ライダーから13年、“キラキラ映画ブーム”を経て…吉沢亮×横浜流星が『国宝』で到達した境地とは
最初の共演は2011年だった。初共演で親友役を演じた二人は、再共演作で兄弟役になった。より固く結び付く、強烈な演技を戦わせた。
再共演まで約13年の時を経たわけだが、その間、吉沢と横浜はどのようなフィールドで演技を磨いたか? “イケメン研究家”加賀谷健が解説する。
2011年、仮面ライダー40周年を記念する『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日系)は、異色作だった。リーゼントと短ランという、主演の福士蒼汰のビジュアルからして強め。さらにシリーズ初の学園物でもあった。
舞台は主人公・如月弦太朗が転校してきた天ノ川学園高校。同じクラスに編入してくるライダーキャラを、何と吉沢亮が演じていた。役名は朔田流星。そして親友・井石二郎役に横浜流星という、奇跡の流星つながりの配役。同作は、吉沢と横浜にとって、記念すべき初共演作となった。
とはいっても、その後彼らが再共演を果たすには、約13年以上の時が流れている。2025年6月に公開されるや、約2ヶ月で興行収入100億円を突破するなど、歴史的快挙尽くしの大ヒット映画『国宝』が、約13年ぶりの共演作だったのだ。
◆日本アカデミー賞での感動的瞬間
ライダーの世界から歌舞伎の世界に変わっても、役柄は延長にあるといってもいい。『仮面ライダーフォーゼ』で親友役だった二人は、『国宝』では兄弟分になった。血が繋がる兄弟ではないからこそ、より精神的に強く結び付く兄弟役だ。
吉沢演じる主人公・立花喜久雄は、元は任侠の世界に身を置く跡取りだった。ほんの真似事だったはずの芝居の技量が、上方歌舞伎の大御所・花井半二郎(渡辺謙)の心を掴み、養子になった。横浜演じる歌舞伎界の御曹司・大垣俊介と切磋琢磨しながら、芸を磨いた。
半二郎の代役で大舞台を任されることになった喜久雄は、緊張のあまり、自分には歌舞伎の血筋がないことから、「俊ぼんの血」がほしいとふるえた。
この楽屋でのやり取りは、屈指の名場面だが、兄弟分が擬似的な血縁になるために、盃を交わす任侠映画の一場面にも見えた。それぐらい、強烈に結び付く、人と人の関係性を浮き上がらせていた。
『国宝』は、第49回日本アカデミー賞の最優秀賞を10部門も受賞した。中でも吉沢が受賞した、最優秀主演男優賞では、前年受賞者の横浜がプレゼンターを務め、『国宝』リレーと呼ばれた。横浜が吉沢の名前を読み上げる瞬間は感動的だった。
◆きらきら映画の時代をそれぞれ駆け抜け『国宝』俳優へ
約13年もの時を経て、『仮面ライダーフォーゼ』での親友役から『国宝』の、より複雑な兄弟像へ、彼らの再共演が頑丈な足場の上に成り立っていることがわかる。2011年の初共演以降、歩幅は少し違うものの、二人はそれぞれのフィールドで着実に足場を固めた。
フィールドが同じだった時期もあった。2010年代の日本映画界を席巻していた、いわゆる「きらきら映画」だ。きらきら映画は少女漫画を原作とするラブコメ実写化映画のことだが、中でも一際輝く名作中の名作『オオカミ少女と黒王子』 (2016年)は、共演場面こそないものの、吉沢と横浜がこのジャンルの俳優として頭角を現すきっかけとなる、ニアミス作品だった。
二人の主演作が続々公開されたのが2018年。『オオカミ少女と黒王子』と同じ廣木隆一監督作『ママレード・ボーイ』は、引きの画面内で吉沢のポテンシャルを引き出した。
横浜も『兄友』や『虹色デイズ』が腕試しになった。実写化作品ではないが、2016年の『全員、片想い』の一編「イブの贈り物」で演じた介護士役も、横浜屈指の名演だと思う。
実写化は実写化でも、吉沢がスケール感のある「キングダム」シリーズに軸足を移した2019年以降、二人は名監督たちとの仕事を重ねることになる。
これは結果論に過ぎないが、きらきら映画の時代を駆け抜け、それぞれのスタイルを確立した吉沢亮と横浜流星による再共演は、李相日監督の『国宝』俳優へと躍進する条件が揃った、ここぞというタイミングだったと考えていいだろう。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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