レトロと新しさが融合。山形・七日町御殿堰エリアで建築巡り

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東京のレトロなおでかけスポットを紹介するWebマガジン「てくてくレトロ」を運営している、レトロ好きライターの中村英里です。

浅草出身ということもあり、昔ながらの街並みが残る下町やレトロな建物が大好きな私。今回は1泊2日で山形へ! 再開発に取り組んできたJR山形駅周辺には、古い建物をリノベーションした施設がたくさんあります。レトロな建物を巡りながら、街歩きを楽しんできました。

東京駅

東京から約3時間、山形へ

旅のスタートは、JR東京駅から。

山形新幹線「つばさ」に乗り込み、約3時間で山形駅へ到着!

初めての山形にわくわくしながら、まずは山形駅直結の「霞城(かじょう)セントラル」へ。映画館やレストラン、行政施設などが入っている複合施設で、24階の展望ロビーからは山形市の街並みを一望できます。

左奥にぼんやりと見えるのが蔵王山です。地上に目をこらすと、満開の桜の木がちらほら見えました。2日目にはお花見スポットにも行く予定なので、楽しみ!

山形駅

400年前の水路を再生。水の町屋 七日町御殿堰

山形駅を出て最初に向かったのは、「水の町屋 七日町御殿堰(なのかまちごてんぜき)」。山形駅前バス停から山交バスに乗り約10分、七日町バス停で下車。歩いて1分ほどで到着!

こちらは、約400年前につくられた山形市内を網目のように流れる5つの水路「山形五堰(やまがたごせき)」の1つである「御殿堰(ごてんぜき)」を中心に再整備した複合施設。

石積みの水路をはさんで並ぶ町屋づくりの建物には、レストランや和風喫茶、呉服店などが入っています。

この日はあいにくの雨模様で、「せっかくの旅行なのに……」と思っていましたが、水路のある眺めには不思議と雨がよく似合います。

屋根の下のベンチで、水路のせせらぎと雨音を聞きながら、しばしぼんやり。こんなふうにのんびり過ごす旅もいいな、と。癒やされる時間でした。

BOTA coffee

傘屋をリノベーションしたカフェ。BOTA coffee

次に向かったのは、水の町屋 七日町御殿堰から歩いて1分ほどの場所にある「BOTA coffee」。約100年続いた傘屋をリノベーションしたカフェです。

「洋仐のスズキ」の看板が目印

店主の佐藤英人さんは、前職で不動産の仲介企業に勤めていた時に、「洋傘のスズキ」のテナントオーナーとお付き合いがあったそう。傘屋が廃業となった後、3年間借り手がつかなかったこの場所を自分で借りてカフェにしようと決め、セルフリノベーションを経て2014年にBOTA coffeeをオープンしたとのこと。

コンクリートむきだしの壁に廃材を利用したテーブル、店内のあちこちに飾られたドライフラワー。ほっとくつろげる雰囲気で居心地がいい空間です。

金土日祝限定メニュー「週末のおかし」として出される「ボタプリン」と、コーヒーをいただきました。

プリンはまろやか&なめらかな舌触り。コーヒーを煮詰めてつくったカラメルは、佐藤さんいわく「苦くて子どもには不評」なんだとか(笑)。たしかに苦めでしたが、大人なので問題なし。コーヒーとともにおいしくいただきました。

BOTA coffeeがあるシネマ通りには、かつてたくさんの映画館がありましたが、現在は1つもありません。映画の文化が消えないように、との思いで、BOTA coffeeの2階につくられた「BOTA theater」は、東北芸術工科大学主催の「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」や、1989年から隔年で開催される「山形国際ドキュメンタリー映画祭」の会場に使われているのだとか。イベントに合わせて足を運んでみるのも楽しそう!

山形七日町二郵便局

大正時代のレトロ建築。山形七日町二郵便局

BOTA coffeeから歩いて1分ほどの場所にある「山形七日町二郵便局」。1925年(大正14年)に建てられた、山形における鉄筋コンクリート建築の草分け的存在です。

1972年(昭和47年)までは洋品店で、戦後の一時期、2階はダンスホールやビリヤード場として使われたこともあるそう。

コンクリートの重厚なつくりながら、ところどころに曲線のデザインが用いられていて優美な印象も感じられます。こんなに素敵な郵便局なら、用事がなくても来たくなってしまうかも!

とんがりビル

レトロビルをリノベーション。とんがりビル

次に向かったのは、山形七日町二郵便局から徒歩約1分の場所にある「とんがりビル」。築55年の建物をリノベーションした商業ビルです。

人々が山のふもとに集まってお祭りをするイメージと、山形のとんがっている山にちなんで「とんがりビル」という名前になったそう。

古びた細い階段の先に、ぼんやりとした灯りが見えます。「この先入ってもいいのかな……?」と一瞬ためらいましたが、勇気を出して上がってみることに。

2階のセレクトショップ「この山道を行きし人あり」に入ってみました。

この山道を行きし人ありは、「自然とヒトとを繋ぐ」というコンセプトのもと、山形県ゆかりの品をはじめ、日本、そして世界各地のいろいろな商品を扱っているお店です。

私の地元・浅草のブラシ専門店「かなや刷子」の品を発見! 旅先で地元のものを見つけると、なんだか嬉しくなりますね。

以上で初日の建築巡りは終了。山交バスで山形駅に戻り、本日は駅近辺のホテルにチェックイン。明日に向けて休みます。

馬見ヶ崎さくらライン

まるで桜のトンネル! 馬見ヶ崎さくらライン

2日目の最初の目的地は、「馬見ヶ崎さくらライン」。山形駅前バス停から山交バスに乗って約15分、消防署前バス停で下車。5分ほど歩くと到着です。

馬見ヶ崎川の堤防沿いに約200本の桜が立ち並ぶ、山形県屈指のお花見スポットです。歩道の真上に桜が咲いていて、まるで桜のトンネルの中にいるよう!

山形県の秋の風物詩「日本一の芋煮会フェスティバル」の会場でもある馬見ヶ崎川は、地元の人々にとって親しみ深い川なんだそう。観光客のほか、地元の方とおぼしき家族連れの姿もあちこちに。

よちよち歩きのお子さんから杖をついたお年寄りまで、みんな楽しそうに桜を見上げて歩いているのどかな雰囲気にほっこりしながら、お花見散歩を楽しみました。

山形まるごと館 紅の蔵

元蔵屋敷の観光施設。山形まるごと館 紅の蔵

消防署前バス停から再び山交バスに乗り約10分、保健所前バス停で下車。5分ほど歩くと、「山形まるごと館 紅の蔵」に到着!

かつて紅花商人だったマルタニ・長谷川家所有の蔵屋敷を利用した、山形市の観光複合施設です。これが個人のお宅だったの……?! と驚くほどの規模感。

母家と5棟の蔵で構成されていて、山形県の食材を味わえる飲食店や、地域特産品の販売店などが入っています。

昼食を食べに「そば処・郷土料理 紅山水」へ。山形県産のそば「でわかおり」「最上早生(もがみわせ)」を使用した、手打ちのそばを提供しているそう。郷土料理や地酒も取りそろえています。

いただいたのは「山形地鶏そば」。ひと口すすると、そばの風味と地鶏のうまみがふわりと鼻先に広がります。おいしい!

中庭を眺めながら、お屋敷での優雅なランチタイム、最高でした。

昼食のあとは、「おみやげ処 あがらっしゃい」へ。山形のお菓子や地酒、紅花染めのハンカチなど、いろいろあって目移りしてしまう!

家で仕事をする時によくお茶を飲むので、「さくらんぼほうじ茶」と「つや姫の玄米茶」をお土産に購入しました。

ちなみにこの記事を書きながら、さくらんぼほうじ茶を飲んでいます。ほんのり甘く香るさくらんぼがお茶の味わいにマッチしていておいしい!

第二公園

第二公園には、鬼滅の刃ゆかりのSLが

最後の目的地は、山形まるごと館 紅の蔵から歩いて5分ほどの場所にある「第二公園」。大正時代につくられた蒸気機関車が展示されています。

8620形という形式番号から「ハチロク」の愛称で呼ばれているこの蒸気機関車、実は映画『鬼滅の刃 無限列車編』に出てくる蒸気機関車のモデルと同形なんだそう。

運転室に入れるようになっていて、お子さんがかわるがわる中に入って遊んでいました。その合間をぬって、内部に潜入!

レトロかつメカニックな雰囲気がかっこいい! 大正時代に多くの人を乗せていたSLが、時を経て公園に設置され、たくさんの子どもの遊び場になっている……。なんだかロマンを感じます。

これで、1泊2日の山形旅は終了。山形駅から、行きと同じく山形新幹線「つばさ」に乗って帰京しました。

山形市では、1つのリノベーションをきっかけに周辺の施設、ひいては街全体が変わっていく「エリアリノベーション」という動きが広がっているそう。

古い建物の良さを生かしつつ、新しく生まれ変わったお店が次々とオープンし、県外からも多くの観光客が訪れているのだとか。たしかに、街中を散策している時に、リノベーションした古いビルにおしゃれなお店が入っているのをよく見かけました。

古き良き雰囲気の中に新しさもある山形駅周辺エリアには、今回訪れたほかにも魅力的なスポットがたくさん。またぜひ来てみたいなと思います!

東京駅

掲載情報は2022年6月21日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。