若年層の大腸がん罹患率は本当に上昇しているのか?

大腸がんは一般的に40〜50代以上の中高年に多くみられますが、近年では「若い世代の大腸がんが増えている」という指摘が相次いでいます。若年層の大腸がんが増えているという言説は本当なのかどうかについて、さまざまな社会的トピックについて解説するブログ・DYNOMIGHT INTERNET WEBSITEがデータを元に解説しました。
Is "colorectal cancer" rising in "young people"?
DYNOMIGHT INTERNET WEBSITEは、ここ数年ほど若年層の大腸がんが増えているという記事を多数目にしてきたと指摘。これらの記事に記されていた理由には、以下のようなものがあったとのこと。
・全体的な健康状態の悪化
現代人は肥満や運動不足、睡眠不足、糖尿病といった健康問題を抱えており、これがインスリン抵抗性や慢性炎症を引き起こしている。その結果として上皮細胞の増殖が加速し、免疫系の機能不全によって早期がんの発生が増えているのではないか。
・超加工食品
人々が大腸の粘液を分解する添加物を含む超加工食品をより多く摂取するようになり、細菌が大腸の上皮細胞に接触して炎症を起こしやすくなっているのではないか。あるいは、超加工食品は食物繊維や血糖負荷が低く、インスリン抵抗性や慢性炎症を引き起こしやすいため、結果として大腸がんの増加につながっているのではないか。
・質の悪い肉
人々は亜硝酸塩を含むハムやベーコンなどをより多く食べるようになっており、これが大腸の上皮細胞に炎症を起こしているのではないか。
・腸内細菌叢(そう)
人々の腸内に大腸がんの原因とみられる有毒物質のコリバクチンを産生する大腸菌が定着しているのではないか。あるいは幼少期の抗生物質の使用によって腸内の保護細菌が減少し、炎症を引き起こしたり腫瘍の増殖を促進したりする有害な細菌が増えているのではないか。
・環境中の有害物質への暴露
人々はマイクロプラスチックや農薬などの汚染物質にさらされており、これが腸管バリアの破壊や腸内細菌叢の乱れといった問題を引き起こしているのではないか。
・母親の健康状態
母親の肥満や糖尿病といった健康問題が胎児の健康状態に悪影響を与え、それが生涯にわたる代謝異常や炎症を引き起こしているのではないか。
・その他の要因
飲酒や喫煙、鎮痛剤の過剰摂取、栄養不足といったその他の要因が大腸がんの増加を引き起こしているのではないか。

若年層の大腸がんが増えているという記事では、上記の内容が理由として挙げられている場合がありますが、専門家の間でも意見は一致していないとのこと。また、DYNOMIGHT INTERNET WEBSITEが詳しく調べたところ、大腸がんによる死亡者が若年層で増加していることは確かな一方で、個々の理由付けについては根拠が薄いこともわかりました。
DYNOMIGHT INTERNET WEBSITEは、「いくつかの原因として挙げられている大気汚染やタバコなどは、実際には先進国で減少しています。 大腸菌が コリバクチンを産生するといった他の説明は生物学的にはあり得るように思えますが、それらが時間とともに増加しているという証拠はありません。さらに、他の原因として挙げられているマイクロプラスチックや永遠の化学物質(PFAS)は、記事作成時点ではほとんどがメカニズムに関する推測に過ぎません。肥満・運動不足・慢性炎症もすべて生物学的にはあり得るものであり、増加している可能性は高いですが、なぜそれらが若年層に大腸がんを引き起こすのでしょうか」と指摘しています。
そこでDYNOMIGHT INTERNET WEBSITEは、さまざまな研究で報告されたデータを元に分析を進めています。以下のグラフは、アメリカにおける大腸がんの統計をまとめた2026年の研究で示されたもので、大腸がんが発見された年齢を1995年と2022年で比較しています。

また、以下は大腸がんの種類を近位結腸がん(緑色)・遠位結腸がん(青色)・S字結腸がん(紫色)・直腸がん(赤色)・大腸がん(灰色)に細分化して、左上から全年齢、20〜49歳、50〜64歳、65歳以上での発症率を年代別にグラフ化したもの。

これらのグラフを見ると、「若年層の大腸がん発症率は年々増加傾向にあるものの、年齢が高くなった時の発症率は下がっている」と思うかもしれません。しかし、DYNOMIGHT INTERNET WEBSITEはこれが間違った考えであると指摘しています。
以下のグラフは、英語圏のさまざまな年齢層における大腸がんの発症割合をまとめた2025年の研究のデータを用いて、DYNOMIGHT INTERNET WEBSITEが被験者の生まれた年代ごとの大腸がん発症率をグラフ化したもの。1940年以前に生まれた人々は70歳を超えた追跡データがありますが、年代が若くなるにつれてグラフの長さが短くなっています。グラフを見てみると、1920〜1950年に生まれた人々では大腸がん発症率が次第に下がっているものの、この傾向は1950〜1960年の間に逆転し、それより若い世代では一貫して「前の世代より同時期の大腸がん発症率が高い」という結果になっています。

DYNOMIGHT INTERNET WEBSITEは、「将来何が起こるかは確実にはわかりません。しかし、この傾向は今後も続く可能性が高いと思います。確かに、現在若い世代は、以前の世代が若かった頃よりも大腸がんのリスクが高いです。これが悪いニュースです。さらに悪いニュースは、高齢になった時にも、以前の世代が高齢だった頃よりも大腸がんのリスクが高くなる可能性があるということです」と警告しています。
そしてDYNOMIGHT INTERNET WEBSITEが指摘する「もう1つの悪いニュース」が、若い世代で増加しているのは大腸がんだけではないということです。2019年の研究で発表された以下のグラフは、Breast(乳がん)やKidney(腎臓がん)などのさまざまながんについて年代別の発症率を表したもので、縦軸が対数での発症率、横軸が調査された年代を示しています。線の色と形ごとに「25〜29歳」「40〜44歳」「65〜69歳」といった風に年代が区別されており、多くのがんは若い年代で増加傾向にあることが見て取れます。

つまり、近年になって若い世代の発症率が増加しているのは大腸がんだけではなく、ほぼすべてのがんについても同様だというわけです。それにもかかわらず大腸がんが注目を集めている理由についてDYNOMIGHT INTERNET WEBSITEは、大腸がんは一般的かつ危険ながんであり、通常は年齢が高くなるにつれて発症率が増加し、早期発見すれば治療可能で、スクリーニング検査で検出可能といった特徴があるためと指摘しています。
DYNOMIGHT INTERNET WEBSITEは、若年層における大腸がんの発症率が増加していると伝えることで、多くの人にスクリーニング検査を受けさせて命を救える可能性があると認めています。その上で、「大腸がんの罹患率上昇の謎を解明したいのであれば、大腸がんは実際には全くユニークな病気ではないという点に留意する必要があります」と述べました。
