「私のこと知らないでしょ?」がバズった瀬戸朝香、7年ぶりの再出発の舞台裏。49歳で人生初金髪、裏方実務に奔走し
「私のこと知らないでしょ?」と自虐ネタを笑い飛ばす姿がSNSで反響を呼んだ瀬戸朝香さん。30年所属した大手事務所から独立し、49歳で人生初の金髪にも挑戦。今は「なんちゃって社長」にならないよう、マネジメント業務、営業、経理など、裏方業務全般にひと通りに関わっています。マネージャーとして頭を下げる日々に「引き出しが増えて楽しい」と即答する。看板を脱ぎ捨てて、ゼロからの自分を面白がっている、彼女の「再出発」のリアルに迫りました。
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SNSをザワつかせた「ストリートスナップ」の真相
── 2025年から活動を本格再開されました。最近、SNSで若いカメラマンから「スナップを撮らせて」と声をかけられる動画が話題になりましたね。
瀬戸さん:あれはTikTokで流行っている形式を借りたパロディなんです(笑)。「あなたぐらいの世代、私のこと知らないでしょ」という自虐的なネタをエンターテインメントとしてやってみたら面白いんじゃないか、と盛り上がって撮影しました。
投稿には「ストリートスナップ風」と書いているのですが、YouTubeの切り抜き動画などを見て信じた方もいたみたいで。地方に行くたびに、わざと同じカメラマンに声を掛けられて、「いや、5回目だから。なんでまたいるの?」とツッコむ。そんなかけ合いを楽しんでいます(笑)。
── そうだったんですね。当初はネタなのかリアルな反応なのかわからず、半信半疑で見ていました(笑)。かつてのキャリアを知る世代からすれば「これってプライドが傷つくのでは」と、勝手にハラハラしてしまったのですが…。
瀬戸さん:全然、傷つかないですよ。7年間休んでいたので、知らない人がいるのも当然。だからこそ、若い世代が使っているツールに飛び込んで、「瀬戸朝香」を知ってもらうきっかけになればいいな、という作戦です(笑)。
49歳にして人生初の金髪に挑戦
── インスタグラムでは金髪に近いハイトーンの髪色に変え、「人生初の冒険」と綴られていました。
瀬戸さん:人生で一度は金髪にしてみたかったんです。ただ、女優という仕事柄、役柄の縛りがあって難しかった。でも、ここへきて急に「今、やってみたい」と思ったんです。
とはいえ、やっぱり世間の反応は気になります。今はSNSでダイレクトに反応が届くので、怖さもありました。そんな私の背中を押してくれたのが高校生の息子です。「髪を明るくしようと思うんだけど」と相談したら、「いいじゃん、自分の好きにしたらいいと思うよ」と言ってくれて。そのひと言で吹っ切れました。
事務所の独立。40代で再び模索する「自分のスタイル」
── 4年前には、30年間所属した事務所を離れて独立されました。マネジメントを事務所に委ねるほうがスムーズな面もあると思いますが、なぜご自身で起業を?
瀬戸さん:自分の力がどこまで通用するのか、試してみたかったんです。事務所には感謝しかありませんが、社長とも2年ほど話しあって「自分のスタイルでやってみたい」という思いを伝え続け、最後は応援していただきました。一歩踏み出したのが4年前です。
── ゼロからのスタート、当初の手ごたえはいかがでしたか?
瀬戸さん:最初の2年ほどは、お仕事もポツポツ。それはもう、不安でしたね。ただ、当時は下の娘もまだ小学生でしたし、復帰へのためらいもどこかにありました。
変化があったのは、娘がイギリスへ留学することになったときです。それをきっかけに「自分でできることはなんでもやろう」と、仕事に真剣に取り組むようになりました。すると、昔お世話になった方からのお声がけをいただき、映画やドラマ、バラエティーのお仕事が入り始めて。まるで波が来たように一気につながったので驚きました。今までのご縁には本当に感謝しています。
俳優業と社長業を両立し裏方の挨拶回りも。「なんちゃって」は嫌だった
── 社長業は事務作業も多いですよね。ご自身でどこまで把握されているのでしょうか。
瀬戸さん:「なんちゃって社長」には絶対になりたくなかったので、マネジメント業務、営業、経理など、裏方業務全般にひと通りに関わっています。最近は、俳優・りんたのマネジメントも手がけていて、マネージャーとして、テレビ局などに挨拶に回る機会も増えました。
── 支える側に回ったことで、心境の変化はありましたか。
瀬戸さん:ひとつの仕事をとってくるために、どれほど努力をしているのかもわかりましたし、自分がこれまでどれほど支えられてきたかも身に染みて感じました。仕事に向き合う姿勢も前より少し謙虚になった気がします。
伝え方ひとつで誤解は生まれますし、人との関係はていねいに積み重ねないと続かない。環境が変わった今だからこそ、人とのつながりの大切さがよくわかるようになりました。
50歳を前に、こういう経験ができているのは、自分にとってすごく大きなこと。勇気を出して新しい場所に踏み出したからこそ、増えた引き出しが今の私の力になっています。
…
30年という長い時間を過ごした場所を離れ、40代でみずから会社を立ち上げた瀬戸さん。マネージャーを兼務し、時にはみずから税務署へ問い合わせるなど、かつての「守られていた立場」から一歩踏み出し、自分の足で現場に立つことを、彼女は「今が一番、引き出しが増えている」と心から楽しんでいるようでした。
キャリアや環境が安定しているからこそ、そこを飛び出すのは勇気がいるもの。もし今、あなたが「看板」を脱ぎ捨てて、素の自分で勝負してみたい場所があるとしたら、それはどこですか?
取材・文:西尾英子 写真:瀬戸朝香

