「コンクリートに詰めようか」祖父の一言で6歳女児遺体が18年放置…住民票が削除され「社会に存在しない子」になった衝撃の経緯
金属ケースには、コンクリートが隙間なく詰められているため、その重量は約200キロ。長年保管していたBの家の2階から1階に下ろすと、台車に載せて玄関ドアを出た。
飯森被告の公判供述によると、交際相手Aに先導してもらいながら二人で運搬。途中、台車から金属ケースがずれ落ちたこともあったというが、なんとか新たな長屋にたどり着いた。
「(新たな長屋に)運び入れた日は玄関に玲奈を置いた状態にしました。金属ケースが重たくて家の中に入れられなかったんです」
その3ヶ月後の2025年2月、Bの介護施設への入所が決まり、賃貸借契約を解除したことで管理人が発見。事件が発覚した。
◆なぜ玲奈さんは「社会に存在しない子」扱いになっていたのか
罪のない幼い命が奪われた事件。玲奈さんは死後約18年もの間、冷たいコンクリの中にいた。一人の少女の行方がわからなくなったことは、社会的に問題はなかったのだろうか--。
端的に言えば、玲奈さんは「居所不明児童」として八尾市の住民票から抹消されていたのだ。近隣の自治体にも情報共有された形跡はなく、行政上は「社会に存在しない子」となっていた。
市の開示文書などによると、事の発端は、玲奈さんがまだ1歳にもなっていなかった2001年7月。それまで市の住民基本台帳には、玲奈さんの本籍地が住所として登録されていた。市はその住所に登録されていた世帯の有権者宛に選挙入場整理券を郵送したが、宛先不在で返送されたという。
これを受けて、市は居住実態の調査をするも、玲奈さん一家の居住は確認できなかった。市からの要請で、母親はBと市役所に来庁したが「消費者金融に追われていて住所を動かせない」と説明。
その後も転居届は提出されなかったため、市は職権で玲奈さんの住民票を削除した。これにより行政サービスの対象外となり、市は玲奈さんの安否を把握する方法すらなくなってしまった――。
さらに2012年には、親族が玲奈さんと母親の失踪宣告を大阪家裁に申し立てていた。この失踪宣告は確定し、法的にも死亡扱いとなっていた。
◆“社会に存在しない子”が生んだ盲点と行政の重大な課題
今回の裁判では、住民票を抹消された後も玲奈さんが八尾市内に住んでいたことが判明。市が把握していた最後の住所地から、わずか半径5キロ圏内で生活していた。
まさに「負の連鎖」が重なった末の事件。今回の裁判から見えた課題は、社会に今も残り続けている--。
文/学生傍聴人
【学生傍聴人】
傍聴歴7年、傍聴総数1000件超。 都内某私立大の大学院に在籍中の現役大学院生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴をはじめ、有名事件から万引き事件など幅広く傍聴している。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行なっている。
