【春のミステリー】富士山に「かぐや姫」が降臨? 雪解けの時期にだけ現れる自然のサイン【眠れなくなるほど面白い 図解 富士山の話】

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雪解けのころ、富士山には「かぐや姫」が現れる

季節の変わり目を知らせる「雪形」

 春になり、富士山の雪が解けはじめると、山肌に不思議な形が浮かび上がります。雪が残っている部分と、解けて黒く見える地面が組み合わさり、人や動物、文字のように見えることがあるのです。こうした現象は「雪形(ゆきがた)」と呼ばれています。

 富士山では、雪解けの進み方に一定の傾向があるため、雪形は毎年ほぼ同じ場所に現れます。そのため、人々は雪形を観察しながら、春の訪れや農作業を始める時期を判断してきました。

 なかでも有名なのが、静岡県側の富士山に現れる「かぐや姫の雪形」です。冬の終わりごろに、立っている女性の姿のような形が山肌に浮かび上がり、雪解けが本格的な段階に入ったことを知らせます。こうした雪形が「かぐや姫」の姿に見立てられ、富士山の雪解けの風景とかぐや姫の物語が、後世に重ね合わせて語られてきました。

 このほかにも、場所によって農男や農鳥、鹿など、さまざまな雪形が知られています。形の見え方は、見る位置やその年の雪の量によって少しずつ異なりますが、自然の変化を読み取ろうとする人々のまなざしは、今も昔も変わりません。雪形は単なる見立てではなく、雪解けと季節の移り変わりを静かに伝える、富士山ならではの自然のサインなのです。

雪形が教えてくれること

雪形は、季節の変化を知らせる自然の目印として、昔から人々の暮らしに役立てられてきました。

富士山で見られるおもしろい雪形

富士山の雪形は、かぐや姫のほかにも、人や動物、文字などに見立てられてきました。

かぐや姫

残された雪の形が変わって、女の人が立っているように見える。富士山の静岡県側にあらわれる。

鹿の子

山全体で雪解けが進んでまだらになったものが、鹿の子どもの白い斑点模様に見える。

農男

葛飾北斎も、大男が立っている様子の雪形(農男)を富士山の山肌に描いている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 富士山の話』監修:富士学会

【監修者情報】
富士学会
富士山と、その関連地域を対象として、自然科学から芸術、歴史、宗教の人文科学までを広く網羅し、富士山にちなんだ教育や、噴火を想定した防災など、総合的な領域の研究を進めている。富士山の本質と全体像の探求、関連地域の環境保全、防災、活性化などを目的として、学術大会・討論会・講習会などの開催、会誌・図書などの出版、関連教育・文化活動への協力と支援などをおこなっている。事務局は東京の日本大学文理学部地理学教室に置かれている。