同じエンジンオイルなのになぜダメ? バイク用オイルを4輪車に入れると最悪高額修理が必要になるワケ

この記事をまとめると
■二輪用と四輪用オイルでは求められる性能が違う
■クルマにバイク用オイルの流用は触媒劣化を招く恐れがある
■指定粘度と規格を守ることが愛車を守る基本だ
「4サイクルなら同じ」ではない
内燃機関とも呼ばれるエンジン。その鼓動を愛するユーザーであれば、エンジンオイル交換というメンテナンスが重要なことは重々承知であろう。
そして、大きな自動車用品店にいくと、エンジンオイルのコーナーに二輪用オイルが並んでいることもある。いまや2サイクルのバイクはかなりの少数派で、バイクでも四輪同様に4サイクルエンジンが主流。しかも、バイクは高回転ユニットであることが多い。すなわち、バイク用エンジンオイルのほうが高性能なのでは? と捉える向きがあっても不思議ではない。

逆に、バイク用エンジンオイルが安価に売っているのを見ると、「これをクルマに入れればメンテナンスコストが抑えられる。どっちも4サイクルエンジンなんだからオイルも同じようなものでしょ」と思ってしまうかもしれない。
しかし、四輪と二輪の構造・メカニズムの違いを知れば、それぞれのエンジンオイルに求められる特性が異なることは明らかだ。結論からいえば、バイク用エンジンオイルを四輪に使うことはおすすめできない。
なぜか。
それは多くのバイクにおいてエンジンとトランスミッションが一体になっており、エンジンオイルはトランスミッションオイルを兼ねているからだ。

すなわち、フリクションを減らしつつ保護性能が求められるエンジンオイルと、摩擦や耐せん断力が重要なトランスミッションオイルという、相反する特性を両立しているのが、バイク用エンジンオイルの特徴なのである。
いまどきの四輪ではフリクションの低減を重視している。そのため、0W-12といった超低粘度のエンジンオイルが指定されていることも珍しくない。そこに、あえてトランスミッションオイルを兼ねることで“高粘度”となっているバイク用オイルを入れるメリットはない。
高額修理につながる可能性も
ちなみに、バイク用のオイル規格はMA1/MA2とMBとわかれている。MAとついているのは、ここまで述べてきたトランスミッションオイルを兼ねたタイプで、シンプルにいうとMA2のほうが大きなトルクを発する大排気量モデルに向いているタイプ。MBはスクーターなどを対象としたタイプで, トランスミッション保護性能に縛られない設計のオイルといえる。

こういうと、MB規格のバイク用オイルであれば、四輪のエンジンに入れても問題ないように思えるかもしれない。MBオイルは安価に手に入ることもあるからだ。
しかし、ここで深掘りすべきはバイク用オイルが使っている添加剤のなかには、触媒(キャタライザー)への攻撃性が強いリン成分が四輪用エンジンオイルより多量に含まれている傾向があるという点だ。
エンジンオイルというのは正常時でも少量ずつ燃焼、排気に含まれて排出される。その際に、当然ながらキャタライザーを通過するわけだが、リン成分が燃焼すると三元触媒の表面に付着・堆積することがある。これによる浄化性能の低下は「被毒劣化」と呼ばれ、基本的には回復不能な永久被毒となってしまうのだ。

つまり、クルマのエンジンにバイク用オイルを入れることは環境性能を劣化させる可能性が高く、最悪のケースでは触媒交換という高価な修理代が必要になることもある。そうしたリスクを冒してまで、あえてバイク用オイルを使うメリットはない。
古くからのバイクファンのなかでは「バイクに四輪用エンジンオイルを入れても壊れないよ」と発言する人もいる。ある時代においてはそれが事実だったことは否定しないが、いまどきの四輪エンジンにバイク用オイルを入れることは百害あって一利なしと捉えるべきだ。メーカー指定の粘度や規格のエンジンオイルを使っているほうが、何十倍も安心だ。

