入社半年で美容室を退職…「上京物語」でも帰郷後を追った取材D、若者たちが発する「モチベ」に感じた繊細な思い
●都心ではなく多摩センターを選んだ理由
フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00〜)で5日に放送された「上京物語2026 前編〜新人美容師 二十歳の迷い〜」。美容師を目指して東京に出てきた若者たちの1年を追い、夢と現実のはざまで揺れる姿を映し出した。
12日には「後編〜新人美容師 夢の別れ道〜」を放送。「上京物語」というタイトルでありながら、入社半年で店を辞め、帰郷する若者を追った鴨下満ディレクター(テレビマンユニオン)は「どういう人生を歩んでいくのかを見届けてもらえたら」と呼びかける。

ロイさん (C)フジテレビ
○思い描いていた都会暮らしにギャップ
は毎年、全国から美容師を目指す若者たちが集まってくる東京・多摩センターの美容室「ELEN」。2025年春に入社した7人の同期の中で、唯一の男性だった富山県出身のロイさんは、東京への憧れを胸に上京し、働き始めたものの、思い描いていた都会暮らしとのギャップや、美容師として生きていくことへの迷いから、入社から、わずか半年で東京を去る決断をする。故郷へ戻った彼が見つけた新たな居場所とは。
客の髪をカットできる「スタイリスト」を目指す新人たちも厳しい現実と向き合っていた。
高知県出身のかのんさんは、アシスタント業務をこなしながら、集客アプリでモデルを集め、店の売り上げに貢献。努力と工夫を続ける姿は、同期の中でも評価を高めていた。
その一方で、新潟県出身のことじさんは、求められる仕事のスピードや売り上げ目標を達成できないことに悩み、やる気を失っていく。思うように前に進めず、心が折れそうな日々の中で、彼女が見つめ直した夢とは――。

ことじさんとかのんさん (C)フジテレビ
○飲食店以外の業種は「雰囲気が違いました」
近年は洋食レストラン、洋菓子店、パン屋の新人たちを追ってきた『ザ・ノンフィクション』の「上京物語」シリーズ。新機軸として飲食店以外の業種を取材しようとたどり着いたのが、「下積みの大変さがありそうだと思いました」(鴨下D、以下同)という美容室だ。前作のパン屋は「“職人”な感じがありました」という一方で、美容室は「お客さんと会話することも多いので、雰囲気が違いました」と印象を語る。
当初は都心の美容室を想定していたが、上京した新人があまり多くないことが判明。リサーチを進める中で、今回の舞台となった多摩センターの「ELEN」は、7人中6人が地方組ということで、取材を申し込んだ。
彼らはなぜ、この郊外の店を選んだのか。「新人の子たちに話を聞くと、“都心の美容室だと自分は潰れてしまいそう”と決めた子が多かったんです」と、身の丈に合う選択肢として考えていたのだという。
それでも、美容師の下積みの厳しさは変わらない。営業が終わる19時から、カット試験前は終電まで練習を続ける日々。さらに「一日中立ちっぱなしで、休憩も長く取れないので、本当に大変な仕事だと改めて思いました」と、目の当たりにして実感した。
●「ここで取材は終わりね」と言われても…

(C)フジテレビ
新人たちの中で主に追ったのは、かのんさん、ことじさん。ロイさんの3人。メインのアシスタント業務をこなしながら、自ら担当できるヘアカラーのモデルを積極的に集めて店の売り上げに貢献している、かのんさんには「向上心や上昇志向があるのですが、同期の中で全然ギスギスしていないんです。いい意味で“同期よりも私が上に行きたい”という気持ちが強い子だなと思いました」と印象を語る。
いつも遅くまで練習を続ける“コツコツ型”のことじさんについては、「めちゃくちゃ頑張り屋だけど、自分に自信がないところがあったので、“この子を応援したい”という気持ちが芽生えました」と率直に明かす。
今回の取材中、モデル料金を支払ってことじさんに髪を切ってもらったものの、「僕の髪は強いくせ毛で、コトジさんを“正解がわからない”と戸惑わせてしまいました(笑)」というエピソードも。その後、彼女から「もう一回切らせてください」と志願を受け、ガッツを感じたそうだ。
そして、ロイさんを追ったのは、「分かりやすく、ずっと迷っていたので、彼がどういう選択をするのかなと思って、気になったんです」と、今回のドキュメンタリーの主人公に。結果として入社から半年で店を辞め、故郷に帰ることになったが、その後も彼を追い続けた。
「上京物語」というタイトルだが、「富山に帰ったら終わりというのは考えていませんでした」と、自然と取材を続けていた鴨下D。ロイさんには「ここで(取材は)終わりね(笑)」と言われたこともあったそうだが、「どういう選択をしても、僕はロイくんの今後を見ていきたい」と思いを伝え、後編では地元・富山での姿を描いている。

(C)フジテレビ
○様々な要素を含む「モチベ」
この3人を含めた同期たちの関係性も、今回の見どころの一つ。鴨下Dが「僕はちょっと近づけないくらいです(笑)」と表現するほどの仲の良さで、ロイさんが店を去る決断を伝えた際には、皆が心から惜しんでいた。明確なチームプレーの仕事ではなくても、「朝から晩まで本当に同じ店で過ごし、同じ苦楽を共にしているというのが大きいと思います」と、その理由を分析する。
そして彼らが繰り返し口にするのが、モチベーションを略した「モチベ」という言葉。カジュアルに使っていることから、軽い言葉に聞こえがちだが、自らのコンディションを確認したり、奮い立たせたりと、様々なケースで耳にしたことで、「決して薄っぺらい言葉ではなく、“モチベ”の中にはいろんなものが含まれている気がしました」という。
ことじさんが練習をしなければいけないのに、同期から「一緒にやろう」と言われるまで自分から動けない状態で「モチベがない」と発していたのを見て、鴨下Dは「表面上のやる気の出なさではなくて、自分の気持ちや状態を細かく見つめているような気がしました」と、若者たちの繊細な思いを受け止めた。
後編の見どころについては、まずロイさんの選択を挙げ、「美容師という仕事に対して楽しさを見いだせなかった彼が、どういう人生を歩んでいくのかを見届けてもらえたら」と呼びかける。
また、ことじさんについても、「不器用なりに、自分のペースで進んでいく中で、1年を経てどういうふうに変わっていくのか、見てもらいたいです」と予告。かのんさんも含めた同期たちが、それぞれの速度で成長していく姿に注目だ。

鴨下満ディレクター
フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00〜)で5日に放送された「上京物語2026 前編〜新人美容師 二十歳の迷い〜」。美容師を目指して東京に出てきた若者たちの1年を追い、夢と現実のはざまで揺れる姿を映し出した。
12日には「後編〜新人美容師 夢の別れ道〜」を放送。「上京物語」というタイトルでありながら、入社半年で店を辞め、帰郷する若者を追った鴨下満ディレクター(テレビマンユニオン)は「どういう人生を歩んでいくのかを見届けてもらえたら」と呼びかける。

○思い描いていた都会暮らしにギャップ
は毎年、全国から美容師を目指す若者たちが集まってくる東京・多摩センターの美容室「ELEN」。2025年春に入社した7人の同期の中で、唯一の男性だった富山県出身のロイさんは、東京への憧れを胸に上京し、働き始めたものの、思い描いていた都会暮らしとのギャップや、美容師として生きていくことへの迷いから、入社から、わずか半年で東京を去る決断をする。故郷へ戻った彼が見つけた新たな居場所とは。
客の髪をカットできる「スタイリスト」を目指す新人たちも厳しい現実と向き合っていた。
高知県出身のかのんさんは、アシスタント業務をこなしながら、集客アプリでモデルを集め、店の売り上げに貢献。努力と工夫を続ける姿は、同期の中でも評価を高めていた。
その一方で、新潟県出身のことじさんは、求められる仕事のスピードや売り上げ目標を達成できないことに悩み、やる気を失っていく。思うように前に進めず、心が折れそうな日々の中で、彼女が見つめ直した夢とは――。

○飲食店以外の業種は「雰囲気が違いました」
近年は洋食レストラン、洋菓子店、パン屋の新人たちを追ってきた『ザ・ノンフィクション』の「上京物語」シリーズ。新機軸として飲食店以外の業種を取材しようとたどり着いたのが、「下積みの大変さがありそうだと思いました」(鴨下D、以下同)という美容室だ。前作のパン屋は「“職人”な感じがありました」という一方で、美容室は「お客さんと会話することも多いので、雰囲気が違いました」と印象を語る。
当初は都心の美容室を想定していたが、上京した新人があまり多くないことが判明。リサーチを進める中で、今回の舞台となった多摩センターの「ELEN」は、7人中6人が地方組ということで、取材を申し込んだ。
彼らはなぜ、この郊外の店を選んだのか。「新人の子たちに話を聞くと、“都心の美容室だと自分は潰れてしまいそう”と決めた子が多かったんです」と、身の丈に合う選択肢として考えていたのだという。
それでも、美容師の下積みの厳しさは変わらない。営業が終わる19時から、カット試験前は終電まで練習を続ける日々。さらに「一日中立ちっぱなしで、休憩も長く取れないので、本当に大変な仕事だと改めて思いました」と、目の当たりにして実感した。
●「ここで取材は終わりね」と言われても…

新人たちの中で主に追ったのは、かのんさん、ことじさん。ロイさんの3人。メインのアシスタント業務をこなしながら、自ら担当できるヘアカラーのモデルを積極的に集めて店の売り上げに貢献している、かのんさんには「向上心や上昇志向があるのですが、同期の中で全然ギスギスしていないんです。いい意味で“同期よりも私が上に行きたい”という気持ちが強い子だなと思いました」と印象を語る。
いつも遅くまで練習を続ける“コツコツ型”のことじさんについては、「めちゃくちゃ頑張り屋だけど、自分に自信がないところがあったので、“この子を応援したい”という気持ちが芽生えました」と率直に明かす。
今回の取材中、モデル料金を支払ってことじさんに髪を切ってもらったものの、「僕の髪は強いくせ毛で、コトジさんを“正解がわからない”と戸惑わせてしまいました(笑)」というエピソードも。その後、彼女から「もう一回切らせてください」と志願を受け、ガッツを感じたそうだ。
そして、ロイさんを追ったのは、「分かりやすく、ずっと迷っていたので、彼がどういう選択をするのかなと思って、気になったんです」と、今回のドキュメンタリーの主人公に。結果として入社から半年で店を辞め、故郷に帰ることになったが、その後も彼を追い続けた。
「上京物語」というタイトルだが、「富山に帰ったら終わりというのは考えていませんでした」と、自然と取材を続けていた鴨下D。ロイさんには「ここで(取材は)終わりね(笑)」と言われたこともあったそうだが、「どういう選択をしても、僕はロイくんの今後を見ていきたい」と思いを伝え、後編では地元・富山での姿を描いている。

○様々な要素を含む「モチベ」
この3人を含めた同期たちの関係性も、今回の見どころの一つ。鴨下Dが「僕はちょっと近づけないくらいです(笑)」と表現するほどの仲の良さで、ロイさんが店を去る決断を伝えた際には、皆が心から惜しんでいた。明確なチームプレーの仕事ではなくても、「朝から晩まで本当に同じ店で過ごし、同じ苦楽を共にしているというのが大きいと思います」と、その理由を分析する。
そして彼らが繰り返し口にするのが、モチベーションを略した「モチベ」という言葉。カジュアルに使っていることから、軽い言葉に聞こえがちだが、自らのコンディションを確認したり、奮い立たせたりと、様々なケースで耳にしたことで、「決して薄っぺらい言葉ではなく、“モチベ”の中にはいろんなものが含まれている気がしました」という。
ことじさんが練習をしなければいけないのに、同期から「一緒にやろう」と言われるまで自分から動けない状態で「モチベがない」と発していたのを見て、鴨下Dは「表面上のやる気の出なさではなくて、自分の気持ちや状態を細かく見つめているような気がしました」と、若者たちの繊細な思いを受け止めた。
後編の見どころについては、まずロイさんの選択を挙げ、「美容師という仕事に対して楽しさを見いだせなかった彼が、どういう人生を歩んでいくのかを見届けてもらえたら」と呼びかける。
また、ことじさんについても、「不器用なりに、自分のペースで進んでいく中で、1年を経てどういうふうに変わっていくのか、見てもらいたいです」と予告。かのんさんも含めた同期たちが、それぞれの速度で成長していく姿に注目だ。

