学生の窓口編集部

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ホテルや旅館のフロントに必ずおいてある宿帳(やどちょう)。宿泊者は住所や氏名を記入しなければならない仕組みだが、偽名やウソの住所を書くと犯罪になるのはご存じだろうか?

「忘れ物を送ってくれる」「備品を壊したときに請求するため」などと言われているが、宿帳の目的は「感染症」の拡散を防ぐためで、偽名やニセの住所を記入すると30日未満の「拘留(こうりゅう)」に処される。不倫や会社をサボっての旅行のように「ひとに言えない」事情があっても、ウソいつわりなく記入しなければいけないのだ。

■宿帳の正体は「ハザードリスト」
宿帳の正式名称は「宿泊者名簿」で、旅館業法・6条によって「営業者はこれを用意」し、自治体などの職員が要求した場合は提出しなければならないと定められている。名簿に記録しなければならない必須情報は、
 ・氏名
 ・住所
 ・職業
で、これ以外は「その他」とくくられているので、電話番号などは省略可とも表現できる。

宿泊者名簿の目的は「感染症対策」だ。旅館業法・5条では「感染症にかかっていると明らかなひと」の宿泊は拒否できるが、潜伏期間中で自覚がないひともいるだろうし、宿泊中にかかってしまう場合もある。チェックアウトしてから具合が悪くなり、病院で診てもらったら「感染症です」なんて話になると、ほかの利用者にもうつっている可能性が高い。そこで、宿泊していたひとと連絡がとれる、または感染経路がわかるように、旅館業法・6条-2によって、宿泊者には宿泊者名簿への記入が義務づけられているのだ。

拒否したり、ウソを申告するとどうなるのか? 同じく旅館業法・12条には罰則が定められ、
 ・6条-2の規定に違反したひとは拘留(こうりゅう)または科料(かりょう)
のペナルティが発生する。拘留は1日以上30日未満のあいだの身柄の拘束を、科料は1,000円以上1万円未満の罰金を意味し、どちらも法的に制裁を受けることに変わりはない。浮気や不倫で身分を明かしたくないからと偽名を記入すると、制裁どころか感染症の恐怖にも身をさらすことになるのだ。

■「自称」なペンネームは偽名扱いされることも
宿帳に芸名やペンネームを記入したらどうなるのか? 誰もが知っているペンネームなら罪に問われる可能性は低いが、うちわでしか通じないペンネームや「自称」では「架空」と判断され、偽名を記入したのと同じ扱いになる可能性が高い。
あまり知られていない話題だが、契約書や遺言書に「ペンネーム」を記入しても罪にはならないし、有効な文書としてあつかわれる。
 ・芸名やペンネームから、本人が特定できる
 ・相手が「本名」を要求していない
の条件が揃えば問題なく、誰でも知っている芸名/ペンネームなら「偽名」を使ったことにはならない。さらに、宿泊者名簿は契約書ではないし「氏名」としか指定されていない。そもそもは連絡がとれることが目的だから、住所や電話番号が正しければペンネームだからと罪に問われる可能性は低い。逆に知名度が低ければ架空=偽名と判断され、逮捕された例もあるので要注意。どうしてもペンネームで記入したいひとは、見知らぬひとから「〇〇さんですよね?」と声をかけられるようになってからが良いだろう。

■まとめ
 ・宿帳の目的は、感染症が拡散しないための「記録」
 ・偽名やウソの住所を記載すると、30日未満の「拘留」に処されることもある
 ・知名度の低い芸名/ペンネームは、偽名と判断される可能性・大