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人口減少が進む中、都市と地方の両方に生活拠点を持つ「2地域居住」が注目を集めています。大分県玖珠町では、大手航空会社と協力して全国で先駆けたプロジェクトが始まっています。

【写真を見る】東京⇄地方を自由に行き来できる暮らしとは? マイル&無料レンタカー付き“2地域居住” IT勤務の夫婦がリアル体験

限られた人口を取り合わずシェア

東京都在住の吉田雄紀さん(31)と佑奈さん(31)夫妻は、都内のIT企業に勤務。9月の1か月間、リモートで働きながら大分県玖珠町と東京を行き来する生活を体験しています。

吉田雄紀さん:
「食べ物もすごくおいしいし、温泉も多く、癒されます。安心して暮らせる町だと感じています」

2人が玖珠町にやってきたのは、今年度から始まった「2地域居住プロジェクト」に参加するためです。2地域居住とは、都会に住む人が地方にも生活拠点を持ち、自由に行き来する生活スタイルのことです。

限られた人口を取り合わずにシェアすることで地域活性化につなげる狙いがあり、石破総理が掲げる地方創生の看板政策のひとつにもなっています。

吉田佑奈さん:
「生まれも育ちも東京なので、どこか地方に住んでみたいという気持ちがありました。ただ、仕事は東京を拠点にしていきたいので、どっちの選択肢も取れる2拠点生活が魅力的でした」

マイル&無料レンタカー、家賃3万円でフル装備

2人が惹かれた最大の理由は、日本航空のJALマイレージ。今回の2地域居住プロジェクトでは、1か月居住すると東京・大阪間の4往復相当のマイルを玖珠町が負担。2人は期間中に3往復できたといいます。日本航空では、こうしたマイルを活用した2地域居住の取り組みを全国の自治体と進めていて、玖珠町が全国初の事例となります。

日本航空大分支店 高田智美さん:
「玖珠町は廃校を活用したサテライトオフィスの誘致など積極的に行っていて、テレワークの土壌が整っています。そうした点から一緒に2地域居住を展開していきたいと思いました」

滞在中の居住場所は、空き家となっていた2種類(3LDKと4DK)の住宅が用意されています。エアコンや冷蔵庫といった家電、ネット環境も完備されていて、家賃・光熱費・水道料金込みで月額3万円という破格の安さで提供します。

さらにレンタカーも無料で利用できます。この手厚い補助もあって、今年度は吉田夫妻のほか3組が事業に参加予定です。

地域活性化の突破口となるか

玖珠町はこれまでも様々な移住施策に取り組んできましたが、仕事や家族といった現実的な壁に直面し、従来の対策では限界を感じていたといいます。

宿利政和町長:
「居住に関して“壁がある”とつくづく感じた。玖珠の良さを知ってもらうためには一定期間のお試し住宅で暮らしてもらう。玖珠町バージョンが少しでも効果を出して全国に広がっていく、それが本当の地方創生だと考えている」

この日、2人は町の職員の案内で旧豊後森機関庫を初めて訪れました。町の歴史を肌で感じた2人。玖珠町で過ごした時間が人生を見つめ直すきっかけになったと、この1か月を振り返ります。

吉田雄紀さん:
「2拠点生活がリアルに感じられました。今までは憧れだったけど、夫婦として良い経験ができたと思っています」

佑奈さん:
「働き方が多様になってきているので、子どものことを考えると自然があるところで育てるのも選択肢だと思うので、こういう取り組みが広がってほしいです」

リモートワークの普及により、新しい生活スタイルとして期待される「2地域居住」。人口減少に歯止めがかからない中、地域活性化の突破口となるのか――玖珠町の取り組みの成果は全国から注目され、今後の地方創生の可能性を占う試金石となりそうです。