「ハニートラップ、盗聴のリスクが…」 高市首相の“義理の孫”の中国留学はなぜ危険なのか 「中国政府からすれば魅力的な存在」
【全2回(前編/後編)の後編】
目下、国会答弁で防戦一方を強いられている高市早苗首相(65)には、自ら公言できない家族の秘密があるという。背景には、彼女の「夫一族」が何代にもわたって紡いできた中国との深い絆があった。わが国のかじ取りを担うトップの危機管理に懸念は尽きないのだ。
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前編では、高市首相の義理の息子にあたる、福井県の山本建県議(42)の子どもが中国へ留学するリスクについて報じた。
高市首相の夫・山本拓氏(73)の実父である山本治氏は、福井県議会議長、自民党福井県連幹事長などの要職を歴任後、メガネの街として知られる鯖江の市長を2期務めた。

鯖江市日中友好協会の幹部は、こう振り返る。
「当会の初代会長は治さんでした。大正生まれの彼は、戦前に大阪外国語学校の蒙古学部を卒業して、中国の内蒙古に渡ったこともあると聞きました。市長時代も含めて毎年のように交流事業で中国へ足を運んでいた。拓さんも、30代の頃は治さんに連れられ中国へ親子で行っていた」
父の果たせなかった国政進出を成し遂げた拓氏は、日中友好議連のメンバーとなり、自民時代は清和研を経て中国とパイプのある二階派に属していた。
日中の架け橋
山本一族と親交が深い地元企業幹部は、こう話す。
「高市さんと拓さんが結婚して、地元では“アメリカ好きと中国好きが夫婦になった”なんて言う人もおったけどね。やっぱり拓さんは、中国好きという点では父にかないませんよ。治さんは鯖江市長を退任後、上海科学技術大学の顧問教授を務めたんです。大学には立派な部屋が用意されていてね。日本の政治関係の書籍などを大量に持ち込み“山本文庫”と称して現地の学生が自由に読めるようにしていた。その部屋では食事もできて、スッポンなど高級な中華料理が供されました。私が彼に中国で事業を展開したいと相談したら、現地の役人を紹介してくれてね。大学にやってきた彼らは、昼間から乾杯して酒を勧めてくるからすぐフラフラになったわ」
日中の架け橋として、治氏はこんな貢献をしていた。
「鯖江市長時代、治さんは中国に“ジャイアントパンダが欲しい”と言い出した。けれど、その当時は鯖江にパンダを飼育できる施設がなかったから、中国は代わりにレッサーパンダを寄越してきてね。そこで鯖江市は街のど真ん中にある『西山公園』に、面積が日本一小さい動物園を作って飼育を始めた。結果的に繁殖が成功して、鯖江生まれのレッサーパンダが、全国各地の動物園へと渡り人気を集めているんですよ」(同)
鯖江は“レッサーパンダの聖地”と呼ばれ一大観光地となっているが、かように中国ベッタリだった「山本市政」への批判もある。
「パンダの代わりにメガネを中国へ売り渡した」
地元商工会関係者の話。
「治さんは、たくさんの中国人を“研修”と称して鯖江に受け入れることで、メガネの製造技術を安易に教えてしまった。影響が顕著に表れたのが2000年前後で、鯖江のメガネ業者は安価な中国メーカーに侵食され始めた。その頃に“山本元市長はパンダの代わりにメガネを中国へ売り渡した”と批判された。あれから20年以上たって業者の数は半減。なんとか生き残った企業でも、中国から“提携”と丸め込まれて、社長など役員が中国人になったところもあります」
翻って、今回の山本家における留学騒動を見ても、中国に無警戒だった祖父の影響が垣間見えてしまう。
さる福井の県政関係者は、
「建さんの息子は“中国志向”が強く、中国で学びたいと自ら言ったそうです。建さんは“息子の意思を尊重する”として、実父・拓さん、義理の母となる高市さんに相談せず事後報告だった。血がつながっていないとはいえ、現役首相の親族としての配慮がない人なんです」
「盗聴、ネット情報の搾取のリスクが」
実際、鯖江市内に住む建氏を直撃したところ、
「私は子どもが自ら決めた進路を応援しているだけです。私も独立しているので、父(拓氏)などに相談はしていません。子どもが高校を出て、どこに進学、留学しようが、また就職しようが、どうぞご自由にという話ですよね。詳細に答えるつもりはありません。なぜプライバシーを詮索されないといけないのでしょうか」
むろん進学選択は自由であり、好奇心旺盛で向学心の高い若者の決断は尊重すべきだろう。
だが、大人のわれわれが本当におもんぱかるべきは、かの国で暮らすリスクではないか。
「あくまで一般論として申しますが、監視国家である中国では、義理であろうと高市さんの親族となれば存在自体を100%把握され、盗聴やネット情報の搾取をされるリスクが生じます」
とは、キヤノングローバル戦略研究所中国研究センター長の峯村健司氏だ。
「女性や金銭関係のアプローチを仕掛けられる可能性も当然あります。情報機関の人間が偶然を装って、また研究目的だと偽って接触してくるなど、さまざまな接触があると考えた方がいいと思います。また日本人が中国へ渡航する際に忘れてはならないのは、日中関係が悪化しているということ。それに伴って拘束リスクは上がっており、反スパイ法施行以降17人の日本人が自由を奪われ、中には服役中の人もいます」
「ハニートラップ絡みの事態だけは避けてほしい」
『ピークアウトする中国』の共著者で、ジャーナリストの高口康太氏は、こんな意見だ。
「中国政府からすれば、現役総理の親族というだけで、とても魅力的で価値のある存在だと思います。まずは当局から手厚く歓待され、中国の政財界における有力者や将来の指導者層と知り合う機会もあると思います。中国側は時間をかけて信頼関係を築き、いざという時に情報を教えてほしいと頼んでくる可能性も高い。本当に重要人物だと認定されれば当局は行動を徹底的にマークします。むしろ、高市さんのお孫さんは、自分から動かなくても有力者が関係を持とうとしてくれる。その人脈を生かして、将来的に日中の橋渡し役となれば素晴らしいことですが、いざという時にハニートラップ絡みの写真を持ち出される事態だけは避けてほしいと思います」
その上で、こう指摘する。
「今回の件で不安なのは、高市さんのお孫さんが、安全保障や情報管理について十分な知識を身に付けて、必要な警戒心を学んだ上で留学したのかどうかです。日本は経済安保やセキュリティー・クリアランスなどの法整備を進めてはいますが、機密情報にアクセスする人間に厳しくしても、その家族や親族は野放し状態。海外製アプリの利用制限など、デジタルセキュリティーについて徹底できているか。基本的な安全保障体制が構築されているのか疑問です」
身内の危機管理もおぼつかないなら灯台下暗し……。日本のかじ取りを担うべき高市首相は、どこへ向かおうとしているのか。
前編では、高市首相の義理の息子にあたる、福井県の山本建県議の子どもが中国へ留学するリスクについて報じている。
「週刊新潮」2026年6月18日号 掲載
