2022年の清水加入が内定している加藤拓己。来季は大学とプロとしての両立が求められる。写真:安藤隆人

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 近年、Jリーグでは大学サッカーからプロ入りした選手たちの活躍が目覚ましい。Jクラブから見ても即戦力として計算できる大卒選手の需要はさらなる高まりを見せており、今年も明治大からは実に10人のプロ内定選手が誕生するなど、関東大学リーグに所属する多くのチームがプロ内定選手を抱えている。

 現在、明治大と首位を争っている早稲田大も3年生ストライカー・加藤拓己の清水エスパルス内定、4年生ボランチの鍬先祐弥のV・ファーレン長崎内定が発表された。

 早稲田大ア式蹴球部を率いるのは、チームのOBであり、ベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)を皮切りに11シーズンのプロ生活を送った、元Jリーガーの外池大亮監督。プロ選手、指導者としての顔以外にも現役引退後に広告代理店の大手である電通に勤務し、現在はスカパーに勤務するなど、社会人としても経験を積んでいる外池監督は、プロになるために必要な要素をどう捉えているのか。話を聞くと、まずは『主体性』が重要な鍵になると答えた。

「何かの指示を受けてプレーを選択するのではなく、その試合に臨むまでの過ごし方だったり、ゲームへの向き合い方だったり、大きく言えば自分がいる社会の中でどう生きていくか、どうなっていきたいかに至るまで、自分やチームに留まらず、社会や大学サッカーという世界を俯瞰しながら取り組める視座が必要だと思っています」

 大学サッカーは、サッカーだけを教える場ではない。4年間という歳月をかけて、視野を広げ、常に『社会とサッカーと自分』というものを相対的、かつ主体的に捉えて行動をする人間になるアシストをしていく場だと外池監督は捉えている。

「そのためにはまず彼らのアイデアや意思を尊重しながら、我々スタッフが積極的なディスカッションを行なっていくことが大事になります。その上で自分が置かれている状況、求められていることを感じ取って、アクションを起こしていく。もちろん我々、大人スタッフも変化の早い社会の中で、自らの経験だけに囚われないことを基軸としながら、その選手が置かれた状況をリスペクトすることが前提となります」
 
 サッカー選手として個の成長は最重要事項であることは間違いないが、社会人としては1つのプロジェクトを立ち上げ、プレゼンし、ディスカッションとグループワークを経て、目標を達成していくというサイクルを身につけさせることも重要視している。

「サッカー選手である前に一社会人であるべき。卒業後にプロに進む選手だけでなく、社会人になる選手も、チーム(企業)の一員として、大卒として自分の価値をどうやって作り出し、それをどう周りに認識してもらって、かつ周りを巻き込んで目標に突き進んでいけるかが重要になります。そこから逆算し、今ここで何をすべきかという判断基準がそれぞれに生まれる。そこをお互いがチームのためにしっかり発揮する、主張しあえたときに初めて高いレベルで刺激し合える仲間になると思っています」

 例えば加藤に関して言えば、プロ内定が発表されてから、来季以降、清水と早稲田大の両立をどうしていくべきかを真正面から話し合った。

「彼のようなJリーグを見渡しても、ここ最近いないような能力の高い選手がプロの世界にチャレンジすることは早稲田としても大きなこと。その一方で早稲田大でもプロ内定選手として周りから要求のレベルも上がってくるし、それをプレーで示さないといけない。加藤はそれをトライできる権利を掴んだことで、新たな試行錯誤が始まったと思う。だからこそ、良い意味でもがいてもらって、自分とどう向き合うか、どうすればこれまでとは違う新たな成長を作り出せるか。それをなくして日本を代表するエースになっていかないと思う」