンタドールをサーキットでの記録を塗り替えるレコードブレイカーに変身させた。V12エンジンを搭載したアヴェンタドールSVJは、6分44秒97というラップタイムでニュルブルクリンクの市販車記録を塗り替えた。これにより、ポルシェ911 GTS RSは当時の2位に後退した。


4 - ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJ

5 - ポルシェ911 GT2 RS - 6:47:25

最高出力700psの911 GT2 RSは、ラディカルSR8LMよりも1.03秒速いタイムでノルドシュライフェを駆け抜け、当時の市販の後輪駆動車としては最速となった。ツインターボの3.8Lフラット6を搭載し、ラース・カーン氏がステアリングを握ったGT2 RSは現在、史上5番目に速い市販車となっている。


5 - ポルシェ911 GT2 RS

6 - ラディカルSR8LM - 6:48:28

ラディカルSR8LMは、2009年にミハエル・ヴェルジェ氏が6分48秒で完走して以来、ポルシェGT2 RSに抜かれるまでラップレコードを保持していた。王者ではなくなったが、今もまだトップ10圏内の座を守っている。ヴェルジェ氏がこのマシンを走らせたのは、記録走行のために英国からドイツまで移動したわずか24時間後のことだった。SR8LMは公道走行可能な市販車ではあるものの、完全な型式承認ではなく、英国の単一車両承認しか受けていないため、真の市販車記録として認められるかどうかについては議論がある。


6 - ラディカルSR8LM

7 - ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ - 6:52:01

次に紹介するのは、ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテだ。V10エンジンを搭載したウラカンのサーキット特化モデルで、バンパー、サイドスカート、リアウイングをカーボンファイバー製としたことにより、標準車より40kg軽量化されている。空力に最適化されたボディにより、0100km/h加速2.9秒、最高速度は320km/hに達する。ニュルブルクリンクでは、その獰猛なパワーと大型リアウイングが相まって、6分52秒強で完走した。


7 - ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ

8 - ラディカルSR8 - 6:55:00

SR8の2.6L V8エンジンは最高出力365psを発揮し、2005年にニュルブルクリンク記録を更新。このモデルもまたミハエル・ヴェルジェ氏がドライブした。SR8LMと同様、英国では完全な型式承認ではなく、単一車両承認しか受けていないため、市販車記録から除外して紹介されることもある。


8 - ラディカルSR8

9 - ポルシェ911 GT3 RS(991.2) - 6:56:04

992.1世代のGT3 RSは、ミシュラン・パイロットスポーツカップ2 Rタイヤ、軽量化のためのオーディオレス、ヴァイザッハ・パッケージ(もちろん、すべて純正オプション)を装着し、グリーンヘル周回に挑んだ。ポルシェのドライバーであるケビン・エストレ氏は、ハイブリッドスーパーカーの918スパイダーを1秒近く突き放してみせた。


9 - ポルシェ911 GT3 RS(991.2)

10 - ポルシェ918スパイダー - 6:57:00

918スパイダーはカーボンファイバー構造、ミドマウントの自然吸気4.6L V8、RSスパイダーから移植したサスペンション・セットアップを採用し、最高出力887ps、最高速度344km/hを誇り、新車時の価格は71万1000ポンド(約1億3000万円)からだった。0-100km/h加速2.2秒のパワーを武器に、マルク・リーブ氏の手によってニュルブルクリンクで6分57秒00を記録した。


10 - ポルシェ918スパイダー

11 - フェラーリ296 GTB - 6:59:42

2021年6月に発表された296 GTBは、初の「6気筒の真のフェラーリ」として発表された。最高出力663psの3.0L V6ツインターボにモーターを組み合わせたPHEVで、合計出力830psを達成。クリスチャン・ゲバルト氏がドライブする296 GTBは、ノルドシュライフェを6分58秒70で走破した。


11 - フェラーリ296 GTB

12 - ポルシェ911 GT3(992) - 6:59:927

911 GT3の最新型が先代モデルを上回る速さを見せたことに驚くだろうか? もちろん、そんなことはない。自然吸気の4.0Lフラット6は最高出力510psとわずかながらパワーアップしているが、それ以上に大きな違いを生み出しているのは、改良されたエアロと新しいダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションであり、先代よりも12秒近く速いラップタイムを実現した。


12 - ポルシェ911 GT3(992)

13 - フェラーリ488ピスタ - 7:00:03

ドイツの出版社『Sport Auto』による挑戦では、フェラーリ488ピスタはほぼ7分というタイムを記録した。


13 - フェラーリ488ピスタ

14. リマック・ネヴェーラ - 7:05:28

最高出力1913psのネヴェーラは、最高速度415km/hを達成したわずか1年後に、市販EV最速記録の栄冠を手に入れた。0-100km/h加速1.7秒という驚異的なタイムは、空力に最適化されたボディシェルとドライバーのマルティン・コドリック氏の技術による賜物だ。リマックはこのタイムを記念して、ペブルビーチで「タイムアタック」という特別仕様のネヴェーラを発表した。


14. リマック・ネヴェーラ