(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

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ポンコツ ”AI” とクラスメイトが織りなす、歌と音楽に彩られた極上の青春エンターテイメント作品『アイの歌声を聴かせて』。第45回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞に輝くなど、多くのファンを魅了し続けている劇場長編アニメのBlu-ray&DVDが好評発売中だ。

その発売を記念して、吉浦康裕監督を招いたアニメージュプラス主催によるスペシャルトークイベント『吉浦康裕監督の声を聴かせて』が8月6日に東京・新宿のLOFT/PLUS ONEで開催された。

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大きな拍手とともに登壇した吉浦監督は笑顔で挨拶しながら「今日はかなり上辺だけじゃない話をしようと思っています(笑)」と意気込みを語り、観客の期待を大いに煽る。
イベント前半戦は『アイの裏声を聴かせて』と銘打った、マル秘資料を大公開するコーナー。吉浦監督が映画制作中に使用していたというハードディスクをそのままステージに持ち込み、これまで公開していなかった貴重な資料を次々とスクリーンに映し出した。
▲イベント開催中の会場の様子

まず公開されたのは最初期の企画書。『私のAIの友達(仮)』というタイトルでまとめられたストーリー案は、キャラクターの名前は勿論のこと、メインキャラ3人だけで物語が進んでいく予定だったこと、さらにはロードムービー要素があったりしたことなどが明かされた。
『機動警察パトレイバーREBOOT』の作業を終えた2016〜17年あたりの構想とのことで、企画内容の詳細を忘れていたという吉浦監督は「プロット自体はすごく変わっているけど、今読み返すと話のコアは思ってた以上にまんまですね」と新鮮な気持ちで当時を振り返っていた。

続いて、キャラクター原案を担当した紀伊カンナさんの最初期デザインラフスケッチもここで初お披露目。決定デザインよりも少しお姉さんに描かれたシオン、ボーイッシュさが強めのサトミ、アヤのすっぴん顔など、これまで発表されていなかったスケッチ画が次々とスクリーンに映し出されて、すっかり観客の目は釘付けに。

吉浦監督のイメージを的確に捉えつつ、さらに上を行くセンスでまとめてくる紀伊カンナさんの絵に触発された吉浦監督、コンテ作業の上で大いに刺激を受けただけでなく、小道具や服装のデザインも併せて依頼することになったそうだ。
さらに女子高生の演出について紀伊さんから鋭く細かいツッコミが入ったことから、それ以降吉浦監督は自分のスマホにInstagramとTikTokのアプリを入れてチェックするようになった、と笑いをまじえながらその強い影響を語った。

さらにメカや美術設定、作品のためのロケハン写真などを映しながら吉浦監督が微に入り細に入り資料を解説。そして司会を務めたアニメージュプラス編集長・治郎丸がサプライズで吉浦監督を激励する谷口悟朗監督のビデオメッセージを公開したところで、イベント前半戦は終了した。
▲壇上の吉浦監督(右)、司会進行を担当したアニメージュプラス編集長・治郎丸

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

休憩を挟んでの後半戦は、Twitterで募集した質問に吉浦監督が答えていく質疑応答からスタート。独自考察に吉浦監督が思わず唸るような質問もあれば、「制作上の都合」というぶっちゃけ回答が飛び出すなど、ここだけの裏話が目白押しといった状態に。

サウンドトラックについての質問では、ミュージカルという要素が大事だったので洋楽的なセンスでバラエティ豊かな作曲が出来る高橋諒さんが候補に挙がったそうで、イベントで流れた楽曲を聴いたことで、映像と切り離しても素晴らしい楽曲であることを再認識したという。吉浦監督はこれまで同じ作曲家と2度組んだことがなかったが「今後もお仕事をお願い出来れば」と語り、高橋氏との出会いを喜んでいる様子も伺えた。

質疑応答の後はフリートークのコーナーに。吉浦監督はこの時間を楽しみにしていたとのことで「こういう要素があったら無条件で観る映画」というテーマを前もって用意していた。吉浦監督が挙げたそのジャンルは2つで、ひとつは「自立型ロボット(AI)を描いた作品」、そしてもうひとつが吉浦監督曰く「野生のトンデモ映画」。
後者は「トンデモな話を真面目な調子で語る映画」とのことで、その例としてM・ナイト・シャマラン監督『サイン』、クリストファー・ノーラン監督『プレステージ』、ジョセフ・ルーベン監督『フォーガットン』などの個人的な見どころを嬉々としてプレゼン。「もしそういう映画があったら、逆に教えてほしい」と観客にリクエストしていた。

大いに盛り上がったイベントも、遂にエンディングに。最後に感想を訊ねられた吉浦監督は「楽しかったですし、ロフトプラスワンでこっち側(ステージ)にいるのは初めてなので、とても嬉しかったです。今後もこういったイベントをやりたいです。次回作も頑張らなくちゃ(笑)」と改めて観客に感謝の気持ちを表した。「作品を作るのは仕事とかでなくて、もう自分の生き方なので」と今後の活動に関しても意欲的に語る吉浦監督に改めて大きな拍手が送られ、約3時間に渡るイベントは幕を閉じた。
▲最後までイベントを盛り上げてくれた吉浦監督。ありがとうございました!

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