【英語学習のお悩み解決Q&A】#1 リスニングは「ただ聞くだけ」じゃダメなんです

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英語学習のプロフェッショナル 大岩秀樹先生が 中高生の英語の悩みにお答えします!

2022年から開始した「大学入学共通テスト」は、大学入試センター試験とは大きく出題傾向や配点が変わり、さらに2025年(令和7年)1月からは、いよいよ新課程に対応した入試が開始されました。

大学入試では、英語の外部試験の導入や試験方法の多様化も進む中、中高生にとって英語学習は、興味のあるテーマであると共に、大きな悩みの種でもあります。その悩みも、「英語の文法が苦手」「長文が読み解けない」など人それぞれ。そこで、中高生が抱えるさまざまな悩みに、英語のプロフェッショナル 東進の大岩秀樹先生に答えていただきます。

今、求められている英語の力とは何か。どうすればその力を磨くことができるのか。この連載では5回にわたって、受験を考えている人はもちろん、英語の力をもっと上げたいと思っている皆さんにも役立つノウハウをお届けします。

第1回 リスニングは「ただ聞くだけ」じゃダメなんです

リスニングが苦手という方は、「ただ英語の音声を聞いて、なんとなく理解した気になっている」という傾向がみられます。しかしリスニングは音声を聞いて、しっかり内容を理解しなくてはいけません。

定期試験や共通テストでは、日常生活でのコミュニケーションを意識したテーマから出題される傾向があり、複数名の会話を聞いて解答を導かなくてはいけないので「なんとなくわかる」では太刀打ちできません。そんなリスニングの苦手克服のポイントに答えていきます。

Q. リスニングが苦手です。苦手を克服するために、まずは何から取り組めばいいでしょうか

A. 聞き取れていない、理解できていない箇所を確認するために、スクリプトを活用しましょう

(大岩)リスニングで使用される音声は、ナチュラルスピードで複数の登場人物が会話をするものが多く、リスニングが苦手な人は、ここでつまずいてしまいます。このため、いきなり長いものにチャレンジするのではなく、まずは短い構成で、英文が聞き取れ、理解できるレベルから始めるのがいいと思います。

私のおすすめは、リスニングの音声にスクリプト(文章)がついている教材を使った学習です。音声を聞きながらスクリプトを確認しましょう。

スクリプトを活用しながら、リスニングをすることで、音声では聞き取れていない箇所や、理解できていない英文、文法、単語を確認できます。「リスニングが苦手」の原因は、リスニングが苦手で正確に聞き取れていなかったのではなく、そもそも文法でつまずいていた可能性があります。スクリプトを活用して、習得できていない文法や単語を確認し、自分は何が理解できていないのかをしっかり可視化しましょう。

数学で「微分や積分でつまずいていると思っていたら、基礎の分数をしっかりと理解できていなかった」というケースがよくあるように、リーディングでも語彙や文法の知識は大切です。音声を聞いて「なんとなく何を言っているか分かる」ではテストの問題には答えられません。リスニングでも大切なのは英語の基礎がしっかり身についていること。私が考える基礎とは語彙力と文法の知識です。文法や単語の習得に自信がないという方は、しっかり理解できているレベルまで戻って復習してみるといいでしょう。基本に戻って見直すと「前もここは苦手だったな」という点が見つかるはずです。基礎が身についていれば、ぐんぐんリスニングの力が伸びてきます。

Q. リスニングのおすすめ学習法を教えてください

A. 「音読」と「ディクテーション」を取り入れましょう

(大岩)リスニングに近道はありません。身につくまでに時間がかかります。特に初学者や苦手意識がある人は、なんとなく聞き続けるだけでは上達しません。

では、どのような学習を取り入れればいいでしょうか。1つは、「音読」です。「リスニングなのに音読?」と驚く人もいるかもしれません。実は、リスニングが上達しない人は、音読ができていない傾向があるのです。

「音声を聞く⇒スクリプト(文章)で確認し、わからない単語や文法を調べて黙読⇒音読する」までを、ルーティンにしてみましょう。音読したとき、文法や単語が理解できていないと、つかえたり、変なところで区切ったりして、スラスラ読めません。つまり、音読はその英文に出てくる語彙や文法をしっかり理解できているかの確認にもなります。私の生徒には「単語も音声を聞いて、音読しながら覚える」と指導しています。スペルと音を同時に覚えることで、より知識が定着します。さらに音声はナチュラルスピードで流れているので、音声を聞きながらスクリプトを追って音読すると、読むスピードが格段に上がります。

2つ目のおすすめの学習法は、ディクテーション(音声を聞いて書き取る)です。ディクテーションをすると、例えば“the”が聞こえていないとか、“can”と“can’t”など短縮形が聞き分けられていないとか、自分の欠点が細かい部分まで明確に分かります。短時間でもいいので、毎日取り組むとグンッと力が付きます。

この時、1冊ノートを作って日付と共に記録に残しておくと、1~3ヶ月後の自分の上達が実感できるようになりますよ。

Q. 大学受験を考えています。リスニングではどんなことが大切ですか

A. 実用会話や日常会話、複数人数での会話の聞き分けに慣れておくことが大切

(大岩)共通テストで出てくる英文は、実用的な英語が中心で、構造的にはシンプルなものが多いのが特徴です。例えば観光、ビジネス、ディスカッションなど、日常生活でのコミュニケーションを意識したテーマから出題される傾向があるので、これを意識しながらリスニングの学習を行うといいと思います。複数人での会話を聞くことにも慣れていた方がいいでしょう。

使用する教材は、やはり、スクリプト(文章)がついているものがおすすめです。
せっかく単語の意味やスペルを習得しているのに、音では覚えていなく、音声で聞いても理解できていない方もいます。単語は「目と耳」で理解して、リスニングとリーディングをつなげる学習を意識しましょう。

大岩秀樹(おおいわ・ひでき)
東進ハイスクール・東進衛星予備校の英語科講師。基礎講座から難関大向け講座まで多数担当し、応用問題にもしっかり対応できる「本物の基礎力」にこだわる授業を行う。中学生・大学生向けの講座も多数担当しており、大学入試にとどまらない未来へつながる英語指導を心がけている。著書は50 冊以上。

取材協力:株式会社ナガセ(東進ハイスクール・東進衛星予備校)
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