遺構から復元された建物が並ぶ池上曽根史跡公園

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 大阪府和泉、泉大津両市にまたがる弥生時代の集落跡「池上曽根遺跡」(国史跡)から、発掘調査で約1・5メートル四方の柱穴9基が新たに見つかった。

 楼閣状の建物が存在した可能性があるという。一方、調査は無断で掘削された場所の被害状況などを確認するために実施されていたもので、和泉市は今後、防犯カメラの設置などの対策も検討している。(前川和弘)

 池上曽根遺跡は弥生時代前期にできたとされる環濠(かんごう)集落。全体は南北約1500メートル、東西約500メートルで、弥生時代の環濠集落遺跡としては国内有数の大きさだ。

 遺跡に損傷が見つかったのは2024年6月。公園北部の手つかずだった区域の発掘調査をしたところ、東西28メートル、南北18・5メートルにわたり、深さ1・5〜2メートル程度掘られ、近年に伐採されたとみられる樹木が大量に埋められていたのが見つかった。

 市は府警に被害を相談。府警は今月21日、22年3〜8月にかけ、遺跡の敷地内でサーカスの公演をしていたサーカス団の団員2人を、無断で大量の伐採樹木を埋めて遺跡を損壊したとして、文化財保護法違反の疑いで書類送検した。2人とも「埋めていない」と容疑を否認しているという。

 市によると、許可を得れば遺跡のある公園内でのイベントの開催は可能。市は主催者に会場が史跡であることを伝え、場合により、設置物の図面を確認するほか、仮設テントの留め具を地面に設置する場合などには遺構が傷つかないよう要請するという。

 市によると、被害があった範囲内からは建物の柱の跡や土器片も見つかった。遺跡が損傷した恐れがあるとして市は昨年10月頃から調査を開始。その結果、被害があった場所の近くから今年2月に大型の柱穴9基が発見された。建物の規模としては14平方メートルと小さいものの、柱穴が密集し、柱径約0・6メートルと大きいことから、高さのある楼閣だった可能性があることがわかったという。

 また、弥生時代前期のものとみられる土器も大量に出土。瀬戸内地域や紀伊地域の影響を受けた土器が多く、遺跡の成り立ちを考える重要な資料になるという。発掘を担当した上田裕人学芸員は「巨大集落の構造などを考える上で重要な資料」としている。

 一方、無断掘削された範囲では、弥生時代の大型建物のものとみられる柱穴や土器群、古墳時代の木棺墓群が破壊されていたことがわかった。

 市は今後、調査を延長して周辺を調べるほか、整備を進める史跡公園の北部エリアや今回、柱穴などが見つかった部分に防犯カメラを設置するなど、遺構保護の観点から対策を検討しているという。

 和泉市教育委員会・文化遺産活用課の森下徹課長は「損傷されたことについて、市に管理責任があったことは重く受け止めている。今後は、遺構を通して文化財を残すことの重要性を示していきたい」と話している。