「ゴミ回収員って、本当に底辺だと思いますか?」で万バズ、美女起用で応募殺到…人手不足業界で過熱する“採用TikTok”の実態
◆画面中央に巨乳を配置する徹底ぶり
静岡県浜松市内で運送事業を手がける浜松急送は、’25年7月にTikTokアカウントを開設。同社のロゴが入ったポロシャツを着た女性が車両の中で豪快に昼ご飯を食べたり、ハンドルの上に胸を置いたりする動画が注目を集め、’26年4月時点でフォロワー数は1万8千人を超えた。
この女性は元グラビアアイドルで、現在はインフルエンサー兼SNSプロデューサーとして自身の会社を持つなな茶さん(29)。武器は豊かな胸とふくよかな肉体で、見せ方にもこだわりを持つ。
SNSの運用は、同社の専務である彼女の父に持ちかける形で提案したものだという。
「配送業界は慢性的な人手不足で、特に20〜30代が少ないとよく父から聞いていたんです。トラック運転手は『3K』(きつい・汚い・臭い)職業の代名詞のように語られがちですが、浜松急送はオフィスが綺麗で、給与も高い。エンタメ要素を交えながら情報発信ができれば、若年層には刺さりやすいと思いました」
父の大介さんによればSNSアカウントの開設以来、同社の求人用LINEアカウントには月15〜20件、最も多い時期で80件ほど応募がある状態という。「求人サイトにも募集を出していますが、今ではSNSを見たというケースが8〜9割。近郊からの応募が少ないのが今後の課題です」と話す。
「ゾス!」で知られるグローバルパートナーズなどのSNS運用代行業を行うHITO GOAT GOATの大谷真弘さんは、特にショート動画に特化したTikTokでは、「現場系の仕事(いわゆるブルーカラー職)との相性が極めて高い」と指摘する。
「ゴミ収集やドライバーなど、ブルーカラーの仕事は何をしているのかが視覚的にわかりやすい。未経験歓迎の企業も多く、応募しやすいのも魅力です。男性仕事のイメージも強い中で、可愛い女の子が出てくる動画は差別化が効き、再生回数も伸びやすい傾向にあります」
炎上リスクも心配されがちな企業SNSだが、使いようによっては世間からのよくある誤解やイメージを払拭する格好の手段にもなる。
大谷真弘(おおたに・まさひろ)
プリントシール機シェアNo.1のフリュー株式会社にて、新規事業開発を複数務める。’24年に独立。嫁が平野紫耀くんが大好きだったので、そんな嫁のために平野くんに見た目を寄せていく動画が累計5000万回以上の大バズリ。「さらけ出しSNS」を掲げて、SNSを日々運用中。
<取材・文・撮影/松岡瑛理>
【松岡瑛理】
一橋大学大学院社会学研究科修了後、『サンデー毎日』『週刊朝日』などの記者を経て、24年6月より『SPA!』編集部で編集・ライター。 Xアカウント: @osomatu_san
