増田貴久が歌い、高橋大輔と躍り、滑る。第一線でアイドルで居続ける人の「力」
フィギュアスケートと日本文化が融合した氷上総合エンタテインメント「氷艶」シリーズは、高橋大輔さんが主演、座長を務めてきた。その「氷艶」で競演してきたスケーターと歌手や役者など、異なるルーツを持つ表現者たちが氷の上で溶け合い、共鳴しながら演技するアイスショー「The MELT -Cross of Roots-」が5月2日から5日まで新横浜スケートセンターにて、全12公演行われた。
ライターの田中亜紀子さんが2回に分けてレポートする第1回は、昨年行われた「氷艶 hyoen 2025 -鏡紋の夜叉-」でW主演を務めた増田貴久さんも出演した5月2日前半日程の公演を前後編でお届けしている。前編では、高橋さんの「伝説の演目」を中心に詳しくお伝えした。後編ではそのつづき、増田貴久さんの登場シーンを中心に解説する。
「十字星のキセキ」に続き、増田さんとW主演だった「鏡紋の夜叉」へ
三作目の作品、「銀河鉄道の夜」をテーマにした「氷艶 hyoen 2024 -十字星のキセキ-」のパートが始まった。ゆずの「HAMO」をエリアンナさんと大野拓朗さんが氷上で朗々と歌う中、高橋大輔さん演じる主人公の少年時代を演じた友野一希さんが制服でとびこんできて、ハッピーオーラ全開でとびはねるように滑る。制服を着たスケーターたちとのグループナンバーで、若々しいオーラあふれる演技が、リンクにさわやかな風をふかせた。エリアンナさんはもともとスケートファンだったそうだが、出演した氷艶3作目の後も大野拓朗さんたちとスケートの練習を続けてきた力が見え、両手を広げ、笑顔で歌う氷上の姿が本当に素敵だった。
続いて、2025年、高橋大輔さんと増田貴久さんのダブル主演で行われた、岡山の温羅伝説をもとにした堤幸彦さん演出の「氷艶 hyoen 2025 -鏡紋の夜叉-」の世界へ。増田さんは、ソロのライブツアーの合間をぬって、今回の「THE MELT-Cross of Roots-」の前半日程に参戦していた。
まずは赤と青、「鏡紋の夜叉」の二人の演じた役のテーマカラーが映し出されたリンクで、増田さんが登場。「鏡紋の夜叉」のオリジナル曲「剣よ眠れ」を切なく、気持ちをこめて朗々と歌いあげ、赤と青の衣装を着た田中刑事さんがそれに合わせて力強く、情熱的に舞う。増田さんは、2025年の氷艶の時は、喉を傷めていたそうだが、今回の歌をきいて、初めてそれがわかった。
そして、驚いたことがあった。その曲の後半、「鏡紋の夜叉」に出演していた、役者の財木琢磨さんと青山凌大さんが、氷上に登場し、あたかもスケーターのように田中刑事さんの滑りに、参加して振りを行いながら滑っているではないか。正直いうと、初演の時はそれが彼らだと認識せず、若手スケーターの方が滑っていると思っていたのだ。それほど、ナチュラルにとけこんで滑っていた。
長年一線でアイドルをやっている方は半端ない
次に増田さんが自らのライブツアーのタイトル曲である「喜怒哀楽」を披露し、高橋大輔さんと村元哉中さんが登場。増田さんの歌にあわせ、二人が滑り、3人ともとてもいい表情で、よいコンビネーションが感じられる。「床の上とちがって氷の上はふんばりがきかないので、ヒップホップはバランスが難しい」と村元さんがパンフレットで語っているが、avecooさんの振り付けはとても動きが速い上、特にラップ部分がとても難しそう。だが、高橋さんはさすがのダンスセンスでめちゃくちゃノって踊っている。
一方、「歌う僕も、この曲は重心を下に落として歌うので、氷上では難しいかもで、新しい挑戦ですね」とやはりパンフレットでの増田さん。だが、澄んだ、明朗な歌声がリズムにのって響き渡り、リンクがコンサート会場のようだ。そしてものすごく驚いたことに、増田さんはハンドマイクをもって歌いながら、猛スピードでリンクのカーブを滑りぬけていった。難しいことをさらりと披露。昨年も運動神経のよさですぐにスケートが上達されていたが、この演技にはびっくりした。長年第一線でアイドルをやっている方は、やはり運動神経も努力も半端ないのだと、改めて実感。
増田さんの歌とかなだいのスケートがとけあい、とにかく3人が共演を楽しむ様子が伝わってくる。高橋さんと増田さんは、昨年の氷艶で競演した時の役柄の温羅と吉備津彦では、敵対しながらもひかれあい、最後は悲劇の別れとなったので、まるで現代に転生して仲良き友となった二人を見たような幸せな気持ちになった。
その後、増田さんは、「世界観がこのショーにあうから」と依頼されたという、06年にリリースした「暁-AKATSUKI-」という曲もマントをはためかせる衣装で滑りながら歌.いあげる。この曲でコラボした織田信成さんは、現役さながらにジャンプを跳んでいた。さらに増田さんは、平原綾香さんの曲である「虹の向こうへ」もキーの違いを物ともせず、個性豊かに歌い上げたのだ。
その「虹の向こうへ」のプログラムでは、涙が知らないうちに流れるような感動的なアーティストたちのスケートの様子が見られた。その様子や、エンディングの松本幸四郎さんのしみじみとした内容の声の出演、今回触れていない「LUXE」のオマージュの演目その他は、平原綾香さんが出演する後半日程を描く2回目のレポート(12日公開予定)で紹介したい。
The MELT -Cross of Roots- 日テレプラスにて放送
【5/3公演】7/25(土)17:00
【5/4公演】8月放送予定
◆出演
スケーター
高橋大輔/荒川静香/村元哉中/織田信成/田中刑事/友野一希/中田璃士/橋本誠也/小沼祐太/吉野晃平(「吉」は正しくは上が土)/中野耀司/大島光翔/佐藤由基/西田美和/中西樹希/望月美玖/占部亜由美
【5/3公演】アーティスト
増田貴久/大野拓朗/エリアンナ/財木琢磨/長谷川開/青山凌大
【5/4公演】アーティスト
平原綾香/福士誠治/大野拓朗/エリアンナ/財木琢磨/長谷川開/青山凌大
