「フェスで心が軽くなる」? 精神科医・遠迫憲英が語る、ダンスミュージックの意外な効能
ストレス社会における“音楽のチカラ”
現代社会では、仕事や人間関係など日常の中で誰もがさまざまなストレスを抱えています。 その中で、休日に趣味に没頭したり、美味しいものを食べたり、体を動かしたりすることで、上手に心身のバランスを取ることは、現代人にとって大切な“セルフケアスキル”といえるでしょう。
ストレス解消の方法は人それぞれですが、その一つとして「音楽」を挙げる人も多いのではないでしょうか。お気に入りの音楽を聴いて気分転換をしたり、ライブに足を運んで非日常を味わう。中でもダンスミュージックは、他のジャンルにはない“ある特性”があると話すのが、心療内科HIKARI CLINICの院長・遠迫憲英(えんさこのりひで)先生です。
音に没頭する「解放の場」としてのフェス

「80年代後半、ハウスやテクノが日本でも広まり始めたころから、クラブで踊るのが好きでした」と話す遠迫先生。現在は、スタッフにも音楽好きが集うクリニックを運営し、社員旅行ではベルギーの巨大ダンスミュージックイベント「Tomorrowland」を訪れることも。
そんな遠迫先生が注目するのは、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)のもつ没入性と一体感です。
「EDMって、テクノやハウスよりもキャッチーで、綺麗なメロディや盛り上げの構造がはっきりしている。そこにいる全員が、ただ音に没頭する時間がある。争いや評価から解放される、すごくユニークな空間だと思います。」
フェスの現場では、数百人〜数千人が同じ音を浴びながら一斉に身体を動かす非日常の光景が広がります。
その場にいる全員と一緒になって音楽に身を委ねる。そこには喧嘩や争いもなく、完全に音楽に没頭する世界があるだけ。そんなジャンルが出てきたことに遠迫先生は非常に驚いたといいます。
「人に迷惑をかけない限りは、自由でいい。“とことん楽しむんだ”っていう気持ちで参加して、大声を出したり、目を閉じて踊ってみたりしてほしいんです。ふと目を開けると、周りの人も同じように音に乗ってる。その一体感に気づいたとき、人って“解放された”って感じるんですよ。」
ダンスミュージック=動く瞑想? 心の治療としての音

ダンスミュージックの特徴は、歌詞に依存せず、誰かを“見る”必要もない点にあると先生は言います。
「ロックは歌詞を味わったりアーティストを見たりする楽しみがありますよね。でもダンスミュージックは、DJを見る必要すらない。ただ音だけに集中して、無我夢中で身体を動かす。これって、ある意味“瞑想”と似てるんです。」
他人の目を気にしてしまう日本人の気質を考えると、周りの目を気にせず踊るというのもなかなか日常では難しいところ。
「目をつぶっちゃっても良いんです。まずは30分、それから1時間とにかく音楽だけに集中して聞いてみる。まずはそこから初めてみると良いですよ。そして目を開けたとき、周りの大勢が盛り上がっている光景が飛び込んでくる。これがますます気持ちの解放につながるんです」
自身もDJとしてイベントを主催することがあるという遠迫先生。「患者さんに、『治療だと思って遊びに来て』と誘うこともあります(笑)。対人関係が苦手な人やコミュニケーションが苦手な人は、ダンスミュージックをひたすら聞いて踊っているあいだに自己を解放していく。そうすると、自分に向き合うことができてコンプレックスを解消することができたりするんですよ。その場にいる人が同じように盛り上がって一体感が生まれると、自分に自信がついたり」
“日常を超える感覚”があるだけで、生きられる

気軽に非日常を味わうことができるのがフェスの魅力。「非日常の世界があるっていうのを知れただけでも生きていけるって思えたりするんです。人は枠組みから解放されたとき、はじめて新しい意識のあり方に出会える。だから、音楽フェスのような空間は、治療にも近い働きをするんです」
毎日、多くの診療をするなかで先生自身も、音楽に助けられているといいます。「欧米では毎週末教会に行くという文化がありますよね。もともとクラブって、若者たちが教会にいくような感じで週末クラブに行って、そこでコミュニティが生まれたり、朝までひたすら踊って一体感が生まれたり。教会に近い機能を持っていたと思うんです。だから、ダンスミュージックって、人を癒すために生まれた音楽なんじゃないかなって、思うんです」
遠迫憲英(えんさこのりひで)
精神保健指定医 日本精神神経学会認定専門医
岡山県岡山市出身。大学時代は趣味の音楽活動、格闘技(空手、日本拳法二段)に熱中。またバックパッカーとしてインド、東南アジア、中米、地中海沿岸など各地を放浪する。幼少期から人間の意識についての興味が深く、様々な自身の経験を職業に生かすことを目指し、精神科医師となる。
https://hikariclinic.jp/
精神保健指定医 日本精神神経学会認定専門医
岡山県岡山市出身。大学時代は趣味の音楽活動、格闘技(空手、日本拳法二段)に熱中。またバックパッカーとしてインド、東南アジア、中米、地中海沿岸など各地を放浪する。幼少期から人間の意識についての興味が深く、様々な自身の経験を職業に生かすことを目指し、精神科医師となる。
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