かつての谷口彰悟や大島僚太のように。叱られながら前を向く川崎CB松長根悠仁は新たな守備リーダーになれるか
後半アディショナルタイムのボランチ、河原創の劇的なゴールで3−2で浦和に勝利した川崎。その一戦で3試合ぶりの勝点3を喜びつつ、課題を口にしたのは21歳のCB松長根悠仁だった。
アカデミー出身で、昨季はレンタル移籍した福島でSBとして成長。川崎復帰を果たした今季は、怪我人が続くチーム事情もあり、CBとして出場を続けている。
試合開始直後のセットプレー、後半開始早々のカウンターで失点したなか「個人としては課題ばかり。チームのみんなに勝たせてもらった試合だと思います」と松長根も語る。
そして松長根の反省は続く。
「個人としては正直、課題だらけですし、チームが勝たせてくれて、そのなかで反省できるのはありがたいことだと感じています。
(課題はビルドアップ面、守備面)どちらもです。ただ、守備でいったら、(浦和CFの)オナイウ(阿道)選手に起点を作らせすぎ、そこから帰陣をせざるを得ない状況を作ってしまいました」
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間にはCBの相棒である先輩の丸山祐市とともにその場に倒れ込んだが、「前プレがかかった時に人にいくところで、ほぼ自分のところで、(浦和CB)根本(健太)選手から一個飛ばしてのフィードで、あそこ(受け手)を潰し切れなかった。収められて自陣に帰らないといけない回数が増え、みんなキツそうでしたし、申し訳ないと思っています」とも口にする。
「自分で持ち上がって剥がすプレーも増やしていきたい」と以前に語っていたが、ビルドアップのパスがズレたシーンや、相手にシュートを放たれた際には先輩たちから叱咤激励を受ける姿もよく目にする。
特にキャプテンの脇坂泰斗から愛のある“お叱り”を受けている姿は多くの人の知るところである。それはトレーニングの際も変わらないという。
もっとも叱られているうちが華という言葉もあり、先輩たちからの声は期待の表われである。だから本人も「パスのところだったり、守備のことも、もっとこうして欲しいと、そこは良い助言をもらえています。練習から言ってもらっているので、その課題に日々取り組んでいます」と前を向く。
振り返れば、ピッチに立てば絶大な存在感を放つ大島僚太、今や日本代表に欠かせない存在となった谷口彰悟らも、かつては大久保嘉人、中村憲剛、小林悠らに愛のある厳しい言葉を掛けられながら、大きく羽ばたいてきた。
松長根はともにすでにA代表のキャップを刻んでいる高井幸大、大関友翔らを同期に持つが、彼だってポテンシャルは高い。
何より彼のような実直な選手の大成を願っている人は多いに違いない。実戦にまさる成長の場はない。今は心身ともに多くのプレッシャーを受け苦しい面もあるだろうが、この経験がきっと未来につながるはずだ。そうやって温かくも厳しい目を向けられた先にどんな姿を見せてくれるのか非常に楽しみである。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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