爆発直後の超新星、撮れました
その残骸は意外にもオリーブみたいなカタチ。
天文学者らは、巨大な恒星が死を迎える瞬間を初めて画像として捉えることに成功。2024年4月、超新星「SN 2024ggi」が観測されてからわずか26時間後、ヨーロッパ南天天文台(ESO)は、チリにある超大型望遠鏡(VLT)でこの劇的な天文現象を観測しました。
超新星は、星が最期を迎えるときに起きる大爆発。ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡は、爆発が星の表面を突き破るその瞬間を捉えたのです。この成果によって、超新星の初期かつ一瞬の形状が史上初めて明らかになりました。
清華大学の天文学者であり、本日『Science Advances』誌に発表された論文の共著者であるYi Yang氏はESOの声明で次のように語ります。
これは研究者にとっては、大きな朗報です。というのも超新星爆発の幾何学的構造は、恒星の進化や爆発を生み出す物理過程に関する基本的な情報を与えてくれるからです
爆発の謎
超新星は非常に有名な現象ですが、依然として「巨大な星がどのようにして超新星になるのか」については議論が続いています。巨大な星が燃料を使い果たすと、その中心が崩壊し、外層の物質が内側に落ち込んだのち、反発する衝撃波として跳ね返ります。この衝撃波が外へ広がり、星の表面を突き破るとき莫大なエネルギーが放出され、超新星が明るくなり観測可能になるのです。
巨大な星の死は、内向きの崩壊で誘発される跳ね返る衝撃波によって引き起こされます。
この衝撃波がどのように発生し、どのように星の内部を伝わっていくのかは、何十年にもわたる未解決問題となっています
SN 2024ggiは、天文学的には比較的近い、わずか2200万光年先の銀河NGC 3621にありました。爆発前は、太陽の12〜15倍の質量と、太陽の500倍の半径を持つ赤色超巨星だったようです。
研究チームは、超新星の爆発が周囲の物質と相互作用する前の、わずかな間に存在する「ブレイクアウト(破裂)」の形状を分光偏光観測法(スペクトロポラリメトリー)と呼ばれる手法によって史上初めて観測しました。
研究の共著者、テキサスA&M大学の天文学者Lifan Wang氏は、この手法について「他の観測方法では得られない、爆発の幾何学的構造に関する情報を得られる」と説明しています。
さて、今回の観測について、高解像度で色鮮やかな爆発の写真を想像しているのなら、それはちょっと違います(記事冒頭の画像は、データに基づいた、アーティストによる想像図です)。
超新星は実際には一点の光としてしか見えませんが、研究者たちはその光の偏光の性質から、爆発の形状を再構築することができました。簡単に言えば、偏光とは光の粒子のもつ特性の一つであり、それを解析することで光を放つ星や超新星の形状を推定できるのです。
カタチはオリーブ型
チームの分析によると、最初の爆発はオリーブのようなカタチをしていたそうです。噴出した物質が星の周囲にある物質に衝突すると、爆発は平らに押しつぶされたような形状になったものの、同じ対称軸を保っていたとのこと。「これらの発見は、多くの巨大な星の爆発を駆動する共通の物理的メカニズムの存在を示唆しています。それは明確な軸対称性をもち、大規模なスケールで作用しているのです」とYi Yang氏は述べています。
この成果によって、天文学者たちは現在提唱されている複数の超新星モデルのいくつかを否定し、他のモデルを改良できます。これにより、超新星のような強力な爆発現象の正体にさらに迫ることができるようになるのです。

