日本は準決勝で豪州に0−2敗戦。高橋(3番)も悔しさを滲ませた。写真:佐藤博之

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[U-20アジア杯・準決勝]日本 0−2 オーストラリア/2月26日/Baoan Sports Centre Stadium

 何も言い訳ができない完敗だった。

 U-20ワールドカップ出場を決めたイランとの準々決勝(1−1/4PK3)から3日後。2月26日、若き日本代表はU-20アジアカップの準決勝に臨んだ。

 相手のオーストラリアは中3日で、前回の試合(イラク戦/3−2)は90分で決着をつけた一方で、日本は中2日で120分+PK戦を戦って勝ち上がっている。連戦だったこともあり、選手の疲労も考慮し、船越優蔵監督はイラン戦から先発を8名入れ替えた。

 しかし、その起用法は裏目に出てしまう。前半から主導権を握れず、何度もピンチを迎えた。後半開始早々の49分には左サイドを崩されて先制点を許す。ギアを上げるべく、57分にMF大関友翔とFW神田奏真の川崎コンビを投入。さらに66分にはDF梅木怜(今治)とDF郄橋仁胡(C大阪)をピッチに送り込み、主力組の力でなんとか巻き返しを図った。

 だが、67分にミドルシュートを決められ、そのまま0−2で敗れた。悲願のアジア王者の夢は叶わなかった。

 モチベーションは保てており、W杯の出場確定直後の一戦だからといって慢心したわけではない。しかし、チームにいつものような活気はなく、ピッチ上の声も少ないように思えた。“勝ちたい”という気持ちを全面に押し出す選手は少なかった印象だ。

 どこかフワっとした空気感が漂うなかで、負けず嫌いのオーラをこれでもかと放っていた選手がいた。それが郄橋だ。
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 前述の通り、自身が途中出場した直後に失点。さらに追い込まれた状況で、背番号3は誰よりもピッチで勝利に対する欲求を表現した。最も印象的だったのが84分の振る舞いだ。

 神田がオフサイドとなり、敵陣にボールが転がる。誰も回収に行かず、時計の針が刻々と刻まれていく。郄橋は自陣から長い距離を猛ダッシュで走り、即座に拾って相手にリスタートを促した。そのシーンを郄橋はこう振り返る。

「ラスト30分からの出場。このメンバーでやるのが最後という気持ちもあったし、日本代表として戦う気持ちもある。俺は最後まで、できることをやって、なるべく早くプレーを再開したいと思っていた」

 いつもは明るくハキハキと話す郄橋。しかし、オーストラリア戦後は今までにないくらい落ち込んだ表情で、声のボリュームが下がった。前回のU-20ワールドカップを経験し、このままでは世界で戦えないという危機感があったからこそ、悔しさが倍増したのだろう。

「今日の試合では足りんかなと思う。やっぱりワールドカップに行ったら、もっともっとライバルがおるから、デュエルとかもうちょっと命懸けて行かなアカン」とは郄橋の言葉。勝利への執念と代表選手としての覚悟を示した男は、この敗戦を糧にさらなる成長を誓う。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)