【竹内 謙礼】医者が「世の中で最も優れた食品」と語る…物価高の日本人におすすめの”安くて健康にいい食材”の名前
物価高で食費を節約する人が増えている。総菜を一品買うのを我慢したり、量が多くて安いお弁当を買ったり、以前よりも食費の節約の意識が高まっている。
しかし、節約に熱中するあまり、不健康な食事になってしまっては本末転倒だ。賢く食費を節約しながら、なおかつ健康にもダイエットにも最適な食事をすることが、物価が上がり続ける今の日本において、正しい食事法といえる。
前編記事〈医者が明かす…できるだけ避けたい"最悪の死に方"を回避する「食事と健康の絶対法則」〉に引き続き、
本稿では節約しながら健康に良い食事をするためのコツについて、『医者が教える栄養学的に正しい最高の食事術』(ダイヤモンド社)を執筆した東京農業大学名誉教授の医学博士、田中越郎先生に話を伺った。
田中越郎(たなか・えつろう)
医師で栄養学者。東京農業大学名誉教授。熊本大学医学部卒業後、三井記念病院で内科医、スウェーデン・カロリンスカ研究所で自律神経のしくみ、東海大学医学部で運動と心臓血管のしくみ、東京農業大学栄養科学科で栄養学を研究。日本中の看護学生の10人に1人は田中先生が書いた教科書で勉強している。『世界一受けたい授業』にも家庭科の先生(栄養の解説)として出演。
世の中で最も優れた食品と言ってもいい
――田中先生が最もおすすめする安くて健康にいい食材はなんでしょうか。
「納豆です。世の中で最も優れた食品と言ってもいいぐらいです。納豆の原料の大豆には血液凝固や骨を丈夫にするビタミンKが含まれています。これらを発酵させて納豆にすることで、この成分を30倍以上に増加します。これだけ栄養価が高いのに、価格が安くて美味しい。しかも、調理の手間がかからない。総合的にみてもこんなに優れた食材は他にありません」
――スーパーやコンビニでも手軽に買える食材ですからね。
「納豆に限らず、味噌やぬか漬け、ヨーグルトなどの発酵食品は、安価で健康にもよいものが多いです。これらの食材は腸内の悪玉菌の発育を阻止したり、善玉菌の発育を促したり、腸内環境を改善する作用もあります」
――発酵食品はどのくらいのペースで食べるのがいいのでしょうか。
「発酵食品中の菌の供給が途絶えてしまうと、腸内環境は元に戻ってしまうので、可能であれば毎日、少なくとも1週間に1回ぐらいのペースで食べるのが理想です」
――他にもおすすめの安価で健康にいい食材はありますか?
「『もやし』はビタミンも豊富で、カリウムや食物繊維を含んだ健康に良い食材の代表格です。安価なうえにいろいろな料理にも使えるので、継続的に食することができます。飽きないようにいろいろな味付けをして食べるのがポイントです。塩や胡椒のほか、ドレッシングは余分な油分が器の底に溜まるので、摂取カロリーを抑えられる健康的な食べ方といえます。一方、マヨネーズは油分を余計に摂り過ぎてしまうのであまりおすすめできません」
――肉類でイチ押しなのは?
「鶏の胸肉やささみです。安くて高たんぱくで低カロリー。ただ、食感がパサパサしていてあまり美味しくはないので、塩や香辛料で味付けするといいでしょう。コンビニのサラダチキンを購入する人もいますが、塩分が多いので注意が必要です。手間でなければスーパーで鶏肉を買ってきて、自宅で調理したほうがいいと思います」
――マッチョな芸能人がテレビで「毎日鶏のささみばかり食べています」と言っているシーンをよく見かけますが。
「極端な食生活は体によくありません。鶏肉にはビタミンCやDが含まれていないですし、食物繊維もありません。野菜やお米も一緒に摂らないと不健康な食事になってしまいます」
――満腹感のある食材をあえて選ぶのも節約につながりそうですね。
「カロリーが少なくて嵩が多い野菜類などは満腹感もあっておすすめです。その中でもダントツなのは『こんにゃく』です。その他はキノコ、ニンジン、レンコン、ブロッコリーでしょうか。これらは噛まなくてはいけない食材なので、ゆっくり食べることができて、満腹感もあります」
安くても健康を意識したランチの選び方
――今のお父さん世代は、お小遣いが減らされてランチを選ぶのも一苦労です。
「安価な外食で栄養バランスを取るのはなかなか難しいです。その中でもリンガーハットの“ちゃんぽん”は野菜も多く、1000円未満の単品メニューとしてはかなりレアな優れものです。その他の定食でも野菜が多いものを選択することを心がけていれば、健康に問題ないと思います」
――健康を意識したコンビニ弁当の選び方を教えて下さい。
「安くてもいいので、できるだけ幕の内弁当のようないろいろな食材が入っているものを選ぶようにしましょう。ただ、安すぎるお弁当は注意が必要です。揚げ物の油が古かったり、食材の品質が悪いのを誤魔化すために味付けが濃かったりするので、必要以上に塩分を多く摂ってしまう可能性があります」
――物価高を機にサプリメントを飲むのを止めてしまう人も多いと思います。
「もともと健康に必要な成分は食事で賄えるので、私はあえてサプリメントを飲む必要はないと思っています。市販されているサプリメントは副作用が出ないように成分の含有量を少なめにしています。たとえば、貧血の時に飲む鉄剤は、病院で処方される場合は1日の鉄の量は通常100〜200mgです。一方、市販のサプリメントの鉄含有量は、その10分の1以下のものがほとんどです」
――そんなに少ないんですか。
「鉄剤は副作用が強いので、病院の医師は副作用に十分に注意しながら処方します。一方、個人が買えるサプリメントは含有量を減らしているので、副作用が弱い分、効果もそれなりなのが実情です」
――無理して買う必要はないと。
「仮に節約して安価なサプリメントを買ってしまうと、今度は品質が心配になります。だからといって、高価なサプリメントは価格に見合うだけの効果があるかは疑問です。もし、サプリメントを飲むのであれば、ドラッグストアで医薬品を買ったほうがいいと思います。医薬品とサプリメントでは、その製造過程の厳しさがまったく違います。安全性や効果の面から見ても、医薬品のほうがおすすめです。そもそもサプリメントを飲むだけで筋骨隆々になったり、やせたりすることは絶対にありません。そんなよく分からないサプリメントにお金を使うぐらいなら、安価で旬な食材を食べたほうがよっぽど健康にいいです」
――なぜ、旬の食材が体にいいんでしょうか?
「旬の食べ物は美味しい上に値段も安く、栄養価も高いからです。たとえば、ホウレンソウは冬の食材ですが、ビタミンCの含有量は夏と比べて2〜4倍違います」
――収穫時期によってそんなに違うんですね。
「秋のサンマや冬のサワラなども、通常の時期と比較して脂の量が3〜5倍違います。オーガニックの野菜に高いお金を払うよりも、旬の食材を食べることの方がずっとコスパがよく、健康的で安全な食事をすることができます」
節約しながら「続く」ダイエット方法
――食費を削るついでに、1日1食ダイエットに挑戦してみるのはどうでしょうか。
「一度に大量の食べ物が胃腸に入ってくるので、消化器系が弱い人にはあまりおすすめできません。栄養バランスも重要だし、何よりも長い時間、空腹感と闘わないといけないので強い意志が必要なダイエット法です」
――糖質制限ダイエットはどうでしょうか?
「食事のバリエーションが少なくなって、飽きて挫折してしまう人が多いです。あと、塩分過多になりやすいので、こちらもあまりおすすめできるダイエット方法ではありません」
――バナナやリンゴなど1品に絞ってダイエットする方法は?
「最初のうちは劇的に効果を発揮しますが、長続きしないうえに、栄養素の不足を招く恐れもあるので絶対におすすめできません」
――体重を毎日記録するレコーディングダイエットはお金がかからなそうですが。
「自制心が強く、自己管理できる人にはおすすめです。そのような人は食生活がしっかり管理できていますからね。今はアプリを使うと簡単に記録もできるので、マメな人にはオススメです」
――いろいろ話を聞いてみると、食費を削りながら痩せるのは思いのほか難しそうですね。
「割と簡単に実行できるのは、1日2食ダイエットです。最初はお腹がすきますが、1週間ぐらいで慣れてきます。毎日続けるハードルも高くはないので、意外に継続できるダイエット方法だったりします」
――食費を節約すると、無駄遣いがなくなって、健康で安全な食材について真剣に考えるようになりそうですね。
「『なぜ、一流は飲み物にこだわるのか?』という本でも紹介しましたが、健康によくない食材をつきつめていくと、最後は“果糖”にいきつくところがあります。たとえば、甘い清涼飲料水に入っている『果糖ブドウ糖液糖』や『ブドウ糖果糖液糖』をシャットアウトするだけで、健康で安全な食事の半分はクリアしたことになります。つまり、何気なく自動販売機やコンビニで甘いジュースを買っていた人が、安価な水に切り替えたり、水筒を持ち歩いたりするだけで、節約と健康の両方の目的を達成することができます。1日の習慣を少し変えるだけで実行できる健康法なので、ぜひ、試してみて下さい」
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