八潮の大陥没から20m先の喫茶店、1年5か月ぶり営業再開「客足が戻るか分からないが負けたくない」
埼玉県八潮市で昨年1月に発生した県道陥没事故の後、休業していた喫茶店「青柳」が19日、約1年5か月ぶりに営業を再開した。
穴から約20メートルの場所にある店舗で客を迎えた経営者の松井多恵子さん(82)は、「客足が戻るか分からないが、陥没事故に負けたくない」と前を向く。(さいたま支局 大須賀軒一)
「こだわりの味。やっぱりここのカレーはおいしい」。一番乗りした女性客(81)が笑顔を見せた。松井さんは客と話したり、料理をしたりしながら「ここまで本当に長かった」と振り返った。
自宅を兼ねた店は陥没現場の交差点に面しており、松井さんは事故後約3週間、避難生活を送った。その後も工事に伴う騒音と振動、悪臭に悩まされる日々。店の玄関側の市道が交通規制され、客足は途絶えた。
ストレスで昨夏に体調を崩し、約1か月寝込んだ。騒音や振動などは改善しつつあるという。松井さんは「完全復旧を待っていても仕方ない。接客をしていれば楽しいはず」と考えて再開を決めた。
当面営業は週5日、正午から午後3時頃までで、特製カレーのランチセットなどを提供する。夜は予約がある時だけに。松井さんは「元気なうちはカウンターに立ちたい」と意気込む。
県道は4月に通行止めが解除され、暫定的に片側1車線で再開。現場では下水を迂回(うかい)させるために設置した仮排水管の撤去工事などが進む。県は下水道管の複線化も進める方針で、完成は着工の5〜7年ほど後という。
