2004年8月、芸名を「おさる」から「モンキッキー」に(写真:本誌写真部)

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4月27日からNetflixで配信が始まるドラマ『地獄に堕ちるわよ』。作家・占術家である細木数子氏(享年83)の波瀾万丈な人生を、戸田恵梨香(37)主演で描く同ドラマは配信前から話題沸騰だ。作中では、タレントのレイザーラモンHG(50)が本人役で出演し、かつて細木氏に激怒されたシーンが再現されているというが、もう1人、かつて細木氏から「地獄に堕ちるわよ」と言われて話題になった芸人を忘れてはいないだろうか--。

2004年7月4日放送『史上最大の占いバトル ウンナンVS細木数子!』(TBS系)内で、お笑いコンビ・アニマル梯団のおさる(54)は、細木氏から「芸名を『モンキッキー』に改名しなければ、地獄に堕ちるわよ」と宣告された。その瞬間を放送した同番組は、視聴率34.1%を叩き出す伝説の回となっている。

しかし、現在の彼は細木氏が名付けた“モンキッキー”とは名乗らず、“おさる”として活動しているが……。本人に「地獄に堕ちるわよ」宣告の答え合わせをしてもらった--。

--番組内で改名を迫られたときの心境を教えてください。

「『地獄に堕ちるわよ』なんて人生で初めて言われたので、衝撃は大きかったですね。親や先生にも言われたことがなかったですから。それで、僕のちっちゃい脳みそで必死に考えて。両親に元気な体で産んでもらって、せっかくここまで育ててもらったのに、今、この番組で改名を断ることで、地獄に堕ちている場合ではないと! 名前を変えることで人生がよい方向にいくなら、改名しない手はないと思い、受け入れることにしました。

だけど、先生のアドバイスしてくれた名前は『モンキッキー』。カタカナになっただけじゃん!と。芸名がカタカナになるのはどこか嫌だったので、正直なところ断りたい気持ちもあったのですが、もうそんなこととても言える雰囲気じゃなかったですね……」

--同年8月11日、記者会見で正式に「モンキッキー」への改名を発表されました。その後、運気はどうなったんですか?

「モンキッキーとしていただいた1発目のお仕事が、現在の妻である山川恵里佳(44)とのドライブデートロケだったんです! このときが初対面だったんですけど、改名の話題で盛り上がって。そう、ロケをきっかけに、一生のパートナーと出会えたんですよ!

それに、仕事で日本中のどこへ行っても『芸名を変えたタレントさんですよね!』って声をかけてもらって。改名ネタで仕事も増えましたし、恋愛も仕事も運気がよくなって、改名の効果はすごいなって思っていました。

でもそんなとき、細木先生から『このブームはすぐに終わるから、あなたは見聞を広げなければダメよ』と忠告されたんです。ただ、当時の僕は軽い気持ちで受け流していました。

しかしその後、本当に仕事が一気になくなって。細木先生の助言を思い出して、見聞を広げるべく努力をしはじめました」

---具体的にはどんなことをされたのでしょうか?

「逆立ちですね。あと、ルービックキューブをそろえたことがなかったので、そろえられる人間になろうと頑張りました。今では30秒ぐらいでそろえられるようになりました」

--細木先生の言う「見聞を広げる」という意味とはちょっとズレているようにも思うのですが……。

「…………。ドキッとしました。私は、先生の助言をしっかり受け取っていなかったのかもしれないと、いまになって気づきました。自分では見聞を広げたつもりでも、実際には広げていなかった。やっぱり、細木先生のひと言ひと言って、宝だったんですね……」

--細木数子先生は、どんな方だったんですか?

「とても温かい方です。テレビの収録前に楽屋や廊下でお会いするたびに、ニコニコと笑顔で、『今日もよろしくね。頼むよ、盛り上げてよ!』と、優しく声をかけてくださったんです。僕の中では、占術家の先生というより、先輩のお笑い芸人さん。

だけど、いざテレビの収録が始まると、途端に表情が変わるんです。いつもは下がっている眉がぐわっと上がり、眉間に皺を寄せた迫力のある顔に。これこそ本物のエンターテイナーだと、尊敬していました。

だからあの当時、番組で先生に怒られるのは、ダウンタウンの浜田さんにどつかれるのと同じくらいうれしかった。細木先生にいちばん怒られたのは自分だぞ、というのが誇りでしたから」

--ですが、細木先生につけていただいた「モンキッキー」を、2012年に再び「おさる」に戻されていらっしゃいますよね?

「仕事も減っていたそのころ、芸人としてもうひと花咲かせようと覚悟したとき、やっぱり自分で決めた最初の芸名でもう一度頑張ろうと思ったんです。それで、細木先生の事務所に電話して『また、“おさる”で行かせてください』と報告しました。

怒られるかなと思ったんですが、『あなたが自分で決めたことなら、頑張ってください。応援しています』って。どこか怒られるのを期待していた自分もいて、ちょっと寂しかったですね」

--さらに、その5年後にまた「モンキッキー」に再々改名されています。

「これは2017年に妻の山川恵里佳が『有吉反省会』(日本テレビ系)に出演したときに、私がいないところで勝手に話が進んで、事務所から『明日から、またモンキッキーでお願いします』って唐突に言われたんです。

そのころはもう、バラエティ番組の制作サイドも、僕を呼ぶなら改名ネタありきみたいな感じで。改名とのセット売り。今までトータルで6回は改名しています。これも、先生が置いていってくださった宝物だと思っています」

--今は、どんなお仕事をされているんですか?

「芸人・おさるとしての活動よりも、書道家・宇都鬼(ウッキー)としての活動の方が多いです。2つの保育園で書道の講師をさせてもらっているほか、不定期で書道教室を行ったり、全国各地のイベントに呼ばれ書道パフォーマンスをすることもあります。

ただ、普通に書いても埋もれてしまうので、僕らしくひと味変えなければと思い、逆立ちをして片手で書いています。
そう、これも細木先生の助言で逆立ちをし続けた結果なんです! 見聞は広がらなかったけど、人間としての可能性は広がりました」

--ドラマ『地獄に堕ちるわよ』の制作サイドから、おさるさんにオファーはあったんですか?

「オファーはありませんでしたが、ぜひ出たかったですね。細木先生はイケメンの方との共演が多かったので、続編があったら、ぜひイケメン役で呼んでほしい!」

--「改名しないと地獄に堕ちるわよ」と細木先生に言われ、その後も改名を繰り返したおさるさんの人生は、結局のところ地獄だったのか、それとも天国だったのでしょうか?

「改名して一気に人気が上がったものの、その後また一気に仕事がなくなりましたから、そこだけ注目すれば、地獄に堕ちたように見えるかもしれません。でも、もしあのとき改名していなかったら、僕は妻と出会えてなかったかもしれないし、芸人としてとっくに消えていたかもしれない。

今、こうやって取材をしていただいているのも、細木先生がくださった改名の機会があったから。妻と2人の子どもと楽しく生活ができているし、天国とまではいえませんが、細木先生は僕のことを正しい方向に導いてくださったのではないかと--」