1万9800円だけど意外と使えた。ドンキの激安ノート「MUGAストイックPC3」レビュー
激安ジャングルことドン・キホーテが、Windows PCを税別1万9800円で発売するというニュースが飛び込んできたのは2017年12月のことでした。「MUGAストイックPC」と名付けられたマシンは、安さと怖いもの見たさも手伝ってかなり売れたようですが、いかんせんメモリー2GBとストレージ32GBでは、本当にストイックな使い方に限定されたマシンでした。しかし1年後にはメモリーを4GBに倍増した後継機種の「MUGAストイックPC2」をお値段据え置きで発売。これもなかなかの人気であったと聞きます。
2019年には後継機の投入がありませんでしたので、このシリーズも「2」で終了かと思われたのですが、今年5月にUMPC「NANOTE」を同じく1万9800円で投入。そして8月28日には、「MUGAストイックPC3」が発売されました。価格は同じく1万9800円です。
▲発売日に無事ゲットした「MUGAストイックPC3」スペックはというと、CPUを従来シリーズに搭載のAtomからCeleron N3350(Apollo Lake)に変更、メモリー4GBは据え置き、ストレージ倍増の64GBとなりました。Celeron N3350はだいたい2017年頃の低価格エントリーノートやタブレットに使われてきたCPUです。
ノートPCとしてはまことにオーソドックスな作りで、天板には何のロゴもないという思い切りの良さ。重量は1.350gです。ACアダプタは細身の同軸型で、ケーブル長約1m17cm。床のコンセントから引っ張るには、若干短い印象です。
▲天板にロゴなど皆無 ▲スピーカーは背面▲付属のACアダプタディスプレイは14インチIPS液晶で、解像度は1920×1080ドットのフルHDタイプ。個体差はあると思いますが、筆者の購入した個体ではかなり色温度が低いです。「色の管理」によるマニュアル調整は必須かと思われます。ちなみに製造メーカーは恵安です。
▲どこに出してもおかしくない「普通」のパソコン端子は左側にUSB3.0端子、電源、miniHDMI出力。miniHDMIのケーブルなんて持ってたかなと不安になった方、ご安心ください。miniとフルの変換ケーブルが付属します。右側はUSB3.0端子、イヤホン端子、microSDカードスロット。
▲miniとフルのHDMI変換ケーブルも付属キーボードは日本語配列のみ用意されていますが、実際にタイピングをしてみると、多少手触りがパサパサした感じでしたが、概ね良好です。カメラは約30万画素で若干低照度に弱い感じもありますが、Zoom会議程度なら問題ない画質です。
▲右側が若干窮屈な日本語配列タッチパッドによる操作はもたつきもなく快適ですが、2本指を使ったスクロールは、ちょっと触れ方が変わると意図せずズームしたりタッチ選択になってしまいます。うまく使えるようになるまで、2日ぐらいかかるでしょう。
CINEBENCH R15でベンチマークもとってみましたが、CPU 84cb、OpenGL 10.16fpsと、かねてからCeleron N3350で計測されている値とほぼ同じです。
▲重い処理にはまったく向かないスペック付属アプリはキングソフトのMicrosoft Office互換「WPS Ofiice」ですが、公式サイトでは、今ならWPS2へのアップグレードを無料で行えるため、労せずWPS2をゲットできました。アップデートなどを完了した時点でのストレージ空き容量は、約39.9GBとなりました。
▲メーカー想定の標準状態でストレージ残量は約40GBさて、実際にいくつか原稿を書く仕事をこなしてみましたが、意外と普通に使えました。ネットサーフィンをしたり、PDFの閲覧、テキストエディタで原稿を書く、ぐらいのタスクなら普通にこなせます。タイピングが遅くなるということもありませんでした。また、YouTubeの動画は、EdgeだけでなくChromeでも問題なく再生できたほか、Zoomによる会議もOKでした。
CPUがAtomからCeleronになったメリットの一つは、グラフィックスエンジンがIntel HD Graphics 500になったことでしょう。また、4K解像度でHDMI出力が可能。フレームレートは30P止まりですが、パソコン仕事では全く問題なく使えてしまいます。
▲4K解像度でHDMI出力が可能パフォーマンスは常時フル稼働に、いらないバックグラウンドタスクはことごとく削除といったカスタマイズは必要になりますが、1万9800円にしてはいささかできすぎでしょう。使い方が限定されるマニアックなパソコン、というつもりで買いましたが、いい意味で予想を裏切られました。まさにコスパ爆発です。
MUGAストイックPCは、大人が使ってもいいと思いますが、むしろ小中学生のリモート授業用パソコンとしても使えそうです。どのみち教科書は紙ですし、ノートやレポートも紙で提出します。広い画面で動画が見られればOKで、同時にテキスト打ちなんてやりません。グラフィックスの重たいゲームが全く動かないというのも、逆にイイ感じと言えるでしょう。
「急遽リモート授業開始で子供用のパソコンが必要になった!」「しかも2台!」なんてことに備えるためにも、パパは周囲に悟られないように今すぐ静かに席を立ち、その足でドンキにダッシュします。