【Mr.tsubaking】《330円のとんこつラーメンが旨すぎる》…観光客がたどり着かない福岡「地元民に愛されるラーメン店の実力」
一風堂や一蘭などの躍進により、とんこつラーメンは日本はもとより、海外にまでその人気を博している。
福岡出身の筆者としても、地元の名物が広まっていくことに誇らしさを感じるが、「なんだか、とんこつラーメンが偉くなってしまったな」と思うこともある。長年、福岡市民に親しまれてきたのは「日常食」としてのとんこつラーメンで、学生でも気軽に食べられる安価なものだからだ。
ただ、福岡にはそんな「ソウルフード」としてのとんこつラーメンを、気軽に食べられる店がまだある。
観光客が、ほとんどたどり着くことのない、1杯330円という安さの、地元民に愛される店の実力とは?
福岡で愛される「330円ラーメン」
福岡県内に、4店舗を展開するラーメンチェーン「18(いっぱち)ラーメン」。今回訪れたのは、福岡市隣接の春日市に店を構える大土居店だ。
昼のピークを抜けた時間帯と見込んで、13時過ぎに訪れたが、十数台用意された駐車場は満車。
とはいえ、サクッと食べてサッと帰るのが基本のとんこつラーメン店なので、わずかな待ち時間で入店することができた。
食券制で、「ラーメン」のボタンを見ると、そこには確かに330円と書かれている。替玉(100円)をして、お腹いっぱいになっても500円を切るという驚きの価格設定だ。白を基調として清潔感のある店内は、スタッフの方も活気がある。
購入した食券を渡すと、「駐車場、お待たせして申し訳ありませんでした!どうぞ」と席に案内された。
忙しい中でも外の様子まで目配り・気配りをしており、価格は安いのにホスピタリティまで高いのには驚かされる。
330円とは思えない旨さ
麺が細くゆで時間が短いので、とんこつラーメンの提供は早い。着席から数分で「ラーメン(330円)」がやってきた。
立ち上る湯気とともに、とんこつ特有のまろやかな香りが鼻をくすぐる。
保存料や防腐剤を一切使わず、厳選した小麦粉とかんすいだけで作られているという自家製の麺。細麺ながら、パリッとした口当たりがあり、噛むと歯切れも良く小麦粉特有のほんのりとした甘みも感じられる。混ぜ物をせず、徹底的にシンプルな配合だからこそ、小麦の味わいが前面に出ているのだろう。
昨今は、パンチの効いた濃いとんこつが人気を集めているが、「18ラーメン」のスープは優しい味わい。マイルドでまろやかさがあり、脂分も強すぎないバランスで成り立っている。
これが、毎日でも食べたくなるような「日常食」としてのラーメンだ。
背骨とげんこつをミックスして炊き上げられ、いわゆる「獣臭さ」もしっかりと抑えられており、雑味も少なく洗練されている。
ラーメンマニアの心を掴むというよりも、多くの福岡市民が気軽に楽しみやすい間口の広いスープに仕上がっているのだ。
とはいえ、茫洋とした味わいではなく、ミネラル豊富な天然海水塩を100%使用しているというタレのおかげで、キリッとした味の輪郭も感じられる。
具材はシンプルで、ネギとチャーシューのみ。
しかし、安いからといって削られているという印象ではなく、ネギもたっぷり入っており、チャーシューもかなり大判だ。
仕入れ価格高騰のため輸入品を使うこともあるというが、チャーシューは九州産の豚バラ肉が主に使用されている。自家製のタレで味付けしたもので、味付けが濃すぎると、スープが醤油っぽくなることもあるが、甘みはありながらも優しいスープの味とマッチする味に落ち着いている。また、その分だけ豚自体の旨味や脂の甘さが噛むごとにジュワッと染み出し、幸福感が高い。
替玉、辛味だれ、高菜…330円ラーメンを“育てる”楽しさ
博多ラーメンを定義するシステムの一つでもある「替玉」を注文したら、まず香りを楽しんでほしい。
スープに投入される前の麺は、小麦の香りをしっかり立ち上らせており、さらに食欲をそそる。
替玉後は味変する人も多いだろう。
無料トッピングには、紅ショウガやゴマ・コショウなど基本的なものは揃っている。
特製の辛味だれも無料で並んでおり、こちらは唐辛子の辛味だけでなく甘みも加わるのでオススメだ。
また、筆者は追加で注文していた「辛し高菜(小)」(100円)も投入。「辛し高菜ラーメン」(530円)もメニューにはあるが、別皿で提供され好みのタイミングで入れることができるので、いつもトッピングとして注文している。
かなり刺激の強い辛さのため、劇的にスープの表情が変わり味変にはうってつけだ。
さらに、調味料として液状のにんにくが置かれているのは個性的だ。
数滴入れるだけで、香りと旨味が一気に深まる。液状であるおかげでスープにうまく溶け込むから重宝している。
これだけ満足感の高いラーメンを、330円というおどろきの安さで提供し、とんこつラーメンの気軽さを体現している「18ラーメン」。
麺もスープも自家製と書かれているが、厨房には製麺機もなければ、スープを炊くための巨大な寸胴鍋も見当たらない。実はそれが、同店のラーメンが安く提供できる秘密だった。
後編記事『「280円の牛丼に対抗した」…1杯330円のラーメン店が明かす《激安価格の舞台裏》』では、運営会社の代表のインタビューを交え、その秘密に迫る。
