【プルデンシャル生命】企業風土が不正を生んだ?元社員が語る内実「年収5億円以上から最低賃金レベルまで…」 “信用”を売る保険会社の裏側とは【弁護士解説】
前代未聞の不祥事…その背景には何が?
「社員しか買えない株があり、絶対利益が出て元金は保証するから、お金を預けてくれないか」
今年1月、プルデンシャル生命保険の社員ら100人以上が、顧客約500人から計約31億円を不正に受け取っていた問題が発覚。会社は5月9日まで新規の保険販売を自粛していますが、この期間をさらに半年間延長すると発表しました。
“信用”を前提に成り立つ保険会社で起こった前代未聞の不祥事…元社員への取材などから、その背景として考えられる“企業風土”が見えてきました。
◎解説:岡田崇弁護士
投資詐欺やマルチ商法など消費者問題に取り組む
30年以上前から不正あったか…社員らが31億円詐取
プルデンシャル生命の社員・元社員100人以上による金銭詐取問題。この不正は30年以上前から、1991年~2025年にかけて行われていたとみられています。
▼顧客498人から詐取など「30.8億円」
→259人・17億円の審査や補償が完了
▼顧客240人から不適切な投資商品など紹介「13.1億円」
→110人・6億円の審査や補償が完了
相談窓口には補償委員会による確認が必要な申し出が約700件寄せられ、うち70件はグループのジブラルタ生命保険に関する内容だということです。
22日の会見で同社は、2月9日からの90日間にわたる「新規の保険販売の自粛」を、さらに180日間延長すると発表しました。
「詐欺師などを含めた犯罪組織なのかとネットの声が溢れています」
同社が会社として掲げていた「お客さまに、生命保険の魔法の力を。」というキャッチコピー。
しかし、社員らは顧客に対し「社員しか買えない株があり、絶対利益が出て元金は保証するから、お金を預けてくれないか」 といった言葉を謳い文句にしていたと言います。
1月の会見では、記者から「これだけの巨額事案が起きると、そもそもみなさんが保険会社なのか、詐欺師などを含めた犯罪組織なのかと、厳しいネットの声が溢れています」という厳しい声も上がりました。
「普通の組織ではない」不正に関わった社員らは100人以上
金額もさることながら被害者の数も多い今回の不正。岡田崇弁護士は「こんなに多くの人数でこんなに額が多いのはかなり珍しい」と言います。
(岡田崇弁護士)
「(不正に関わった社員らが)100人もいるというのは普通の組織ではないと思います」
「長い間対策が取られていないというのは、かなり問題があったのでは」
「明らかに詐欺」顧客からの“信用”を悪用か
社員らと顧客との間では、次のようなやり取りがあったと言います。
▼(例)「架空の金融商品」への投資をもちかける
4人から約5300万円
(岡田崇弁護士)
「架空の金融商品(への投資)を持ちかけるという時点で、明らかに詐欺。そういうものを会社が販売しているかのように持ちかけているわけですから、誰の目から見ても詐欺ではないかと思います」
▼(例)社員しか買えない株があり「元金も保証」ともちかける
3人から約720万円
(岡田崇弁護士)
「“元金保証”でお金を預かるというのは、それ自体『出資法』に違反します。そもそも、本来株価は変動するのに“元金保証”というのは矛盾している」
顧客は自分の資産状況などを共有するなど、営業社員を信頼していたと思いますが…
(岡田崇弁護士)
「内密にするようなことも言っているので、どうしても顧客は信用してしまう。そこを悪用されたということかと思います」
元社員が語る“企業風土” 成績が落ち込むと生活資金が不足する社員も?
プルデンシャル生命の元社員に話を聞くと、不正を生んだかもしれない“企業風土”が見えてきました。
<元社員が語る企業風土>
▼主に終身保険・定期保険・医療保険などを売る
▼入社3年目以降は「より歩合重視」にシフト
▼「年収5億円以上」もいれば「最低賃金レベル」までいるはず
同社では、月の固定給はほとんどなく、契約をとった社員に多額の報酬が支払われ、成績が落ち込むと生活資金が不足する社員もいたと言います。
“金銭への過度な執着”が背景にあったか
1月の会見で間原寛社長(当時)は「営業社員自身の業績により収入も変動することから、収入の不安定さを招き不適切行為に繋がりました」と話し、完全出来高制による“金銭への過度な執着”が背景にある可能性が浮上していました。
(岡田崇弁護士)
「歩合の場合、会社の商品ではなく別の商品を売ってもお金を稼げる。会社に対する忠誠心があまりないような人が紛れ込んでしまったのも要因ではないかと思います」
「常に新たな顧客を探さないといけない」
(MBS米澤飛鳥解説委員)
「元社員によると、成果報酬型で厳しいということで、2~3年で辞める人も多かったそうです」
「例えば、新しい顧客と契約を結んで報酬が支払われるのは主に初年度だけだそうです。常に新たな顧客を探さないといけない」
「架空の投資話をめぐっては、別の業者と結託して顧客に売り、その業者側からキックバックをもらっていたのではという話も出ています」
「信頼できると感じる相手でも『甘い投資話』には警戒を」
こうした不正に対して、私たちはどのように身を守ればいいのか?岡田弁護士は「信頼できると感じる相手でも『甘い投資話』には警戒を」と指摘します。
(岡田崇弁護士)
「長年付き合いがある人に騙されたというケースもあります。(勧める人)自身も騙されていて、親身に『この商品が儲かる』と勧めることもあるんです」
また、SNSやウェブ広告を入り口に投資話をもちかけられる『SNS型投資詐欺』も増加していると言います。
(岡田崇弁護士)
「SNS型投資詐欺については、私の事務所でも連日問い合わせが来ています。“ロマンス”から入って投資に誘導するケースや、それこそ『プルデンシャル生命』をかたる詐欺もあります」
「確実に利益が出る」「絶対に儲かる」「〇〇先生の無料投資教室」「あなただけに教えます」といった謳い文句には注意してください。
おかしいなと思ったら「まずは疑問を持ち、警察や信用できる弁護士に相談することが大切」だと岡田弁護士は話しています。
(2026年4月22日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
