チャリチャリでは利用者のスマホに運転時の注意点を呼びかけている(名古屋市内で)

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 自動車・バイクに適用されてきた青切符の対象に、今月1日から自転車が加わり、交通ルールの徹底や事故防止に向けた規制強化の動きに、企業側も対応を加速させている。

 (中島幸平)

利用者任せにせず

 全国で自転車のシェアリングサービス事業を展開する「チャリチャリ」(福岡市)は、名古屋市中心部に専用の自転車置き場を約360か所設け、740台を貸し出している。三重県桑名市でも11か所で20台を展開中だ。青切符導入などを踏まえ、運転マナーの周知を強化している。

 具体的には、レンタル自転車を乗り終えた利用者のスマホに運転時の注意点が届くようにした。注意表示は5月末までで、会員のアプリに「走行OKか標識をチェック!」「五感と全身でライドを楽しむ」などの呼びかけが表示される。

 同社のチラシにも、「スマホオフ」「耳で街の音を聞く」「縦一列で走る」といった安全運転の心構えを掲載し、英語表記も併記した。安全策担当の同社の山本良さん(38)は、「利用者のマナーに任せるだけではいけない。安全な利用を促すこともサービスの一部」と話す。

事故が過去最多

 青切符の制度は、軽微な交通違反を取り締まる迅速な手段として、50年以上前に始まった。従来、自転車の違反は、乗用車などと比べると少なく、青切符の対象になっていなかった。

 しかし、発進時に容易に加速できる電動アシスト自転車などの普及も相まって、自転車が歩行者にけがを負わせる事故や自転車が絡む事故が深刻化した。警察庁によると、自転車対歩行者の2025年の事故件数は3269件と過去最高を更新した。青切符は、自転車を取り締まりやすくすることで、交通事故の減少につなげる狙いがある。

 自転車に青切符が交付される反則行為は113に上る。もっとも、自転車の反則行為が確認されても、即座に青切符が交付されるわけではなく、警察の口頭での指導や警告にとどまるケースが大半だ。一方で、スマホを使いながら運転する行為(ながらスマホ)、信号無視、ブレーキがない自転車での走行などは、重大な事故につながる恐れがあるため、即座に青切符が交付される可能性が高い。

新たなリスク 

 青切符の導入は、トラックや乗用車の運転にも影響が及びそうだ。自転車は原則、歩道ではなく、車道の左端を走行する必要がある。ルールの周知や徹底が進むにつれて、車道を走る自転車が増え、かえって自動車との事故を招く恐れがある。

 こうした新たなリスクを念頭に、車載器を手がける東海クラリオン(名古屋市)は昨年から、トラックやバスの死角をなくすAIカメラの設置を運送業者などに売り込んできた。AIカメラが画像分析し、車の側方に接近した自転車や歩行者を幅5メートル、長さ21メートルの範囲で検知する。音や光などでドライバーに状況を知らせる仕組みとなっている。

 仲田昌弘取締役(51)は、「死角で自転車などに気づかない、大型トラックの左折事故は、特に重大な結果を招く。運送業界では、安全策に費用をかけて、ドライバーの負担を減らすべきだとの意識も広まってきた」と説明する。

 工業用製品などを各地に配送する亀山急送(三重県亀山市)は、東海クラリオンのAIカメラを大型トラックやトレーラー計60台以上に設置している。岩佐将男社長(49)は、「今回の青切符の導入は自転車だけの話ではない。巻き込み事故を起こさないためにも、会社でできることはやっていきたい」と話す。

 ◆青切符=交通違反時に警察が渡す「交通反則告知書」の通称で、青色の用紙に由来する。自転車の場合は16歳以上が対象で、刑事処分はない。内容に応じて、3000〜1万2000円の反則金を金融機関の窓口で納付する。飲酒運転などの悪質な違反では、刑事罰の対象となる「赤切符」が適用される。