男は知らない「酔っちゃった♡」の真意。酔ったフリをして男を試す女の恐ろしい本音

わざと酔う女〜お酒は人の本性を炙り出す〜
人が集まってお酒を飲む機会がぐっと減った2020年。誰とどこで会うかをこれまで以上に重要視するようになった。
-どこの馬の骨かもわからぬような人間とは同じ空気を吸いたくない
クローズドな空間で、厳選された人間と、華金を酔いしれたい。粗野な人間が存在しない空間は、空気に淀みがなく、澄んでいる。凛子にとって華金とは“華麗なる金曜日”を意味するのだ。
混濁の2020年、海外駐在お預けを食らっていた男友達の赴任が遂に決定し、ささやかな“送別会”が開かれていた。凛子が引き連れた女は、フリーの女子アナ・麗奈と、会社の同僚・礼美。
乾杯は、もちろんシャンパーニュで。
つまみはフォアグラムース、オシェトラキャビア、粒揃いの男たちが囁く甘い言葉…
凛子はシャンパングラスに注がれた“ジンジャーエール”を飲みながら、不敵な笑みを浮かべてこう言った。
「なんだか酔ってきちゃった〜♡」
この発言が、男の本性を炙り出すリトマス紙となることをご存知だろうか。猫撫で声に釣られた男たちを、凛子は冷静な目で見定めた。
食事会にまさかの“あの男”が登場…!炙り出された男の本性…わざと酔っ払ったフリをした凛子の戦略とは!?
まず、一目散に釣られたのは、女子アナ麗奈を開始早々ロックオンしていた外資系投資銀行に勤める独身貴族(32)。
「酔ってきちゃった〜♡」という猫撫で声が聞こえるや否や、独身貴族くんは麗奈の方にまっすぐ向いていた身体を捩らせ、凛子を捕獲。獲物を狙う獰猛な肉食動物さながら、実に素早い反応だった。
「凛子ちゃん、もっと飲みなよ〜」
あさりの味噌汁よりも酒蒸し、エビチリよりも酔っ払い海老、ミルクチョコレートよりシャンパントリュフ、素面の女より泥酔した女がお好みなようで、凛子は心の中で躊躇なくバツを押印した。
-女性を酔わせたがる男は問答無用でNG!
”アルファオス”特有のキラースマイルと圧倒的な覇気に飲み込まれることなかれ。
凛子はニヤリと微笑み返し、手に持っていたシャンパンを装った“ジンジャーエール”をグビっと飲み干した。そんな凛子の姿を見て、独身貴族くんは「いいねぇ〜!最高」とご満悦。
次に、凛子の元へ駆けつけたのは財閥系総合商社に勤める男・誠一(31歳)。見るからに毛並みがよい好青年で、大学からでもなく中学からでもなく、下から慶應なのだということが一目でわかる。
「凛子ちゃん、大丈夫?あまり飲みすぎないでね」
ほろ酔いの女にミネラルウォーターを差し出す慈愛に満ちた下心のない優しさに、育ちの良さが滲み出る。

-なんて紳士なの…これぞ理想の男…
濃紺のワンピースに身を包み、同じく濃紺のスーツを着こなした彼と、出来の良い子供の肩に手を添えて、帝国ホテルの佐藤写真で撮った絵に描いたように幸せな家族写真が頭に浮かんでしまい、凛子は思わず頬を赤らめた。
「凛子ちゃん、酔うと顔が赤くなるんだね、可愛い」
全くいやらしさのない素直な賛辞を、息を吐くように繰り返す。このようなスマートな男が30過ぎまで独身である可能性は非常に低いと考えた凛子は、チラリと左手薬指を目視するが指輪はしていない。
念には念を。テーブルの下でスマホを弄りFacebookを開く。財閥系総合商社に勤める男友達のページに赴き、友達一覧の検索窓に名前を打ち込む。
<・・・誠一>
青い空と新緑のコントラストが美しいゴルフ場で、真っ白なポロシャツを着て真っ白な歯を見せてはにかむ誠一のトップ画をクリックすると、そこには見事に<既婚>の二文字が…
しかし、既婚者だからと切ってしまうのは時期尚早。
Facebookに会社名・フルネーム・顔写真を晒し、既婚のステータスを明示している男はまともな部類の人間であるといえる。やましいことをしている人間は、SNSやLINEに顔写真やフルネームを晒すような清廉潔白さはない。
不倫など大それた罪を犯すつもりは毛頭ないが、女の子と楽しく飲みたいという淡い欲望は消えていないのだろう。
そういう男性は、独身の後輩を率先して連れ立って飲みたがる。既婚の誠一をハブに、未だ見ぬ独身エリートたちと出会える可能性は非常に高いので、大切にキープしておくべきだ。
「誠一さん、不倫ってどう思います?」
対既婚者モードにギアチェンジした凛子のカウンターパンチに誠一の反応は…?!そして何故か激怒する同僚・礼美…
「え?!不倫?!不倫“は”したことないなぁ。凛子ちゃんは興味あるの?」
凛子からのお誘いかと勘違いした誠一は、自分が既婚であることを隠すことも忘れにわかに目をギラつかせた。
「いえ、不倫とかは全く興味ないんですけど、誠一さんのような男性は奥さんがいてもモテそうだなぁと思って♡私も誠一さんのような“誠実な”男性と結婚したいなぁ」
貴方が結婚していることは知っています。でも貴方のことは素敵だと思っています、これからもお友達として仲良くしましょう、誠実な男を紹介してね、という意思表示を忍ばせたハイコンテクストな投げかけを受け取った誠一は、全てを察して凛子の望む答えを返した。
「こうやってみんなで飲むのは大好きだから独身の奴らとよく飲むんだよね〜。凛子ちゃんはどんな男が好きなの?後輩誘うからまたみんなで飲もうよ」
「え〜、嬉しい!」
頬を赤らめ、既婚の男と戯れあう凛子。そんな凛子を遠目で見つめ、釈然としない気持ちを抱えている女がいた。5年付き合った彼氏に振られ、出会いを求めて背水の陣で食事会に参戦した傷心の三十路・礼美だ。
「ねぇ、凛子ちゃん、お手洗いに行かない?」
男の本性はお酒で炙り出され、女の本性はレストルームで…

「ちょっと凛子ちゃん、酔いすぎじゃない?」
「え、全く酔ってませんよ?酔ったフリですって。私、お酒に弱いので乾杯の一杯だけで止めてそれ以降はジンジャーエールを飲んでいたので」
酒の場は、人の本性を炙り出すことができる貴重な場所だ。お酒の飲み方には性格が出る。酔った女性に対する態度を見れば、女性に対するスタンスがわかる。凛子は素面で冷静に男性を見定めていたのだ。
「ていうかさ、“若い、可愛い、女子アナ”と三拍子揃った女の子をなんで呼ぶのよ…」
大学在学時に準ミスを受賞し、大手事務所にスカウトされ、フリーの女子アナとして活躍する23歳の麗奈。そんなキラキラトロフィーガールを食事会に呼んだのも、凛子の戦略のうちだった。
「若さと美貌とブランドに食いつくトロフィーワイフ好きの男を瞬時に判別することができるからですよ。それに、ああいう女の子が一人いると男のテンションが底上げされて会が盛り上がって次回に繋がるんです♡」
「なるほど…でもさ、凛子ちゃんの会だから期待してたんだけど、駐在でいなくなっちゃう男と、独身貴族と、既婚男って結構ハズレ会じゃない…?」
「わかってないですね、礼美さん。赴任直前は連日送別会がある、独身貴族は毎晩独身同士で飲み歩いている、既婚男は、独身者とつるんで飲みまくる、彼らは出会いの宝庫なんですよ。ちなみに、今日はいませんでしたけど、バツイチ男性も出会いに貪欲なので狙い目。彼らをハブにして出会いを広げればいいんです」
食事会に来た男の中で運命の人を探そうとしないで、彼らを踏み台にするべきなのだ。全方位に好意を振りまいて地引網で大量収穫。食事会は運命の人と出会うために種まきをする場所として考える。
会終了後、男性陣から即座に送られてきたLINEを見て、凛子は再び不敵な笑みを浮かべた。
独身貴族▶︎
凛子ちゃん!超可愛い子連れてきてくれてありがとう!麗奈ちゃんめっちゃタイプだったわ。今度お礼させてね〜
駐在決定商社マン▶︎
凛子ちゃんのおかげで日本での楽しい思い出が作れたよ。ありがとう!同僚たちが暇を持て余しているので僕の代わりに遊んであげてね。繋げたいので出国前に是非また!
既婚男▶︎
今日はありがとう!聞きそびれちゃったけど凛子ちゃんはどんな男性がタイプなの?選りすぐりの独身勢を連れていくのでみんなでまた飲もうね^^
【本日のストラテジー】
・酒の場は、人間の本性を垣間見ることができる貴重な場所。男性の言動を冷静に見定めよ。
・幹事MAXの法則はNG。自分より可愛い子を連れて行って男性のテンションを底上げし、次回に繋げよう。
・既婚男もバツイチも独身貴族も切るべからず。出会いのハブになる彼らを大切にキープして踏み台にすべし。
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良い男と日替わりデートする凛子の前にクセモノ現る。クセモノさえも手玉に取る凛子のストラテジーとは

