古代エジプトには神話が3つもあった! 人々に信仰された神々とは【眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話】

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古代エジプトではどんな神を信仰していた?

創世神話をもとに多くの神々が存在

古代エジプトには複数の創世神話が存在し、地域ごとに異なる神が信仰されていました。代表的なものはヘリオポリス神話、ヘルモポリス神話、メンフィス神話の三つです。

「ヘリオポリス神話」は太陽信仰と結びついており、最初の神は太陽神アトゥムで、宇宙の始まりをつかさどります。そこから大気の神シュウと湿気の女神テフヌトが誕生し、さらに大地の神ゲブと天空の女神ヌウトが生まれ、神々は対を成して展開していきました。こうして宇宙と秩序が形づくられ、続くオシリスやイシスなど、死と再生を象徴する神々が加わります。これら九柱の神々は「エネアド」と呼ばれ、王権や死後の世界に深く関わりました。オシリスは冥界の神として、その息子ホルスは王の守護神として、信仰と統治の中心となりました。

「ヘルモポリス神話」では、原初の水から世界が誕生しました。そこから男女の神々が対になって登場し、水・闇・無限などを表しました。これらの八柱の神々「オグドアド」は、創造が始まる前の宇宙の姿を表す存在です。

これらの創世神話は、単なる宗教的物語ではなく、政治とも密接に結びついていました。神々は人間の営みに深く関与し、古代エジプト社会の根幹を形成。信仰は王権の正統性とも直結し、神話の知識は王や神官により継承されていきました。

ヘリオポリス神話

・太陽神アトゥムを創造神とし、宇宙の秩序を創りだす。
・アトゥムから大気の神シュウ、湿気の女神テフヌトが生まれ、続いて大地の神ゲブと天空の女神ヌウトが対として登場。
・オシリス、イシスなどの死と再生を象徴する神々を含む「エネアド」が成立。
・王権や死後の世界に深く関与する神話

【九柱神エネアド】

アトゥム神【太陽神】:宇宙の始まりをつかさどる創造の神(のちに「ラー」と同一化) シュウ神【大気の神】:天と地を分け生命を育む テフヌト神【湿気の女神】:夫シュウ神を助け生命を育む ゲブ神【大地の神】:大地からの恵みの象徴 ヌウト神【天空の女神】:昼と夜の天空そのもの オシリス神【冥界の神】:死と再生の象徴 イシス神【豊穣の女神】:夫オシリスを復活させる再生の神 セト神【混沌の神】:混沌と戦いの神 ネフティス神【葬祭の女神】:死者の守護神

ヘルモポリス神話

・原初の水から世界が生まれるとされる神話
・男女の神々が対になって登場し、水・闇・無限などの象徴をもつ。
・八柱神「オグドアド」が、創造が始まる前の宇宙を表す。

【八柱神オグドアド】

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古代エジプトの話』著:河合 望(エジプト学者・考古学者/筑波大学人文社会系教授)