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三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の金品(総額3億9000万円相当)を盗んだとして、元行員の女性が窃盗罪に問われた事件は、懲役9年とした東京高裁判決が確定したと報じられた。

信頼の上に成り立つサービスが、たった1人の不正によって揺らいだ。自宅で保管しきれない物を預ける「トランクルーム」もまた、「安全・安心」を売りにする点で共通するサービスだろう。

そのトランクルームをめぐり、預けていた高級時計が消えたと訴える利用者がいる。運営会社側から一部補償を受けたものの、「なぜなくなったのか」は明らかにされていないという。(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)

●トランクルームの需要拡大の一方で

トランクルーム大手キュラーズの調査によると、全国のトランクルーム店舗数は1万4860店舗、延べ室数は約62万室を超えたとされる(2024年の数字)。市場規模も同年に約850億円に到達し、拡大が続いている。

とくに東京近郊では住宅の狭小化を背景として、需要が高まっている。各社はセキュリティ対策を強化しているが、本当に万全なのか──。こうした疑問を抱かせるケースが起きたというのだ。

●ロレックス2本などが消えた

高級時計が消えたと訴えるのは、関東在住の男性だ。自宅を離れる予定があり、私物や貴重品の保管のために屋内型トランクルームを利用していたという。

しかし、その保管スペースに置いていた腕時計3本と外貨(5万円相当)などがなくなっていることに気づいたと話す。中古市場の相場をもとにすると、ロレックス2本だけで約550万円にのぼり、被害総額は約580万円に相当するとしている。

このトランクルームは、入退室がカードキーで管理され、個別スペースは4桁のダイヤル式南京錠で施錠される仕組みだ。

男性が異変に気づいたのは2025年11月。最後に確認してから約1カ月の間に、物がなくなっていた可能性があるという。

南京錠自体に破壊された形跡はなかったが、室内に置いていたキャリーバッグのダイヤルキーは壊れており、中身を物色されたような痕跡があったと説明する。

●「鍵の番号は誰にも教えていない」原因は不明

男性は南京錠の番号は誰にも伝えておらず、「外部からの侵入が考えにくい」と感じているという。

被害届の提出から約5カ月が経過したが、警察からも運営会社からも新たな情報は入っていないという。

その間、提携保険会社は「盗難」による損害として20万円を補償し、運営会社も10万円を支払ったという。ただし、これは男性が主張する被害総額(約580万円)とは大きな隔たりがある。

被害の具体的な経緯や原因については、現時点で確認されたものではなく、なお慎重に見極める必要があるが、男性は取材に対して、時計の購入証明書を示している。

●「なぜ起きたのか」説明されない不安

男性はこう話す。

「利用者として最も疑問に感じているのは、『どのように被害が発生し得たのか』についての説明が得られていない点です」

入退室の履歴や、防犯カメラ映像の提供などを求めたが、運営会社は「警察からの要請がない限り開示できない」として、詳細は明らかになっていないという。

●「安全のはずの場所でも」注意喚起

男性は「カードキー管理といった一見安全性が高い環境であっても、このような被害が発生する可能性があることを知ってほしい」と話す。

同じような被害の再発防止や注意喚起につながればと、今回の取材に応じたとしている。

弁護士ドットコムニュースは、このトランクルームの運営会社に取材を申し込んだ。

防犯カメラ映像や入退室情報を利用者に開示できない理由などについて尋ねたが、運営会社は「すでに警察など関係各所への報告と連携を終え、当事者間で解決済み」として、取材対応を「辞退」した。