【サムライ通信】小笠原復帰の効果
チームメイトとの話し合いは小笠原が提案するという形ではない。
「『どう?』って聞くことが多い。提案じゃなくて、『どういう感じならやりやすい?』って。ごり押しする感じじゃなくて、ね。今、このタイミングで代表に呼ばれたことに30歳という年齢が関係しているかどうかはわからない。ただ、子どもじゃいけない年。僕としては、みんなのいいところを引き出してあげるほうがいいと思いますね。『俺はこうだから、こうしろ』っていうのとは違うと思うから」
しかし、現代表は強烈な個性を嫌う傾向があるように思う。それは監督の思考なのかもしれないし、“草食系”と呼ばれる現代の若者の気質なのかもしれない。だからこそ、小笠原もまた先頭に立ち、引っ張るというよりは、歩み寄り、溶け込んで、支える立場を選んだのだろうか?
以前、「試合中にミスを指摘して、怒鳴ったりはしたくない。だって、そんなときは誰だって自分を責めているんだから」と話していたことがある小笠原。それを考えると、現在の彼の姿もまた、自然に思える。
「ワールドカップはもうすぐそこ。でもそこへ向けての道を歩んでいるという感じでもない。だって、次の試合に出られる保証はないからね。シーズン前でコンディションが上がっていないとかそういうことを言える立場じゃない。1日1日、1試合1試合、100%でやっていかなくちゃいけない」
2月6日の東アジア選手権初戦、対中国戦ではボランチでの先発が濃厚な小笠原。経験、技術、センスなど彼の能力は日本代表でもトップクラスであることは間違いない。今後、岡田ジャパンにおける小笠原効果からは目が離せない。特に欧州組との融合が楽しみである。しかし、欧州プレーする選手全員が代表に合流するのは5月下旬と言われている。その前には代表メンバーを発表するらしいのだが……本大会直前に副作用が出なければいいと、少し不安に思う。
文=寺野典子
