苦しみ訴えるレーシック難民「執刀医の医師免許取り消しなど罰則を」。

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眼鏡やコンタクトレンズの煩わしさから解放されるとして、人気を博している視力回復のレーシック手術。視力に悩まされている人にとって光明となっているが、合併症のリスクが指摘されている。レーシックの合併症に苦しむ人々によるNPO法人「レーシック難民オフ会」(幹事=木田智史氏)が7月20日、東京都で記者会見を行い、厚生労働省と日本眼科学会に対し、学会のガイドライン(指針)に沿った治療を行わない執刀医や、手術前に合併症リスクを説明しない執刀医に医師免許取り消しなどの罰則を設けるよう求めた。同会では今後、“義援金”として寄付を募り、治療費などに充てるとしている。

◎合併症に苦しみ退職、精神科通院…

レーシック手術の合併症として広く認知されたのは、銀座眼科(東京都)で手術を受けた患者が角膜炎などに感染したこと。同院の元院長は業務上過失傷害で服役しており、患者60人が損害賠償を求めた裁判は、7月20日に和解が成立した。こちらは、ずさんな衛生管理によって発生した合併症だが、同日に会見を開いたレーシック難民オフ会が訴えているものとは違う。

レーシック手術の合併症は上記の感染症以外に、ドライアイ、過剰矯正、矯正不足、視力低下、乱視、飛蚊(ひぶん)症、夜間に光がにじんで見える「ハロ」、光をまぶしく感じる「グレア」、砂嵐のように物がかすんで見える「サハラ砂漠症候群」などが挙げられる。同会の会員が悩まされているのは、こうした症状という。

会見に出席した同会会員の男性と女性も、ハロやグレア、ドライアイ、激しい痛み、物が二重に見える複視、斜視などを訴えている。ともに仕事を辞めざるを得ない状態になり、精神科にも通院しているという。

合併症はある程度の割合で起きてしまうものだが、同会が会見を開いてまで訴えているのは、これらの合併症が起きる可能性があることを手術前に説明されなかったこと、日本眼科学会のガイドラインで定められている矯正量を超えて手術を行っていること、手術後の経過観察が十分に行われていないこと―などだ。

◎訴訟のほとんどが敗訴

日本眼科学会のガイドラインでは、レーシックなどのエキシマレーザー屈折矯正手術について、術者は「日本眼科学会認定の眼科専門医であると同時に、角膜・水晶体を含む前眼部の生理や疾病ならびに眼光学に精通していること」を必須条件に挙げており、矯正できる視力は原則−6D、十分な説明と同意があれば−10Dまでよいとされている。

しかし、会見に出席した女性は−10.75Dにもかかわらず手術が受けられた。これは、この女性が受診した医療機関が−10Dを超えてもレーシック手術が受けられるとしていたためだ。木田氏によると、−10Dを超えた症例に対しても手術を行っている施設は少なくないという。

それだけでなく、多くの被害者は十分な説明もないままガイドラインに違反した同意書にサインをさせられ、ガイドライン上で6か月とされている経過観察も、半分以下のケースが多いようだ。その上で合併症が発生しているため、被害者の憤りは激しい。しかし、レーシック手術の訴訟は因果関係を証明するのが難しい上に、同意書が効力を発揮し、ほとんどの原告が敗訴しているという。

◎厚労省と学会に要望書

こうした被害者が集った同会は、今年6月にNPO法人に認定され、会員は現在、定例会に出席している人だけでも40〜50人に上る。今後は8月に公式サイトを開設するほか、“義援金”として寄付を募り、被害者の再手術や移植手術などの治療費などに充てるとしている。また、厚生労働省と日本眼科学会に対して以下のような要望書を提出する予定だという。