@AUTOCAR

写真拡大 (全17枚)

風変わりなクルマは面白い

「最近のクルマはどれも似たり寄ったりだ」という声が時折聞こえてくる。何十年も前から言われていることだが、決して真実ではない。流行は移り変わるものだが、歴史ある大手メーカーでさえ、奇抜なモデルを世に送り出すことがある。

【画像】「怪物」と呼ばれた野性味あふれるイタリア車【アルファ・ロメオSZ/RZを詳しく見る】 全35枚

そうした個性的なクルマは、商業的に成功するかどうかは別にしても、わたし達を楽しませてくれる。本特集では、自動車業界でも特に異彩を放つクルマを紹介したい。数百台も挙げることができるが、今回はスペースの都合上、48台に絞ってアルファベット順に並べている。


デザインや設計思想など、さまざまな理由から「異質」な存在とみなされているクルマを48台紹介する。

アルファ・ロメオSZ

アルファ・ロメオには、美しいクルマを作り続けてきた長い歴史がある。しかし、その例外の1つが、1989年から1991年にかけて生産されたスポーツカー、SZだ。角張ったセダンの75をベースにしており、独特な野性味あふれる外観から、イタリア語で「怪物」を意味する「イル・モストロ」という愛称で呼ばれた。

SZが生産中止となった翌年には、同様に強烈な個性を持つコンバーチブル版のRZが現れ、やはり目を引いた。


アルファ・ロメオSZ

AMCペーサー

AMCだからこそ作ることができたクルマと言えるだろう。1970年代の米国で、かのビッグスリー(ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラー)がこのようなクルマを発売することは、ほぼありえなかった。AMCペーサーは当時としては異例なほど全長が短く(ただし全幅は広い)、ガラス面積が非常に広いため、視認性が極めて良好だった。

残念ながら、車体は非常に重く燃費も悪く、その外観は控えめに言っても万人受けするものではなかった。人気に恵まれなかったため、生産は1975〜1980年モデルまでにとどまった。


AMCペーサー

アストン マーティン・シグネット

これほどユニークなアストン マーティンは、過去にも未来にも存在しない。シグネットは、単にトヨタ/サイオンのiQに豪華なグリルと装備のアップグレードを施したものに過ぎなかった。ベースのiQよりはるかに高価で、アストン マーティンの顧客層向けの小型車として位置づけられていた。

販売目標には遠く及ばず、わずか2年で生産中止となった。現在では少数の熱心なファンが存在し、生産台数が少なかったため、中古車価格は新車時よりも高騰している。


アストン マーティン・シグネット

アウディA2

アルミボディのA2は、軽量であるため燃費が良く維持費は安いが、車両価格は非常に高かった。2001年にある程度のオプションをつけた場合、2万ポンド以上、現在の価値で約3万ポンド(約640蔓延)にも達した。

メンテナンスも困難で、オイルの確認やウォッシャー液の補充は可能だが、オーナー自身でできるのはそれくらいだ。スパークプラグの交換はディーラーに頼むしかない。その他の問題点としては、騒音の大きさと、複雑な2分割式リアウィンドウによる後方視界の悪さが挙げられる。販売は振るわず、生産期間は2000年から2005年までにとどまった。それにもかかわらず、A2はモダンクラシックカーとして評価が高まってきている。


アウディA2

2026年現在、アウディは新型EVにA2の名称を復活させようとしている。パワートレインは異なるが、シルエットはオリジナルを継承するようだ。

オースチン・ヒーレー・スプライト

初代スプライトは、英国では「フロッグアイ」、米国では「バグアイ」として知られる。ボンネットの上から突き出たヘッドライトに由来して、その愛称が付けられた。

スプライトがこの姿で生産されたのはわずか3年間。1961年から1971年にかけて生産されたモデルでは(ほぼ同一のMGミジェットは1979年まで)、まったく異なる、はるかにエレガントなデザインが採用されている。それでも、多くの愛好家の心に最も深く刻まれているのは、この風変わりなフロッグアイである。


オースチン・ヒーレー・スプライト

ベントレー・ベンテイガ

ベンテイガは、ベントレー初のSUVとして登場した画期的なモデルだ。この事実だけで、2015年の発売当時は異端児扱いされたが、その後、アストン マーティンDBX、ランボルギーニ・ウルス、マセラティ・レヴァンテ、ロールス・ロイス・カリナンといったモデルが続々と登場している。

そうした競合車の中でも、ベンテイガはその独特な外観ゆえに異彩を放っている。しかし、2012年のジュネーブ・モーターショーで公開された際、衝撃をもって迎えられたコンセプトカー『EXP 9 F』に比べれば、その奇抜さは控えめなものである。


ベントレー・ベンテイガ

BMW i3

i3は、BMWがこれまでに販売したクルマの中でも特に風変わりな外観を持つ1台だ。2013年に発売されたが、その存在感は今日でも非常に際立っている。しかし、i3が「変わり者」と見なされる理由は、決して見た目だけではない。構造も複雑で、アルミニウムとカーボンファイバーが広範囲に使用されている。

i3には、純粋なバッテリーEVと、小型ガソリンエンジンを搭載したレンジエクステンダーEVが用意されていた。最近では、両方のパワートレインを揃えているクルマもそれほど珍しくなくなってきたが、当時はまだ稀だった。


BMW i3

BMW Z1

1989年から1991年にかけて生産されたZ1は、BMWらしいデザイン要素を備えていたものの、人々の目を引く異色な存在だった。最も有名な特徴は下方に格納されるドアだが、先進的な空力設計や、後に広く採用されることになるマルチリンク式リアサスペンションなど、興味深い要素は多い。

さらに、プラスチック製のボディパネルは取り外し可能だ。理論上は、別の色のパネルセットを取り付けることで、近所の人たちに「新しいZ1を買った」と信じ込ませることもできるのだ。


BMW Z1

ブガッティ・ロワイヤル

ブガッティはニッチなマーケティングを極限まで追求し、欧州の王族以外には到底手が出ない超高級車を開発していた。残念ながら、ロワイヤルの生産の大部分は世界大恐慌の最中に行われ、その時期には欧州の王族でさえ財政を厳しく管理せざるを得なかった。

目玉が飛び出るような価格設定もあり、ロワイヤルは当時から奇妙かつ異例なクルマで、今日でもその希少性ゆえに異彩を放ち続けている。しかし、搭載されている12.7Lのエンジン(量産車に搭載された中で最大級の1つ)は意外にも身近で、1950年代までフランスの列車(気動車)の動力源として使われていた。


ブガッティ・ロワイヤル

シボレーSSR

21世紀初頭にレトロスタイルが流行し、フィアット500、ミニ(MINI)、フォルクスワーゲン・ビートルといったクルマが生み出された。その中でも特に異色だったのが、シボレーSSRだ。格納式ハードトップと5.3L(後に6.0L)V8エンジンを搭載したピックアップトラックである。

その独特なスタイリングは、現代性と、1940年代後半から1950年代半ばにかけてのシボレー・アドバンス・デザインやGMCニュー・デザインのトラックへのオマージュを融合させたものだ。シボレーは2003年から2006年までSSRを生産した。そのため、レトロなクロスオーバーであるHHR(2005〜2011年)と販売期間が重なっている。


シボレーSSR

クライスラー・クロスファイア

ダイムラーとクライスラーの9年間にわたる提携から生まれたのが、ユニークなクライスラー・クロスファイアだ。これはクーペとコンバーチブルの両方が用意された2人乗りスポーツカーである。

クロスファイアの開発費はさほどかからなかったはずだ。なぜなら、生産終了間近だった初代メルセデス・ベンツSLKのプラットフォームをベースにし、自然吸気またはスーパーチャージャー付きのメルセデス・ベンツ製3.2L V6エンジンを採用していたからである。


クライスラー・クロスファイア

2003年に登場したが、2007年のクライスラーの大再編を生き延びることはできなかった。この再編において、ダイムラーはクライスラーブランドの大部分をプライベート・エクイティ・ファンドのサーベラスに売却したのだ。

クライスラーPTクルーザー

PTクルーザーがデビューした当時、レトロスタイルのクルマは決して目新しいものではなかった。新しかったのは、過去の特定のクライスラー車ではなく、1930年代の米国車全般を彷彿とさせる点である。

ホットロッドのような雰囲気も漂わせているが、セダンのクライスラー・ネオンをベースとしているため(ダッジやプリムスからも販売)、後輪駆動のV8エンジンではなく、前輪駆動の4気筒エンジンを搭載せざるを得なかった。ただし、ポール・マーストンのドラッグスター『PTブルーザー(PT Bruiser)』という素晴らしい例外もある。


クライスラーPTクルーザー

シトロエンC3プルリエル

C3プルリエルを心から愛する人々もいるが、彼らでさえ、とりわけ奇妙なクルマであることは認めざるを得ないだろう。初代シトロエンC3をベースにしており、オーナーの気分に応じてさまざまなボディスタイルに変更できる点が特徴だ。特に、ルーフレールを取り外すと、ハッチバックからコンバーチブルへと変身させることができる。

問題は、取り外したルーフレールを置く場所がないことだ。そのため、レールは家に置いておき、ドライブ中に雨が降らないことを祈るしかない。温暖な南欧諸国では、これも許容範囲だろうが、それより北の地域ではそうはいかない。


シトロエンC3プルリエル

シトロエンC6

フランス人は、優れた大型車を作るのが苦手だとよく言われる。ただし、時折例外もある。シトロエンC6は実に素晴らしいクルマだった。非常に快適で、室内は驚くほど広々としており、乗り心地も抜群だ。ただし、重いディーゼルエンジンではなく、ガソリンエンジン搭載モデルを選んだ場合に限るが。

しかし、そうした魅力にもかかわらず、C6には重要なものが1つ欠けていた。それはこの種のクルマを購入する大多数の買い手がそれを強く求めていたドイツブランドのエンブレムである。


シトロエンC6

シトロエンDS

DSは未来的なボディ形状、セルフレベリングサスペンション、高位置のリアターンシグナル、現代のF1マシンに匹敵するほどの油圧式コンポーネント、そして後に登場した方向性ヘッドライトなど、数々の特徴を備えている。その生産は20年間にも及び、引退したのは1975年だ。

DSを「変わり者」と表現するのは、適切であると同時に不公平でもある。より正確に表現するなら、いくつかの点において先進的すぎた、ということになるだろう。他のメーカーは、DSが姿を消してから何年も経たってようやく追いついた。まさに画期的なクルマだったと言える。


シトロエンDS

(翻訳者注釈:この記事は「中編」へ続きます。)