[6.20 W杯F組第2節 日本 4-0 チュニジア モンテレイ]

 これまで自国開催以外で3分け3敗と一度も勝ったことのない“鬼門”のW杯グループリーグ第2戦。日本代表は気迫を前面に出して試合に入ってきたチュニジア代表を圧倒し、W杯では史上初となる4得点での4-0完勝を収めた。

 右ウイングバックで奮闘した10番のMF堂安律(フランクフルト)は「優勝を目指すチームならこういう試合は大会中に一つや二つあってもおかしくないし、優勝するチームは毎大会こういう大勝を何度か収めている印象があるし、僕たちの目標を逆算するとそういう試合があってもおかしくない」と冷静さのなかに充実感をにじませた。

 モチベーションの高い相手に苦戦も想定されたが、始まってみれば果敢な試合運びが際立った。開始4分の先制後、攻めるしかないチュニジアは日本のサイド裏を徹底的に狙う素振りを見せたが、数々の強豪国に張り合ってきた攻撃的ウイングバックは一歩も引くことなく、攻撃的な姿勢を貫きながらも崩れなかった。

「相手にビッグチャンスを作らせなかったことが自分たちにとって自信になる。ゼロで抑えながら大量得点を取ったことが自分たちにとって自信になる」(堂安)。攻撃に強みを持つ選手たちも高い守備強度を求められるのが現在の日本代表。その象徴として君臨する背番号10はしたたかな戦いぶりに手応えを語った。

 全てのパフォーマンスに満足しているわけではなかった。しかし、世界一を目標に掲げる日本代表にとってこのステージはできれば通過点にしておきたい。課題や伸び代を感じながらも、危なげなく勝ち点3を取ったことに大きな価値があった。

「僕自身、全然攻撃的なところならまだまだやれると思っているので満足していない。今日の出来には満足していないし、まだまだやれると思っているけど、チームが勝つため、優勝するためにあのポジションを監督に求められて、それで勝つ確率が1%でも上がって、チームが優勝できるなら僕はそれをやると決めてこの大会に来た。みんなが理想としている10番像ではないかもしれないけど、僕としては勝たせる選手が10番だと思っている。得点、ゴール、もちろんそれが理想だけど、そうじゃなかったとしてもチームに貢献できるようにやっていきたい」

 そう語る堂安自身の理想像もまだまだ先にある。

「もちろんゴールやアシストで勝たせるのが僕の理想の10番。でもそれができないとなった時にどうチームに貢献できるかを考えながらやっている。過去の10番の中で自分が日本代表を一番上に導いたと僕は思わせたい。一番点を取ったも格好良いけど、結局、僕はチームを勝たせるのがこのチームの10番だと思っている」

 前回大会ではドイツとスペインを破る2ゴールを決めてもなお、目指していた成績には届かなかった。その無念が「エースよりもリーダーに」という使命感を導き、2度目のW杯への道のりでは誰よりも勝利への執念を貫き続けた。その思いはW杯を迎えたいま、さらに強まるばかりだ。

「チームに俊輔さん(中村俊輔コーチ)がいたり、名波さん(名波浩コーチ)がいたり、いろんな先輩たちがいる中で、彼らの能力を超えられるとかそんなのは関係なしに、彼らを本当に超えたいと思うならチームとして結果を出すべきだと思うし、チームとして彼らの時代を超えるべきだと思っている。その時代の10番でありたい。その意思が強い」

 そう語る堂安の首にはSNS上でも話題を呼んだ「RITSU ☆ DOAN」の文字が象られたきらびやかなネックレスが輝いていた。「似合ってるでしょ?日本人の文化的に『やりすぎや』って声も多いけど、アメリカの人と空港で会うと喜ばれるので良かったなと思います」。唯一無二のパーソナリティーはそのままに、日本のために心を捧げる10番がまた一つ世界一へのステップを踏み出した。


(取材・文 竹内達也)