株式会社アストロスケールホールディングスは2026年4月6日、2027年に打ち上げを予定している軌道上観測サービスの実証ミッション「ISSA-J1」の全体像と、観測対象となる衛星デブリを発表しました。


【▲ ISSA-J1ミッションのイメージ画像(Credit: アストロスケール)】

観測対象は「だいち」と「みどりII」

今回発表されたISSA-J1ミッションは、宇宙空間を漂う運用終了後の人工衛星(デブリ)に接近し、その状態を近距離から点検・把握する「宇宙の安全パトロール」の実証を目的としています。


観測の対象となるのは、日本が2000年代に打ち上げた大型の地球観測衛星「だいち(ALOS)」および「みどりII(ADEOS-II)」の2機です。ISSA-J1は、軌道高度などが異なるこれら2つの退役衛星に対して連続して接近し、近距離からの撮影や観測を行います。


アストロスケールによると、1つのミッションで異なる軌道にある複数の衛星デブリに連続して接近・観測を行うのは、民間企業としては世界初の試みとなります。


地上観測から「現場へ駆けつける」時代へ

アストロスケールは、持続可能な宇宙環境の実現を目指し、デブリ除去や燃料補給などを担う「宇宙のロードサービス」の構築を進めています。


同社は、どのような軌道上サービスを提供するにしても、対象物に安全に接近して状態を把握するプロセスが不可欠であると説明しています。これまで、宇宙状況把握(SSA)は主に地上からのレーダーや望遠鏡による遠距離観測に頼っていましたが、高度数百km以上の軌道にある物体の詳細な劣化状況や損傷を把握するには限界がありました。


ISSA-J1は、道路の安全パトロール隊が事故現場や異常箇所に赴くように、軌道上の「現場」へ直接駆けつけて点検を行うことで、今後の軌道上サービスに向けた新たな常識を打ち立てる重要なステップとなります。


2027年の打ち上げに向けて

このミッションは、文部科学省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)」における「軌道上の衛星等除去技術・システムの開発・実証」の補助事業者として採択されたプログラムの一環として実施されます。


アストロスケールによると、ISSA-J1の探査機は現在組み立て段階にあり、2027年の打ち上げに向けて準備が進められています。先般運用を終了した「ADRAS-J」によるロケット上段への接近・撮影の成功に続き、民間主導による軌道上サービスの実現がさらに一歩前進することが期待されます。



 


文・編集/sorae編集部


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