アップルの iOS 責任者 Forstall 氏が退社。新マップ謝罪騒動が引き金?

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アップルが経営幹部陣の役割を刷新する組織変更を発表しました。発表の表題は「ハードウェア、ソフトウェア、サービス間の協力を推進するための組織変更」。ジョニー・アイブ、エディー・キュー、クレイグ・フェデリギ、ボブ・マンスフィールドのそれぞれが担当分野を拡大する一方、iOSの誕生から責任者を務めてきたスコット・フォーストールが来年退社するという、ジョブズからティム・クック体制になって以来の大きな刷新です。
幹部それぞれの担当は、

新製品発表のたびに公開される「こうやって作りました」動画でもおなじみ「サー」ジョニー・アイブが、現在のインダストリアルデザイン責任者から、アップル製品全体のHI (ヒューマンインタフェース)統括者へ。

iCloud や App Store を担当してきたインターネットソフトウェア担当 のエディー・キューが、さらに Siri とマップも含めたオンラインサービス全体の責任者へ。

OS X の担当者 クレイグ・フェデリギは iOS と OS X 双方の責任者へ。今年6月には退社予定だったはずのボブ・マンスフィールドは、ハードウェアエンジニアリング担当に加えて、アップル全体のワイヤレス技術チームや半導体チームを含む新設組織「テクノロジー」グループの責任者へ。


一方で、iOSソフトウェア担当のシニアバイスプレジデントだったスコット・フォーストールは来年退社し、それまでの期間はティム・クックの「アドバイザー」を務めます。

スコット・フォーストールは、NeXT時代からジョブズの下で中核技術にかかわるソフトウェア・エンジニアとして活躍し、1997年にNeXTの買収で入社したアップル歴15年のベテラン。アップルでは OS X と Aqua UI の誕生にかかわり、Leopardなど複数の OS X リリースでは責任者を務め、また iOS では誕生から現在に至るまで担当したシニアバイスプレジデントだった人物です。

早々に撤去されたアップルの役員紹介ページから引用すれば、「(フォーストールは上級副社長として、) アップルの革命的な iPhone のソフトウェアについて、ユーザーインターフェースからアプリケーション、フレームワーク、オペレーティングシステムまでを担当します」。スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションでも、たびたび「ではスコットが説明します」と紹介されデモを担当するのが恒例となっていました。



あらためて発表文を眺めて違和感を覚えるのは、15年来のベテラン幹部で故ジョブズの信任も厚く(伝記参照)、また現在のアップルにとって最大のビジネスである iOS デバイスのソフトウェアを一貫して担当してきた上級副社長であるにもかかわらず、フォーストール氏の退社については一度だけ、 " will be leaving Apple next year. " とごく簡潔にしか述べられていないこと。

一般に叩き上げの功労者が社を去る場合は、本人の「アップルで同僚と働くことができた年月は私にとって〜」式の退任の辞があったり、トップからねぎらいの言葉があったりするものです。また何かよほどの理由があった場合でも、「個人的な理由で」なり「新たな活躍の機会を」なりと形だけでも説明があることが多く、アップルも例外ではありません。(どころか、アップルは人事発表で毎回ジョブズコメントがあったりと能弁でした)。

また人事異動の内訳を見てみれば、クックが外部から雇って数か月の小売店担当者 John Browett があっさり辞めることがおまけのように付け足されていることを除いて、要は「フォーストールが担当していたビジネス(iOS、Siri、マップ) は誰と誰が担当します」「ともなって残り幹部の分担が変わったり増えたりします」が内容です。

しかしながら、発表の見出しは「ソフト・ハード・サービス間の協調を促進します」。また続投する各幹部については副見出しにも最初の段落にも全員の名前があり、さらにそれぞれ1段落を費やして紹介しているにもかかわらず、フォーストールについては最初の段落の「アップルを去ります」があるのみで、当人やクックのコメントどころか経歴すら述べられていません。