早くプレー再開を! 印象的だった84分の振る舞い。U-20代表の盒郷慮佞示した勝利への執念と代表選手としての覚悟【現地発】
何も言い訳ができない完敗だった。
U-20ワールドカップ出場を決めたイランとの準々決勝(1−1/4PK3)から3日後。2月26日、若き日本代表はU-20アジアカップの準決勝に臨んだ。
相手のオーストラリアは中3日で、前回の試合(イラク戦/3−2)は90分で決着をつけた一方で、日本は中2日で120分+PK戦を戦って勝ち上がっている。連戦だったこともあり、選手の疲労も考慮し、船越優蔵監督はイラン戦から先発を8名入れ替えた。
だが、67分にミドルシュートを決められ、そのまま0−2で敗れた。悲願のアジア王者の夢は叶わなかった。
モチベーションは保てており、W杯の出場確定直後の一戦だからといって慢心したわけではない。しかし、チームにいつものような活気はなく、ピッチ上の声も少ないように思えた。“勝ちたい”という気持ちを全面に押し出す選手は少なかった印象だ。
どこかフワっとした空気感が漂うなかで、負けず嫌いのオーラをこれでもかと放っていた選手がいた。それが郄橋だ。
【画像】ワールドカップの出場権をかけてアジアカップに挑むU-20日本代表招集メンバーを一挙紹介!
前述の通り、自身が途中出場した直後に失点。さらに追い込まれた状況で、背番号3は誰よりもピッチで勝利に対する欲求を表現した。最も印象的だったのが84分の振る舞いだ。
神田がオフサイドとなり、敵陣にボールが転がる。誰も回収に行かず、時計の針が刻々と刻まれていく。郄橋は自陣から長い距離を猛ダッシュで走り、即座に拾って相手にリスタートを促した。そのシーンを郄橋はこう振り返る。
「ラスト30分からの出場。このメンバーでやるのが最後という気持ちもあったし、日本代表として戦う気持ちもある。俺は最後まで、できることをやって、なるべく早くプレーを再開したいと思っていた」
いつもは明るくハキハキと話す郄橋。しかし、オーストラリア戦後は今までにないくらい落ち込んだ表情で、声のボリュームが下がった。前回のU-20ワールドカップを経験し、このままでは世界で戦えないという危機感があったからこそ、悔しさが倍増したのだろう。
「今日の試合では足りんかなと思う。やっぱりワールドカップに行ったら、もっともっとライバルがおるから、デュエルとかもうちょっと命懸けて行かなアカン」とは郄橋の言葉。勝利への執念と代表選手としての覚悟を示した男は、この敗戦を糧にさらなる成長を誓う。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
