こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した相互作用銀河「IC 2431」。かに座の方向、地球から約6億8100万光年先にあります。


【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が観測した相互作用銀河「IC 2431」(Credit: ESA/Hubble & NASA, W. Keel, Dark Energy Survey, DOE, FNAL, DECam, CTIO, NOIRLab/NSF/AURA, SDSS; Acknowledgement: J. Schmidt)】

画像の中心に広がる暗い雲の塊や、その周囲で渦を巻く明るい星々の集まりが、混沌とした環境を物語っています。


ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によれば、IC 2431では3つの銀河が重力を介して相互作用し、合体しつつあるとみられています。それぞれの銀河は潮汐力によって大きく引き伸ばされるように歪んでいます。


また、銀河内部のガスが圧縮されることで星形成活動が誘発され、激しいペースで新た星が次々に誕生する状況も捉えられているといいます。


市民科学プロジェクト「Galaxy Zoo」の成果を深掘り

ハッブル宇宙望遠鏡によるIC 2431の観測は、「Galaxy Zoo(ギャラクシー・ズー)」と呼ばれる市民科学プロジェクトにおいて、ボランティアの参加者たちが見つけ出した“風変わりで魅力的な銀河”をさらに詳しく調査する取り組みの一環として実施されました。


Galaxy Zooは、これまで未調査だった約90万個もの銀河の形状分類を行う大規模な科学調査としてスタート。専門の天文学者でも何年もかかるような膨大な作業を、世界中から参加した10万人以上の人々の力によってわずか175日間で達成し、その後の天文学における市民参加型プロジェクトの先駆けとなりました。


冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の「ACS(掃天観測用高性能カメラ)」をはじめ、セロ・トロロ汎米天文台(チリ)のブランコ4m望遠鏡に設置された「DECam(ダークエネルギーカメラ)」、地上の望遠鏡による掃天観測プロジェクト「SDSS(スローンデジタルスカイサーベイ)」による光学観測データをもとに作成されたもので、ESA/Hubbleから2022年2月14日付で公開されました。


本記事は2022年2月15日公開の記事を再構成したものです。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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